名馬電機社長の事業報告という名の日記

一口とか写真とかご贔屓応援とか。

横断幕

2012年04月30日 | 一口馬主


プリュムの横断幕作成。
レックスパレードの横断幕を一度作っているので
「作成時間短縮できるかなー」
なんて考えていたんだが、甘かった。「おとなしくて のりやすくて かわいくて はしる」の部分をステンシルしようと

文字印刷→カッターで切り抜き→布に貼り付け→スプレー

までいった時点でまさかのスプレー切れ。
「おとなしくて のりやすく」
の状態で止まってしまい、そこからまた布スプレー買いに行って、という工程がめんどくさかったので結局アクリル塗料塗りでの作業に変更。おかげでハートマークだけ色を変える、というアクセントつけるアイデア思いついたので、転んでもただでは起きん。
と、横断幕作っていたら翌日の更新でNFしがらきでの放牧から帰厩してきて、うまく競馬場臨場できる日に出走してくれたらレックスパレードの横断幕より先に競馬場デビューできそう。
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天皇賞(春)予想

2012年04月29日 | 中央競馬予想
天皇賞(春)
◎ユニバーサルバンク ◯クレスコグランド ▲オルフェーヴル
△ギュスターヴクライ 注ウインバリアシオン ☆ヒルノダムール
×ビートブラック、ローズキングダム

過去10年の傾向
・6歳以上【2-3-2-63】馬券になった6頭はいずれも前走芝2200以上の距離(OP)で連対。前走3着以下の6歳以上馬は【0-0-0-45】
・前走4着以下から馬券になったのはテイエムオペラオー、メイショウサムソン、ヒシミラクル、マンハッタンカフェ、メイショウドンタク、エリモエクスパイア、サンライズジェガーで、いずれも京都芝2400以上のレースで勝利経験があった馬。
・前走下級条件【0-0-0-7】

3つの過去傾向を当てはめると残るのは印をつけた8頭になる(ビートブラックは京都芝2400以上のレースで勝利経験はないが菊花賞3着、京都大賞典2着と限りなく勝ちと評価してもよさそうな惜しいレースがあるので入れた)。
その中から本命をユニバーサルバンクとしたのは、改正郵政民営化法が可決されたから、ではなく京都コース【2-3-0-1】という実績と穴から入るなら内目の枠のほうがいいよね、という点から。京都コース実績はほとんど内回りのものだが京都新聞杯2着があるし、菊花賞の9着にしても道中インでじっとしていたら逃げたサンビームがバテて下がってきたことで勝負どころを前にポジションが悪くする不利があってのもの。大阪ハンブルグC組は過去に波乱を演出してきており期待。

同じく大阪ハンブルグC組のクレスコグランドを対抗。こちらはユニバーサルバンクが2着だった京都新聞杯の勝ち馬でその前には京都芝2400のムーニーバレーRC賞も勝っている。母がマンハッタンカフェの全妹でありもともと昨年の菊花賞でもオルフェーヴルを負かす候補として期待していた馬であり、ひと叩きして出走のここで狙いたい。
オルフェーヴルはたぶんまともに走ったらここでは自力が違うと思うが「じゃあ1倍台の単勝オッズで買いたいか」と言われれば即座にNo。リスクに対するリターンという意味で相当分が悪い。

馬券は◎◯の単勝を買っておいて◎◯から印の馬に馬連ワイド。
あと、全く予想とは別にゴールデンハインドの単複を買っておく。
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青葉賞予想

2012年04月28日 | 中央競馬予想
青葉賞
◎アドマイヤブルー ◯サトノギャラント ▲フェノーメノ
△カポーティスター 注ダノンゴールド ☆ミルドリーム

馬場改修後2003年以後の傾向
・市場価格5000万円以上【4-1-1-4】40.0% 50.0% 60.0% 89-109
・前走毎日杯【4-2-3-8】23.5% 35.3% 52.9% 92-88

前走毎日杯組のアドマイヤブルーを本命に。近親には同レース勝ちからダービーでも2着したアドマイヤメインがいる血統で、管理するのが橋田調教師というのもアドマイヤメインと一緒。また鞍上は橋田厩舎のアドマイヤコマンドで同レースを勝っている川田将雅騎手。どちらかというと内枠が有利な傾向もあり、この馬から。
サトノギャラントは唯一市場価格が5000万円を超える馬。スローの上がり勝負でも結果を残しており期待大。
フェノーメノは負けた2戦がいかにも小回りの中山が向きませんでした的な負け方で府中替わりは大プラス。
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いい文章

