このブログの何割かはわからないが、一定割合競馬に詳しくない人もいるはずで
そんなひとは競馬をギャンブル、よくがんばってスポーツとまでしか見ていないはずだ。
もちろんその2つも競馬の側面ではあるが、競馬を長く深くやっていると
また別の競馬の顔が見えてくる。それは「人生における哀愁や悲哀」といったものを
体感させてくれる、擬似人生経験とでもいうべき側面である。
今日はそんな競馬の一面を垣間見せてくれるシーンを
名馬電機社長さんの馬券を例にご覧頂きたい。
京都7R 3連複 7.8-9.10.13
このレースで社長さんは7番ジュエリークイーン、8番ナリタジューンの2頭軸3連複
という馬券を買いました。
3連複は1~3着に入る3頭の馬を順番関係なく当てる馬券でこの場合
7と8が3着以内に入り、かつ9.10.13のどれかも3着以内に入れば当たるという買い方です。
レースでは8番ナリタジューンが逃げて、2番手が9番ペップチドジャスミンでした。
最後のコーナーを回ってこの2頭が後ろの馬を突き放し、この2頭の1着2着はほぼ決まりとなりました。
そして3番手争いを見ると社長さんのもう1頭の軸、7番ジュエリークイーンが外から上がってきています。
このまま行けば3連複7-8-9で88倍の好配当です。
しかし7番ジュエリークイーンのさらに外から5番ヘイローフジも上がってきています。5番が来たら社長さんの馬券はハズレです。
熾烈な3番手争い、5番と7番は完全に並んでゴールしました。
スローモーションを見てもどちらが3着かよくわかりません。
写真判定となり、数分後電光掲示板の3着欄に表示されたのは「5番」でした。
わずか数センチの差で社長さんは8800円を取り逃してしまったのです。
掲示板の3着欄に「5番」が表示された瞬間の脱力具合といったら言いようがありません。
この時社長さんは人生の哀愁や悲哀といったものを肌で感じます。
京都7R 結果
1着 8 ナリタジューン
2着 9 ペップチドジャスミン
3着 5 ヘイローフジ
4着 7 ジュエリークイーン
京都8R 3連複フォーメーション3.10.11-3.10.11-1.2.3.4.10.11.12.14
続く8Rも社長さんは3連複を買いました。今度はフォーメーションという買い方です。
ややこしいようですが上記のような買い方をした場合
3.10.11のうち2頭が3着以内に入り、かつ1.2.3.4.10.11.12.14のどれかも3着以内に入れば当たるという買い方です。
レースは12番ヒーローアンセムが逃げてそのまま1着
2着には11番タガノシャンハイが2番手から粘りこむという7Rと似たものになりました。
問題は3着争いです。社長さんが当たるには
3着に3番テンシノコンコルドか10番バトルハートオーが入ることが必要です。
実はこの2頭とも最後の直線で見せ場を作っていました。
特に3番テンシノコンコルドは後ろからグイグイ伸びてきて、ゴールしました。
しかし3番の前には4番マルブツリードが馬のクビくらいの差で先に3着でゴールしてしまったのです。
社長さんは4番も買っていますが買い方的に3着には3番が入らなければならなかったのです。
もし3着が3番なら社長さんは3連複3-11-12の120倍という万馬券を的中させていたのです。
それが日本が誇る天才騎手武豊ががんばりすぎてマルブツリードを3着にしたおかげで
社長さんは万馬券を取り逃すという惨事に見舞われたのです。
この時社長さんは人生の哀愁や悲哀といったものを肌で感じます。
京都8R 結果
1着 12 ヒーローアンセム
2着 11 タガノシャンハイ
3着 4 マルブツリード
4着 3 テンシノコンコルド
※競馬ファン向けの余談ですがこのレースで社長さんがタガノシャンハイをなぜ軸で買えたのか
疑問に感じる方もおられるでしょうが、実はこの日は「母父バンブーアトラス祭り」が開催されており
この日に出走していた母父バンブーアトラスの馬が芝ダートを問わず3戦3連対だったのです。
そこで社長さんと同行していた事務さんは母父バンブーアトラスのタガノシャンハイを購入していたのでした。
ちなみにこれを「母父リボー祭りだ」と拡大解釈した社長さんは秋華賞で
母父リボー系のシークレットコードの単複をふんぱつしてしまったのですがどうなったかは周知の通りです。
東京9R 3連複フォーメーション1.5.14-1.5.14-1.5.8.9.10.12.14.15
