ワンコ先生がわが家へ来たときは、もうしっかりした青年犬だったから、たぶん生まれたのは平成19年の春頃なんだと思う。
この冬は16年目の冬越しである。
後半の時間は、私が無所属となり、家事をすることになったから、ワンコ先生と一緒にいる時間も増えた。
毎日散歩に連れ出してくれ、暑い夏には畑の木陰で一緒に過ごし、大雪の日には雪の中を飛び跳ねて歩き回ったこともあった。
結局、犬の世話をするというより、私自身がワンコ先生に励まされてきた。
おかげで無聊をかこつながらも、家に引きこもりになることもなく、お天道様の下で過ごす習慣がついた。
昨今のワンコ先生、目はあまり見えないようで、耳も衰えた。
それでも、臭覚と気配で毎日留守番をしてくれている。
私が帰宅すると、足にすり寄ってにおいをかぎ、「あっ、おかえり」っとシッポをふって迎えてくれる。
けなげである。
カミサンの発案で、昨年から夜は、玄関にお気に入りの布団を持ち込んで、すやすやお休み。
このごろは眠ってばかりいる。
ながく一緒にくらしていると、ワンコ先生も人の言葉をだいぶ理解しているように感じるけれど、こちらもワンコ先生のワンワン、ワオーの言葉の意味もだいぶわかるようになってきた。
「トイレだ、外に出してくれ」
「ご飯の時間だぞ、くわせろ」
「外は寒いぞ、おらの布団だしてくれ」
「雷怖い、雨だぞ。家に入れてくれ」
「寒いよ、おらもはやく家に入れてくれ」
「おかえり、散歩にいこうよ」
「(だれかきた)怖いから一応ちょっと吠えとこ。ワン!」
家人に対してはほんと要求が多く、面倒な先生だけれど、日中は日向で配達のおねえさんや検針のみなさんに可愛がられ、のんびり過ごしている。
犬の友達はいないけれど、家に定期的にくるみなさんとはけっこう仲良しの様子。
目、耳は衰えたけれど、食欲はあり、足腰はまだしっかりしていて、散歩も楽しくできる。
ほんと幸せなことだと思う。
ワンコ先生に自分の老いの姿を重ねている面もあるけれど、この寒い冬をなんとか乗り越えて、またジイサンどうし、新しい1年を一緒にすごしたい。
一日一日、今日一日である。
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