2012年04月27日 | 競馬
さかのぼって空き日の日記埋めるシリーズだが、穴埋め的に使うには申し訳ないブログ紹介。


福山けいば編集部 「競馬が楽しい、面白い。」
http://blog.fukuyama-keiba.jp/archive/entry_77.html

歳のせいで最近涙腺緩めなんだけど、最初この文章読んだ時は本当に涙が出ちゃった。
落ち込んだ時とか競馬止めたい時とか読んでテンション上げるのに使用させてもらってます。
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メイショウサムソンという馬(3)

2012年04月26日 | 競馬
4歳となったメイショウサムソンの始動は阪神の大阪杯。シャドウゲイトやコスモバルクが人気をしていたが、コース形態の似ている皐月賞を思い出させる早めスパートからの安定感のある競馬を見せて快勝。春の天皇賞制覇に向けて上々のスタートを切った。

天皇賞春が行われる京都外回りコースは、前年の菊花賞もそうだが、2歳時の萩Sでも馬券圏外に沈んでいるようにあまり得意としているコースではなかった。そのためか、人気は阪神大賞典勝ち馬のアイポッパーに続く2番人気となった。
レースはユメノシルシが引っ張り、メイショウサムソンは前から9番手、ちょうど隊列の真ん中あたりにつけた。淡々とした流れでレースは進み、迎えた二度目の3コーナー手前、ここで縦長だった隊列がぎゅっとひとかたまりに凝縮されると、早くもメイショウサムソンは追撃を開始。坂の下りを利して馬群の外目を馬なりで上がっていくと直線では先頭に。最後はさすがに勢いは止まっていたが、エリモエクスパイア、トウカイトリックに内外から並ばれるとそこからファイトバックして見事優勝。優れた勝負根性と持久力を示す一戦であった。

道悪の中で行われた宝塚記念。外枠ということもありいつもより後方からの競馬となったメイショウサムソンだったが、3コーナー過ぎから一気に進出し、直線では先頭にたついつもどおりの競馬。その外からアドマイヤムーンが差してきたが馬体を併せればもう一伸びするはず、と思われたがこの日は違った。石橋騎手がアドマイヤムーンに馬体を併せに行くと、アドマイヤムーンの鞍上岩田騎手は右ムチを入れ更に外へ、馬体を接近させず一定の距離を保ったまま走らせた。馬体を併せられなかったメイショウサムソンは何か勝負根性が空回りするかのような走りになってしまい2着。

宝塚記念後、驚きのニュースが流れた。以前から話が出ていた凱旋門賞挑戦のニュースが発表されたのだが、その鞍上が武豊騎手に決まったという。松本オーナーは騎手の起用に関して一切口を挟まない事で有名な方である。それはメイショウサムソンについても同様で、「石橋くんを変えようと思ったことはない。」と明言していた。にも関わらず、皐月賞の後に「ずっと石橋さんを乗せてあげてくださいね。」と言った武豊騎手への乗り替り。娘さんには「お父さんらしくない。」と責められたとも言う。その理由について松本オーナーは詳しくは語られないが、その後ずっとこの判断をした事を気にしていたらしいので、「日本最高の馬に最高の騎手を乗せて凱旋門賞に挑戦したいという我儘」という表向きの理由以外の何かがあるような気もするのだが、ともかく、この乗り替わりは武豊騎手、石橋守騎手を含めた他の騎手もいる前で松本オーナーが直接伝えられた。
乗り替わりはこの世界の常とはいえ、石橋守騎手も多少なりともショックはあったであろう。しかし石橋騎手は武豊騎手にメイショウサムソンの癖や特徴を事細かに伝えた。乗れないと決まってもメイショウサムソンがベストの状態で出走できるようにしっかりとサポートを行ったのだ。

しかし思わぬ形でこの凱旋門賞挑戦の計画は頓挫する。この夏日本競馬界を襲った馬インフルエンザにメイショウサムソンも感染してしまい遠征断念を余儀なくされた。陣営は予定を変更して目標を秋の天皇賞に変更せざるを得なくなった。

武豊騎手を背に初めて走るレース。その競馬ぶりに注目が集まったが、その効果は目に見えて現れた(石橋守騎手ファンとしてもそのことは認めざるをえない)。1枠からスタートしたメイショウサムソンはインコース4,5番手につける。そして直線に向くとコスモバルクに端を発する不利の連鎖をよそにコスモバルクがよれたことによって生じたスペースを瞬時について突き抜けると完勝。「溜めて伸びる」瞬発力型の競馬をしてみせた。どちらが正解とはいえないが新たな面を引き出すことに成功した。