ここからはJRAが無料で提供しているレース映像を見ながら実際に哀愁を体感してもらいましょう。
今回も3連複のフォーメーションです。競馬に詳しくない方はレース全体を見るのに
慣れていないでしょうからとりあえず
ゼッケン14番、騎手がオレンジの帽子で赤い袖、ピンクと白の勝負服(合田さん風に)ミヤビキララという馬に注目してください。
それではどうなったのか、こちらが確認のVTRです(八嶋智人風に)。
確認のVTR(「競走成績」→「4回東京4日」→「9R」→画面右手の「レース映像」の「HIGH」か「LOW」を順に選択して下さい。)
はい、14番ミヤビキララはかなりがんばっていましたが4着でした。
馬の頭分の差だった3.4着がもし逆だったら社長さんは
3連複1-12-14の158倍という、これまた万馬券を的中させていたのです。
この時社長さんは人生の哀愁や悲哀といったものを肌で感じます。
東京9R 結果
1着 12 ドラゴンウェルズ
2着 1 アサクサゼットき
3着 9 ソリッドスライダー
4着 14 ミヤビキララ
※またまた競馬ファン向けの余談ですがミヤビキララは東京で行われた中山金杯で
ビッグゴールドの2着に入り、万馬券を演出したタフグレイスの妹で東京コースが
得意なはずです。ただし内枠が苦手なので東京で外枠に入った場合は今後も注意しましょう。
京都9R 3連単2頭軸マルチ9.8>2.5.7.10
さて最後の教材は3連単です。3連単は1~3着に入る3頭の馬を当てる馬券というところは3連複とおなじですが
その順番も当てなければならないというより当たりにくいかわり高配当が望める馬券です。
ただしこの「マルチ」という買い方の場合、軸にした2頭(この場合8番と9番)が3着以内に入り、
かつ相手に予想した馬(この場合2.5.7.10番の4頭)が3着以内に入った場合の
すべての順番の買い目を買う、というやり方で
「どういう結果なら当たるか」という点においては3連複で8.9から2.5.7.10へ
流した時と同じです。ただし全ての順番の組み合わせを買うので買い目は
3連複が4点で済むのに対して3連単2頭軸マルチだと6倍の24点買う必要があります。
競馬に詳しくない方はレース全体を見るのに慣れていないでしょうから
とりあえずゼッケン8番、騎手が緑の帽子で黄色の勝負服(合田さん風に)マンテンハットという馬に注目してください。
スタートから前の方へ行って先頭で2頭並んで走るうちの外側の馬です。
それではどうなったのか、こちらが確認のVTRです(八嶋智人風に)。
確認のVTR(「競走成績」→「5回京都4日」→「9R」→画面右手の「レース映像」の「HIGH」か「LOW」を順に選択して下さい。)
はい、一度は失速しかけてもう一度直線で盛り返してきたマンテンハットが3着に
粘るかというところ、外から赤い帽子のスリーキュートが猛烈に追い込んで
どちらが3着かわかりませんでしたが数センチ差でスリーキュートが3着でした。
もうお分かりですね。もしこの数センチ差の3.4着が逆だったら
社長さんは3連単9>7>8の55倍の好配当を的中していたのに
最後の最後にわけのわからない大激走をされたスリーキュートのがんばりによって
5500円になっていた馬券を、ただ文字が印刷された一枚の感熱紙にされたわけです。
この時社長さんは人生の哀愁や悲哀といったものを肌で感じます。
京都9R 結果
1着 9 シルクトゥルーパー
2着 7 ミスターケビン
3着 3 スリーキュート
4着 8 マンテンハット
さて、どうやったら競馬で馬券を買うことで人生の哀愁や悲哀を感じることができるのか
少しはお分かりいただけたでしょうか。
別に競馬ファンはわざと哀愁や悲哀を感じるためにハズレ馬券を買っているわけではありません。
それではただの自虐主義であり、そもそもそこに悲哀や哀愁は発生しません。
だれもが「当たる」「大儲けだ」「自分は予想の天才だ」
と思って馬券を買っているのです。そしてゴール前、「自分の馬券が当たる!」
と思い、えもいわれぬ幸せと喜びを受け入れる体勢に入った瞬間に
ほんのちょっとの差でわずか数センチと言う悪魔のような非情な差が
準備万端受け入れ体勢が整っていた幸せや喜びを本当に目前で奪い去っていくのです。
こんな経験、人生においてだってなかなか体験できない貴重なものなのに
競馬ファンなら下手をすると毎週のように体験できる。
だから競馬は止められない。
「競馬を人生に喩える人がいるが、そうではない。人生こそが、競馬の縮図にすぎないのだ…」by寺山修二
