言わずと知れた名作です。急に読みたくなり、購入しました。
これは漱石の代表作ですが、文章が平易で読みやすいので、まるで児童書のように扱われていますねー。
僕がこれを初めて読んだのも、小学生のときでしたが、
この作品に込められた深い意味を、当時の僕がよく理解することは困難でした。
読み通すだけなら、それこそ小学生でも可能なんですけどね。
無鉄砲で、直情的で、曲がったことが大嫌いな、「おれ」こと、坊っちゃん。
東京生まれの「おれ」は、教師として松山の中学に赴任するのですが、
権力に媚びて甘い汁を吸おうとする人間の醜さ、単純な自分が笑われる世の中の空しさ、
そういったものを見せつけられ、それでも自分を曲げず、ついには…
まあ主人公の「おれ」も必ずしも正しいわけではありません。
しかし、これは作者の漱石の分身であると同時に、
こんなふうに自分も生きられたら、という願望でもあるのではないでしょうか。
漱石は心の病に苦しめられたことがあるらしいですが、
世の中とうまく立ち回れない自分に、憤りを感じていたのかもしれません。
僕としては、唯一、「おれ」に慈愛をもって接してくれた女性である「清(きよ)」の存在が、
この物語を美しく彩っていると思うのです。
ひさしぶりの再読でしたが、またまた物語の世界に、惚れ込んでしまったという感じです。
末永く、愛読していきたいと思います。