新パートナーを得て再びメイショウサムソン時代が訪れるかと思われたが、実際は厳しい道程だった。前年に続き参戦のジャパンカップは3着、有馬記念は8着と敗れた。年が変わってもその輝きは取り戻せず産経大阪杯で6着に敗れたあと、天皇賞春、宝塚記念とともにそれなりには走っているがイマイチ煮えきらず連続2着。いずれもG1未勝利馬にタイトルを献上する結果になった。

このような必ずしもベストではない状況の中にあっても陣営は前年叶わなかった凱旋門賞挑戦をあきらめなかった。そこには松本オーナーの中に「石橋守騎手を『日本一の馬に日本一の騎手を乗せての凱旋門賞挑戦』を大義名分に下ろしてしまった以上、凱旋門賞に行かない訳にはいかない。」という思いがあったのかもしれない。帯同馬も用意し、陣営はベストを尽くした。しかし最盛期の輝きを失ったメイショウサムソンにとって、世界最高峰の舞台の壁は厚く、後方のまま成す術なく10着と敗れ去った。

帰国後、ジャパンカップは武豊騎手の落馬負傷により約1年半ぶりに石橋守騎手とコンビを組むも6着。再び武豊騎手とのコンビで挑んだ有馬記念は8着だった。そしてこの一戦を最後にメイショウサムソンは現役を引退。27戦9勝、G1を4勝。2歳の夏から5歳のフルシーズンをほぼ休みなくOPクラスで走り続けたタフな競走馬生活であった。

2009年1月4日、京都競馬場
メイショウサムソンの引退式が行われる昼休みのパドックにはメインレースに勝るとも劣らない多くのファンが集まっていた。そこに天皇賞春を制した時のゼッケンを付けて登場したメイショウサムソン。鞍上には「青,桃襷,桃袖」の勝負服を身に纏った石橋守騎手の姿があった。引退式の数日前、メイショウサムソンには武豊騎手が跨る予定だった。しかし娘さんの「どうして石橋さんは乗らないの?パドックだけでも乗せてあげればいいのに。」という言葉に、松本オーナーも「それもそうだ。」と競馬会に掛け合ったという。当初、時間的制約や前例がないことを理由に競馬会も首を縦に振らなかった。そこで松本オーナーはこう言ったという。

「それなら引退式をやめますか。」

「自らの我儘」を押し通すことでメイショウサムソンから降ろしてしまった石橋守騎手を再び「自らの我儘」を通すことでメイショウサムソンに騎乗させることとなった。
パドックでの周回を終えたメイショウサムソンは本馬場へ。本馬場でずっと待っていたファンはパドックで石橋守騎手が騎乗していることを知らず、その姿を確認すると自然と拍手が沸き起こった。そしてホームストレッチの外ラチ沿いをゆっくりと歩くメイショウサムソンが半ばに差し掛かった頃、もう一人の「青,桃襷,桃袖」、武豊騎手がいた。石橋守騎手は馬を降りると武豊騎手に手綱を引き継ぎ、メイショウサムソンは4コーナ奥へと歩を進める。一呼吸おいた後、ゆっくりと駆け出すと最後は現役さながらの脚力を披露。最後のターフを駆け抜けていった。


参考文献
・「優駿 2006年6月号」松本好雄オーナーインタビュー
・「週刊競馬ブック 2009年2月1日号」芦谷有香のオーナーサロン 松本好雄氏

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メイショウサムソンという馬(2)

2012年04月25日 | 競馬
年が明け3歳となったメイショウサムソンの緒戦は京都のきさらぎ賞。ここではレース後石橋騎手が「大事に乗りすぎた。」と振り返るように馬場の悪化した内側を必要以上に嫌って外外を回しすぎた結果、内からドリームパスポートに差されてしまい2着となった。