そんなひとは競馬をギャンブル、よくがんばってスポーツとまでしか見ていないはずだ。
もちろんその2つも競馬の側面ではあるが、競馬を長く深くやっていると
また別の競馬の顔が見えてくる。それは「人生における哀愁や悲哀」といったものを
体感させてくれる、擬似人生経験とでもいうべき側面である。
今日はそんな競馬の一面を垣間見せてくれるシーンを
名馬電機社長さんの馬券を例にご覧頂きたい。
京都7R 3連複 7.8-9.10.13
このレースで社長さんは7番ジュエリークイーン、8番ナリタジューンの2頭軸3連複
という馬券を買いました。
3連複は1~3着に入る3頭の馬を順番関係なく当てる馬券でこの場合
7と8が3着以内に入り、かつ9.10.13のどれかも3着以内に入れば当たるという買い方です。
レースでは8番ナリタジューンが逃げて、2番手が9番ペップチドジャスミンでした。
最後のコーナーを回ってこの2頭が後ろの馬を突き放し、この2頭の1着2着はほぼ決まりとなりました。
そして3番手争いを見ると社長さんのもう1頭の軸、7番ジュエリークイーンが外から上がってきています。
このまま行けば3連複7-8-9で88倍の好配当です。
しかし7番ジュエリークイーンのさらに外から5番ヘイローフジも上がってきています。5番が来たら社長さんの馬券はハズレです。
熾烈な3番手争い、5番と7番は完全に並んでゴールしました。
スローモーションを見てもどちらが3着かよくわかりません。
写真判定となり、数分後電光掲示板の3着欄に表示されたのは「5番」でした。
わずか数センチの差で社長さんは8800円を取り逃してしまったのです。
掲示板の3着欄に「5番」が表示された瞬間の脱力具合といったら言いようがありません。
この時社長さんは人生の哀愁や悲哀といったものを肌で感じます。
京都7R 結果
1着 8 ナリタジューン
2着 9 ペップチドジャスミン
3着 5 ヘイローフジ
4着 7 ジュエリークイーン
京都8R 3連複フォーメーション3.10.11-3.10.11-1.2.3.4.10.11.12.14
続く8Rも社長さんは3連複を買いました。今度はフォーメーションという買い方です。
ややこしいようですが上記のような買い方をした場合
3.10.11のうち2頭が3着以内に入り、かつ1.2.3.4.10.11.12.14のどれかも3着以内に入れば当たるという買い方です。
レースは12番ヒーローアンセムが逃げてそのまま1着
2着には11番タガノシャンハイが2番手から粘りこむという7Rと似たものになりました。
問題は3着争いです。社長さんが当たるには
3着に3番テンシノコンコルドか10番バトルハートオーが入ることが必要です。
実はこの2頭とも最後の直線で見せ場を作っていました。
特に3番テンシノコンコルドは後ろからグイグイ伸びてきて、ゴールしました。
しかし3番の前には4番マルブツリードが馬のクビくらいの差で先に3着でゴールしてしまったのです。
社長さんは4番も買っていますが買い方的に3着には3番が入らなければならなかったのです。
もし3着が3番なら社長さんは3連複3-11-12の120倍という万馬券を的中させていたのです。
それが日本が誇る天才騎手武豊ががんばりすぎてマルブツリードを3着にしたおかげで
社長さんは万馬券を取り逃すという惨事に見舞われたのです。
この時社長さんは人生の哀愁や悲哀といったものを肌で感じます。
京都8R 結果
1着 12 ヒーローアンセム
2着 11 タガノシャンハイ
3着 4 マルブツリード
4着 3 テンシノコンコルド
※競馬ファン向けの余談ですがこのレースで社長さんがタガノシャンハイをなぜ軸で買えたのか
疑問に感じる方もおられるでしょうが、実はこの日は「母父バンブーアトラス祭り」が開催されており
この日に出走していた母父バンブーアトラスの馬が芝ダートを問わず3戦3連対だったのです。
そこで社長さんと同行していた事務さんは母父バンブーアトラスのタガノシャンハイを購入していたのでした。
ちなみにこれを「母父リボー祭りだ」と拡大解釈した社長さんは秋華賞で
母父リボー系のシークレットコードの単複をふんぱつしてしまったのですがどうなったかは周知の通りです。
東京9R 3連複フォーメーション1.5.14-1.5.14-1.5.8.9.10.12.14.15
ここからはJRAが無料で提供しているレース映像を見ながら実際に哀愁を体感してもらいましょう。
