2021年7月3日 読売新聞「編集手帳」
あるクイズ番組で、
ガッツ石松さんにこんな問題が出た。
「太陽はどこから出るでしょう?」。
ガッツさんは間髪入れず答えた。
「右!」
放送作家の高田文夫さんがエッセーに書き留めている。
この出来事を深夜のラジオ番組で取り上げたところ、
ガッツさんのタレントとしての人気に火が付いたという。
昭和のテレビが生んだジャンルのなかで、
時代が移っても陰りがないのがクイズ番組である。
次々に現れる新番組と選手交代というわけだろうか。
「パネルクイズ アタック25」(朝日放送)が今秋で終了すると発表された。
俳優の児玉清さんの司会で、
1975年に放送を開始した視聴者参加型の長寿番組である。
日曜日の午後、
児玉さんの柔らかな語り口で進行する番組に休日のゆったりした時間を預けた方は多かろう。10年前の5月に児玉さんが亡くなったとき、
本紙歌壇に次の作品が載った。
<「アタック」という声耳に残りおり青葉の季節に散りゆきし人>
教養あり、
笑いあり。
高田さんによると、
真偽は不明ながらクイズ番組のガッツ伝説に傑作がある。
「亀を英語で何と言う?」
「スッポン!」