9月16日 キャッチ!
世界で最も多い極度の貧困層(1日1,25ドル未満で生活)2億7、000万人を抱えるインド。
貧困により栄養不足に陥る人も多く
世界の栄養不足に悩む人たちの約4分の1がインドに集中している。
インド政府は子どもたちの栄養状態を改善しようと学校給食で栄養価の高い卵を普及させようとしているが
宗教や慣習などが障害となっている。
インド東部 オディッシャ州。
大半の家庭が借りた土地で農業を営み生計を立てている。
この村にある小学校には80人余の児童が通っている。
子どもたちが楽しみにしているのが給食。
この学校では週に2回給食にゆで卵が出される。
年齢にふさわしい体重を下回る子どもが多かったため
栄養状態を改善しようと州政府が約2年前に実施した。
良質なたんぱく質がとれる卵を定期的に食べることで栄養不足の子どもは徐々に減る傾向にあると言う。
(カビタ・ロウトラ校長)
「子どもたちは卵で栄養がとれるので学校に来たいと思う。
出席率も上がりました。」
栄養不足の解消がなかなか進んでいない地域もある。
中部のマディヤプラディシュ州。
インドで乳幼児死亡率が最も高い州の1つである。
栄養回復センターは極度の栄養不足の子どもを治療する施設である。
医師の診察を受けながら1週間にわたって栄養価の高い食べ物を取り回復を目指す。
8つあるベッドは常にいっぱいである。
生後9月で体重5kgの女の子。
標準を2kg~3kg下回っている。
(ルビナさん(20))
「働くために家を留守にして子どもの面倒をちゃんと見ていられないのです。」
自分でミルクを飲む力が弱っている男の子。
(母親)
「息子は自分で座ることもできない。
まるで綿のように軽いです。」
(栄養回復センター 医師 クマール・シヴァニ氏)
「卵は高たんぱくで簡単に手に入る。
毎日食べられれば栄養不足は解消される。」
卵の有用性が訴えられているもののこの州では子どもたちの給食に卵が導入される見通しが立っていない。
学校に通い始める前に子どもたちが集まる給食センター。
インド政府はこうした施設を全国に134万か所つくり乳幼児死亡率の改善を目指してきた。
この日調理されていたのは小麦粉を油で揚げたものを混ぜたカレーソースにコメ
それにパンだけである。
栄養価の高い食事にしようと今年5月に「卵の導入」が州政府で議論されたが見送られた。
ヒンズー社会の伝統的価値を重んじる人たちを中心に肉も卵も食べないベジタリアンの人たちがいるため
こうした人々にも配慮するべきだという声が上がったからである。
代わりに粉ミルクで補おうとしているが費用の問題から毎日は提供できていない。
3歳7か月のシャルーちゃんはこれまでに2回栄養細苦で入院したことがある。
体重は10kgでいまも軽度の栄養不足である。
シャルーちゃんの自宅。
父親は日雇いの仕事しかなく1日の収入は多い日でも日本円で400円ほど。
母親も調理などに使う薪を森に取りにいかねばならず
家を留守にしがちで
家庭で満足な料理を出すのは難しいと言う。
(母親)
「家でも外でも仕事がたくさんあり娘の面倒をよく見られないんです。」
この地域では給食で得られる栄養が子どもたちの健康状態を左右している。
給食センターの責任者 ヤショダ・パルテさん(25)は子どもたちの体重の移り変わりを記録して来た。
貧しい地域では慣習より子どもたちの栄養状態の改善が優先されるべきだと言う。
(給食センター責任者 ヤショダ・パルテさん)
「州政府は子どもたちに恩恵を与える卵の提供を否定すべきではありません。
ここでは親たちはだれも反対しません。
子どもたちは卵が大好きですから。」