今回も3連複のフォーメーションです。競馬に詳しくない方はレース全体を見るのに
慣れていないでしょうからとりあえず
ゼッケン14番、騎手がオレンジの帽子で赤い袖、ピンクと白の勝負服(合田さん風に)ミヤビキララという馬に注目してください。
それではどうなったのか、こちらが確認のVTRです(八嶋智人風に)。
確認のVTR(「競走成績」→「4回東京4日」→「9R」→画面右手の「レース映像」の「HIGH」か「LOW」を順に選択して下さい。)
はい、14番ミヤビキララはかなりがんばっていましたが4着でした。
馬の頭分の差だった3.4着がもし逆だったら社長さんは
3連複1-12-14の158倍という、これまた万馬券を的中させていたのです。
この時社長さんは人生の哀愁や悲哀といったものを肌で感じます。
東京9R 結果
1着 12 ドラゴンウェルズ
2着 1 アサクサゼットき
3着 9 ソリッドスライダー
4着 14 ミヤビキララ
※またまた競馬ファン向けの余談ですがミヤビキララは東京で行われた中山金杯で
ビッグゴールドの2着に入り、万馬券を演出したタフグレイスの妹で東京コースが
得意なはずです。ただし内枠が苦手なので東京で外枠に入った場合は今後も注意しましょう。
京都9R 3連単2頭軸マルチ9.8>2.5.7.10
さて最後の教材は3連単です。3連単は1~3着に入る3頭の馬を当てる馬券というところは3連複とおなじですが
その順番も当てなければならないというより当たりにくいかわり高配当が望める馬券です。
ただしこの「マルチ」という買い方の場合、軸にした2頭(この場合8番と9番)が3着以内に入り、
かつ相手に予想した馬(この場合2.5.7.10番の4頭)が3着以内に入った場合の
すべての順番の買い目を買う、というやり方で
「どういう結果なら当たるか」という点においては3連複で8.9から2.5.7.10へ
流した時と同じです。ただし全ての順番の組み合わせを買うので買い目は
3連複が4点で済むのに対して3連単2頭軸マルチだと6倍の24点買う必要があります。
競馬に詳しくない方はレース全体を見るのに慣れていないでしょうから
とりあえずゼッケン8番、騎手が緑の帽子で黄色の勝負服(合田さん風に)マンテンハットという馬に注目してください。
スタートから前の方へ行って先頭で2頭並んで走るうちの外側の馬です。
それではどうなったのか、こちらが確認のVTRです(八嶋智人風に)。
確認のVTR(「競走成績」→「5回京都4日」→「9R」→画面右手の「レース映像」の「HIGH」か「LOW」を順に選択して下さい。)
はい、一度は失速しかけてもう一度直線で盛り返してきたマンテンハットが3着に
粘るかというところ、外から赤い帽子のスリーキュートが猛烈に追い込んで
どちらが3着かわかりませんでしたが数センチ差でスリーキュートが3着でした。
もうお分かりですね。もしこの数センチ差の3.4着が逆だったら
社長さんは3連単9>7>8の55倍の好配当を的中していたのに
最後の最後にわけのわからない大激走をされたスリーキュートのがんばりによって
5500円になっていた馬券を、ただ文字が印刷された一枚の感熱紙にされたわけです。
この時社長さんは人生の哀愁や悲哀といったものを肌で感じます。
京都9R 結果
1着 9 シルクトゥルーパー
2着 7 ミスターケビン
3着 3 スリーキュート
4着 8 マンテンハット
さて、どうやったら競馬で馬券を買うことで人生の哀愁や悲哀を感じることができるのか
少しはお分かりいただけたでしょうか。
別に競馬ファンはわざと哀愁や悲哀を感じるためにハズレ馬券を買っているわけではありません。
それではただの自虐主義であり、そもそもそこに悲哀や哀愁は発生しません。
だれもが「当たる」「大儲けだ」「自分は予想の天才だ」
と思って馬券を買っているのです。そしてゴール前、「自分の馬券が当たる!」
と思い、えもいわれぬ幸せと喜びを受け入れる体勢に入った瞬間に
ほんのちょっとの差でわずか数センチと言う悪魔のような非情な差が
準備万端受け入れ体勢が整っていた幸せや喜びを本当に目前で奪い去っていくのです。
こんな経験、人生においてだってなかなか体験できない貴重なものなのに
競馬ファンなら下手をすると毎週のように体験できる。
だから競馬は止められない。
「競馬を人生に喩える人がいるが、そうではない。人生こそが、競馬の縮図にすぎないのだ…」by寺山修二