続く2戦目は中山競馬場のスプリングS。中京2歳S→きさらぎ賞→スプリングSというローテーションは厩舎の先輩2冠馬ネオユニヴァースと同じローテーションであった。ここには前年の2歳チャンピオン・フサイチリシャールやきさらぎ賞を勝ったドリームパスポートなどこれまでメイショウサムソンが後塵を拝してきた馬たちが人気を集め、メイショウサムソンは4番人気だった。大外18番ゲートからスタートしたメイショウサムソンは道中先行集団につけ、横には人気のフサイチリシャール。3コーナーで2番手に進出すると直線に入り先頭に躍り出る。すぐ直後、外からフサイチリシャールがやって来る、さらに内からはドリームパスポートも急追、3頭ビッシリ馬体を併せての叩き合い。間に挟まれ一旦は先頭を譲ったようにも見えた。馬によっては怯んでしまいズルズルっと下がってしまって不思議ない場面だった。しかしその状況が逆にメイショウサムソンにとってはプラスに働き勝負根性に火をつけた。坂を駆け上がりゴール直前目に見えて「グッ」とひと伸びを見せクビ差出た所がゴールだった。デビューから9戦目、念願の初重賞タイトル獲得。

前年のディープインパクト一強のクラシックとは打って変わって混戦の中迎えた皐月賞。1番人気は鞍上武豊、前走弥生賞を含む重賞3勝、6戦5勝2着1回のパーフェクト連対のアドマイヤムーン。2番人気はここまで重賞勝ちは無いものの4戦4勝、セレクトセール3億4650万円の落札額も話題になったサンデーサイレンス産駒のフサイチジャンク。3番人気は2歳チャンピオン・フサイチリシャール。4番人気はここまでアドマイヤムーンに唯一土をつけたことのあるラジオたんぱ杯2歳S勝ち馬サクラメガワンダー。5番人気はアグネスデジタルの弟で京成杯の勝ち馬ジャリスコライト。メイショウサムソンはこれらに続く6番人気だった。
レースはアーリントンC勝ち馬のステキシンスケクンが引っ張る展開で1000m通過が1分フラットという平均ペース。3コーナー過ぎフサイチリシャールが逃げるステキシンスケクンを早めに捉えにかかるとその外からメイショウサムソンが動き、後方に待機していたフサイチジャンク、アドマイヤムーン、サクラメガワンダーといった人気馬も外から追走を開始。直線、フサイチリシャールを外からメイショウサムソンが交わして先頭に立つ。外の人気馬が若干伸び倦ねる中、最内を突いてドリームパスポート。坂を駆け上がり一気に差を縮めるドリームパスポートが馬体を並べる。
「交わされる…!」
しかし馬体を併せた瞬間、まるでドリームパスポートの勢いをメイショウサムソンが吸い取ったかのようにメイショウサムソンがひと伸び、第66代皐月賞馬・メイショウサムソンが誕生した。
ゴール後ドリームパスポートの高田潤騎手が馬上から祝福の手を差し伸べるも、石橋守騎手は手綱を離さず、高田騎手の方を向きペコリと頭を下げて礼をするにとどまった。照れか緊張か、はたまたその両方が入り混じった複雑な感情が石橋騎手の中にあったのか。想像するしか無いが確実にその姿に石橋守という人物の人柄がにじみ出ていた。そして引き上げて来た石橋守騎手は馬から降りるなり出迎えた瀬戸口調教師と抱き合い喜びを分かち合った。
レース後のインタビュー、慣れない石橋騎手の視線は終始宙を泳いでいた。そして「何を話したか覚えていない。」というそのインタビューの内容は
「幸せです」「感謝しています」「馬の力を信じていました」
という、いずれも自分一人の力ではなく、メイショウサムソンとメイショウサムソンを取り巻く多くの人たちの力と思いで勝ち取った勝利であるということを伝えようとするこころのこもった言葉であった。
石橋守騎手だけではなく、松本好雄オーナーにとっても初のクラシック制覇。会社の社員や家族などと一緒に観戦していたオーナーは、ゴール後周囲の涙にもらい泣きし、そして検量室前で関西の騎手が一列に並んで祝福をしてくれる姿に涙し、表彰式でもその涙は止まらなかったという。
騎手生活22年目の初G1となる騎手、馬主生活34年目の初クラシックとなる馬主、そして定年前最後のクラシックとなる調教師。競馬の神様は時としてフィクションならば「出来過ぎである」と一蹴されるようなストーリを用意してくれる、そんなことを感じさせる皐月賞だった。


歴史は繰り返す。
使い古された言葉であるが、競馬の世界において度々この言葉が頭をよぎる瞬間がある。
1991年皐月賞、無敗で制したトウカイテイオーの鞍上には騎手生活20年目でG1初制覇の安田隆行がいた。
1992年皐月賞、無敗で制したミホノブルボンの鞍上には騎手生活21年目でクラシック初制覇の小島貞博がいた(初G1はミホノブルボンで制した前年の朝日杯)。
1998年皐月賞、11番人気であっと驚く大波乱を演出したサニーブライアンの鞍上には騎手生活19年目でG1初制覇の大西直宏がいた。
これら似た境遇にあった騎手の乗った皐月賞馬は、御存知の通りみな日本ダービーを制している。歴史は繰り返す。騎手生活22年目で初のG1を制した石橋守とメイショウサムソンのコンビもまた、日本ダービーを勝てるのではないか。いや、そうなって欲しい。私はそんなことを思いつつ5月28日、日本ダービーの日を迎えていた。
そんな私と同じような考えをした人が多かったわけではないのだろうが、当日メイショウサムソンは1番人気に支持された。レース前に1番人気であることを知った石橋騎手はさすがに緊張したという。しかし、レース直前瀬戸口調教師からかけられた「気楽に乗ってこい。」という言葉で、随分と精神的に楽になったという。
レースは青葉賞を逃げ切り勝ちのアドマイヤメインが引っ張る展開。メイショウサムソンはインコースのラチ沿い、1コーナーのあたりでは若干口を割り折り合いを欠きかける場面も見られたがすぐに折り合いをつけインコース5番手の絶好のポジションを取ることができた。前半1000mが62.5秒、稍重のコンディションを考えても遅めのペース。切れ味勝負には若干の不安があるメイショウサムソンは皐月賞同様、早めに外に出すと直線は逃げるアドマイヤメインを射程圏に。楽なペースで逃げているとはいえ、並んで強さを発揮するメイショウサムソンにマークされてはアドマイヤメインといえどもひとたまりもない。残り100mで馬体を併せると一気に先頭に。そこからゴールまで2頭の一騎打ちとなったが、どこまで行っても縮まらない永遠の差がそこにはあるように感じられた。それくらいメイショウサムソンの競馬ぶりには安定感が満ちあふれていた。それは騎乗していた石橋騎手が一番よく感じていたのか、ゴールまで数十メートルを残した地点で手綱を抑える余裕を見せた。これにはテレビ中継の解説に来ていた岡部幸雄元騎手も驚いていたが、乗っているものだけが感じる感覚がそうさせたのであろう。
ゴール後、向こう正面で石橋騎手は2度3度と天を仰ぐような仕草を見せた。押しつぶされそうな重圧からの開放感がそうさせていたのだろうか。そしてゆっくりと2コーナーから1コーナーへとターフの上をウイニングラン。手を上げて競馬場全体から沸き起こる祝福の声に応える石橋騎手。そして近場道に入る直前、ウイナーズサークルに戻ってきた石橋騎手はゴーグルを外し、ヘルメットを脱いでファンに向かって頭を下げ、感謝の意を表した。
実はダービー制覇までの7年間、石橋騎手は東京競馬場での勝利はなかった。そんな石橋騎手に前日から何頭かの騎乗馬が用意されていた。用意したのは武邦彦、小島太、河内洋。いずれも騎手時代に日本ダービーを勝ったことのある、また石橋騎手と縁のある3人の調教師だった。最も多い3頭を石橋騎手に用意した河内洋調教師と石橋守騎手の付き合いは長く、騎手時代大先輩だった河内騎手を常に石橋騎手は尊敬し、手本としていた。河内洋騎手は現役を退く際、鞍などの馬具の多くを石橋守騎手に託したという。そしてこの日、検量室前で口取りに向かうためにメイショウサムソンの背中に再度付けられた黒い鞍には白い「HK」の文字がと刻まれていた。「Hiroshi Kawachi」。敬愛する大先輩から引き継いだ何かが、石橋騎手の力となっていたのかもしれない。

二冠を制したメイショウサムソンにかかるのは当然、前年のディープインパクトに続く三冠制覇の期待。しかしその道は険しいものだった。秋初戦の神戸新聞杯はゴール前ドリームパスポートの強襲にあい2着。そして迎えた菊花賞。世間の注目は当然メイショウサムソンに集まる、と同時に同じレースに騎乗する他の騎手たちのマークも当然ながらメイショウサムソンに集まる。中でも最もメイショウサムソンを苦しめたのはアドマイヤメインと武豊騎手だった。武豊騎手が取った作戦は大逃げだった。芝のクラシックディスタンスから長距離において大逃げの戦法が取られた場合、その直後につける先行タイプの人気馬、というのは非常に難しい立場に立たされる。人気をしている以上自分から前を捕らえに行く必要があるものの、自分から動けば前は捕らえられるかもしれないが、仕掛けのタイミングが早くなる分、後続の差し馬の餌食になる可能性が高くなる。一方で前を捕らえに動かないと後続も動けず馬群に蓋をする格好となり、結果逃げた馬に楽をさせてそのまま残られる危険性が高くなる。特にメイショウサムソンの場合これまでの好走パターンが4コーナーで早めに先頭に並びかけて、勝負根性で後続を抑えこむというスタイルを取っていただけに、この武豊騎手の作戦の効果は絶大だった。もちろん絞り切れない馬体重など他に原因があったのかもしれないし、ソングオブウインドの切れ味を最大限に引き出した武幸四郎騎手、長距離戦における芸術的な立ち回りを見せた横山典弘騎手、そして絶妙の展開を創りだした武豊騎手の見事な騎乗の前にメイショウサムソンと石橋守騎手は4着と敗れてしまった。
トウカイテイオー、ミホノブルボン、サニーブライアン。前述した「似た境遇のニ冠コンビ」同様にメイショウサムソンと石橋守のコンビもまた三冠制覇ならなかった。

古馬との対決となったジャパンカップ、有馬記念においてもメイショウサムソンに春の輝きは戻って来なかった。むしろディープインパクトという眩い圧倒的な存在の前では春の二冠馬でさえ、その存在を引き立てるだけであるかのようだった。
そしてこの有馬記念が瀬戸口勉厩舎のメイショウサムソンとしては最後のレースとなり、そのバトンは高橋成忠厩舎へと引き継がれることとなった。


参考文献
・「週刊競馬ブック 2006年4月16日号」石橋守騎手インタビュー
・「週刊競馬ブック 2009年2月1日号」芦谷有香のオーナーサロン 松本好雄氏
・「優駿 2006年6月号」杉本清の競馬談義 石橋守騎手
・「週間ギャロップ 2006年6月11日号」
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メイショウサムソンという馬(1)

2012年04月24日 | 競馬
2012年に初年度が2歳になる種牡馬の中で私が最も注目しているのはメイショウサムソンである。いや、このブログ読んでる方はいまさら言わんでも知っとるわい、って話かもしれないが。
ダンスインザダーク以来くらいの「個人的思い入れ馬」の仔がデビューするということで、ちょっとメイショウサムソンの現役時代についてまとめてみようと思った。

2003年3月7日、浦河町の林孝輝牧場に鹿毛の男馬が生まれた。林孝輝氏の父林喜久治氏が「ダンシングブレーヴ」の血統がほしいということで孝輝氏の妻・美鈴さんの親戚の牧場からオペラハウスを受胎した状態で林牧場にやってきたマイヴィヴィアンが産み落としたその馬こそ、後のメイショウサムソンであった。

父オペラハウス、母父ダンシングブレーヴという欧州を代表する名馬同士の血統だが、サンデーサイレンス系全盛の日本競馬においてはともすると鈍重すぎるきらいのあるものであった。4代母は有馬記念、天皇賞(秋)を制しているガーネットという血統だがその事が仔馬の評価に大きくプラスになるような時代ではないし、母マイヴィヴィアンも未勝利ということで目立つ存在ではない。そんなマイヴィヴィアンの03は1歳8月に北海道のサマーセールに上場されることがほぼ決まっていた。しかし上場を決める前にとある調教師から声がかかった。オグリキャップ、ネオユニヴァース、ラインクラフトなど数々の名馬を育ててきた瀬戸口勉調教師だった。

定年が近づいていた瀬戸口師にとって2003年生まれの馬たちが3歳になる2006年のクラシックが最後になる。その「最後の世代」に長年付き合いのある松本好雄オーナーの馬がいないのは寂しい、ということで瀬戸口師が松本オーナーに頼み1頭買ってもらうことになったのだ。そして林孝輝牧場も参加している近隣牧場のグループから4頭の1歳馬が挙げられその中から瀬戸口師が選んだのがマイヴィヴィアンの03だった。

日本で産まれたサラブレッドの多くは北海道にある育成施設でトレセンへの入厩に備えたトレーニングを行う。しかしマイヴィヴィアンの03はメイショウサムソンと名付けられ、九州・鹿児島県にある鹿屋育成センターでデビューに備えた後、2歳7月、小倉競馬場でデビューすることとなった。当初、瀬戸口師はデビュー戦の鞍上に、当時厩舎の主戦ジョッキーであった福永祐一騎手を配する予定だった。ところが福永騎手は急遽新潟で騎乗することとなった。武豊騎手も候補にあったようだが、すでに別の馬に騎乗が決まっていたため(このレース1番人気となったクロスブレイク)、ベテランの石橋守騎手が手綱を取ることとなった。かつてオグリキャップの初年度産駒オグリワンや、小倉3歳S、府中3歳Sなどを勝ったゴッドスピードといった馬のコンビを組んでおり、また瀬戸口師が騎手時代に所属していた厩舎で石橋騎手の父親が厩務員をしていたという縁もあった。小倉に滞在していることもあり、瀬戸口師は石橋騎手に調教とレースの両方に乗るように依頼した。そして石橋騎手は競馬開催の土日以外、追い切り日以外でもメイショウサムソンに騎乗し、調教をつけた。最初はまだまだ幼い身体で頼りない部分があったり、手前を替えるのが苦手だったりといった部分のあったメイショウサムソンだが、石橋守騎手が日々調教をつける中で徐々にそのウィークポイントも解消していき、デビュー戦2着、2戦目3着とした後、小倉開催最終週の未勝利戦でようやく初勝利を挙げることとなった。

初勝利を挙げたメイショウサムソンは阪神競馬場の野路菊Sに出走。オペラハウス×ダンシングブレーヴという欧州血統の牡馬が2歳で芝1600のOP特別、という字面を見ると勝負にならなくても不思議ないのだがメイショウサムソンはここを1番人気に応えて快勝。このレースで石橋騎手は「クラシックに乗れると意識しだした」という。

スローペースからの瞬発力勝負に敗れて4着となった萩Sを挟んで出走した東スポ杯2歳S。前走萩Sで後塵を拝したフサイチリシャールや、ディープインパクトの全弟オンファイアなどが出走。レースはフサイチリシャールが逃げ切ってレコード勝ちを収めるが、メイショウサムソンもオンファイアに直線で一旦交わされながら差し返して2着を守った。後にメイショウサムソンの代名詞になる類稀なる勝負根性の片鱗を見せるレースとなった。

2歳最後のレースは朝日杯やラジオNIKKEI杯といった2歳のチャンピオンを決めるレースではなくOP特別の中京2歳Sだったというのもこの馬らしいレース選択と言えるかもしれない。強力なライバル不在ではあったがここをレコードタイムで快勝し、翌年のクラシックに向けてしっかりと出走のための賞金を確保できた。

血統や戦績、騎手に派手さはない。「しかし」というより「だからこそ」じっくりと、しかし着実に経験を積み力をつけていったメイショウサムソン。浦河の家族経営の小さな牧場で産まれ、人と人とのつながりがもたらした縁に導かれたメイショウサムソンは、高馬良血馬たちがひしめくつクラシックの舞台へ闘いを挑むこととなる。


参考文献
競走馬のふるさと案内所 重賞ウイナーレポート 2006年スプリングS
競走馬のふるさと案内所 重賞ウイナーレポート 2006年皐月賞
・「週刊競馬ブック 2006年4月16日号」石橋守騎手インタビュー
・「優駿 2006年6月号」優駿達の故郷を訪ねて
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フローラS、マイラーズC回顧

2012年04月23日 | 競馬回顧
フローラS
1番人気に応えてミッドサマーフェアが中団から33.4の末脚で差し切り快勝。それほど強いメンバーがいたわけではないが、そういう相手だからこそ2馬身半の差をきっちりつけて勝てたのはオークスでの桜花賞組への挑戦権を得られたといえるのかな、という感じ。ただローテーション的に結構押せ押せというか休みなく使ってこられているのでオークス終わってみたら「ここ(フローラS)がピークでした」という結果になっていそうな気がしないでもない。
2着にはアイスフォーリス。デビュー戦から1800を使われ、意識的に長めの距離を使われてきた、オークス狙いっぽい馬。ただこの馬もそんなに余裕あるローテというわけでもないし、ここでミッドサマーフェアに差を付けられているだけに本番どうこうというのはしんどいかもしれない。
そういう意味では休み明けで3着に入った最低人気のダイワデッセーはひょっとしたら「休んでる間にすごく成長していて叩き2走目の上積み加味してまた3着に穴で入っちゃいました。」的なことはあるかもしれない。だいぶいろいろうまく行って、だと思うが。


マイラーズC
今年は京都で行われたマイラーズカップだが、阪神で行われた昨年の勝ち馬シルポートが今年も逃げ切り勝ち。前半後半半マイルが46.2-47.0というこの馬らしい見事な平均ラップでの逃げ切り。今年の京都金杯こそ逃げて潰れていたが、昨年の京都金杯を勝っておりこのコースの実績もあり。
そして2着のダノンシャークは前走東京新聞杯が1番人気5着だがその前の京都金杯が2番人気2着だった金杯実績馬。ここが6番人気だったので人気だけで言えば「お買い得」だったとも言える。
1番人気でシンガリ負けのリアルインパクトはこれで
関東圏:2-3-2-0/関西圏:0-0-0-4
という完璧なまでの内弁慶。安田記念での巻き返しに期待。
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福島牝馬S回顧

2012年04月22日 | 競馬回顧
福島牝馬S
実はこの週の回顧を書いていないことにずっと気づいていなくて、ヴィクトリアマイル終わった日の夜に後追いで書いてます。

買ったのは前走中山牝馬Sでイン&前が断然有利な馬場状態の中追い込んで2着だったオールザットジャズが比較的前目につけて押し切る非常に強い内容。本来タニノギムレット産駒は直線の長いコース、広いコースが得意で中山や福島の芝1800というのは向かない条件だと思うのだが、そこで好走したということは東京芝1600になってさらにと思ったのだが…。レース前のインタビューでも藤岡騎手が「コーナー4つのコースで器用さを武器にする馬」と答えており、なんとなく違和感を感じていたのだがひょっとするとタニノギムレット産駒であってタニノギムレット産駒(の平均的な適性の馬)にあらず、という馬なのかもしれない。京都外回りとかでも勝ってるからVMは単純に枠順とコース取りが展開上向かなかったということなのかもしれないが。
コスモネモシンは中山牝馬Sで強く推した身としては「前走でそれやってくれよ」と言いたくなる競馬だがまあ今回は内枠引けたのも良かったから仕方ない面も。
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フローラS、マイラーズC予想

2012年04月21日 | 中央競馬予想
フローラS
単複ターフデライト、ラスベンチュラス

馬場改修後2003年以降の傾向
・1-3月生まれ【7-7-5-57】9.2% 18.4% 25.0% 281-175
・4-6月生まれ【2-2-4-70】 2.6% 5.1% 10.3% 39-52
・前走新馬、未勝利勝ちの馬は【1-1-2-24】。馬券になったのは前走芝1800以上で0.2以上着差をつけて勝ってきた馬。

内田騎手が得意とか母父ノーザンテースト系がいいとかという傾向もあったんだけど該当馬がおらず使えず。取っ掛かりが少ないけど人気馬から素直に行くのもなんとなく違う気がしたのでそこそこ人気のない組から東京芝2000で未勝利勝ちがあって、前走は道悪で持ち味が生きなかったラスヴェンチュラスと、父タキオン母父リアルシャダイでいかにも距離伸びてよさそうなターフデライト、のコジシゲ厩舎2頭の単複で。


マイラーズC
◎レッドデイヴィス ◯ダノンヨーヨー ▲シルポート
△フィフスペトル 注エイシンアポロン ☆リアルインパクト

そもそも開催場所が変わっちゃって過去傾向が使えない、私にとっては非常にやりづらいレース。ただ施行時期や別定G2という位置づけは変わっていないので、ローテーション的な側面からは前年までの傾向と大きく変わらないだろうということで前走レースの傾向を過去10年で見てみると前走中山記念組が
前走中山記念【4-2-2-9】23.5% 35.3% 47.1% 103-72
と非常に安定した成績を残しており、前走距離別に見ても前走から距離短縮で使ってきた馬の成績が良い。京都マイルはもともと1800に近いイメージで予想していたので、この傾向は京都コースになっても大きく変わらない「だろう」と判断した。
ということで前走中山記念組の中からレッドデイヴィスを選択。おそらくこれまでの成績からコーナー2つのマイルから1800というのがベストの舞台であり、このコースはシンザン記念でオルフェーヴルを破ったこともあるコースであり、適性は十分にあるはず。
ダノンヨーヨーもコーナー2つのマイルがベストのタイプでこのコースも非常に安定しているし、前走マイルCSもあわや3着かという4着で十分足りるはず。
シルポートはハナさえ切れば粘っこく、本来適性ではないはずのコーナー4つの前走でも2着に粘っておりより適性のあるコーナー2つのコースに変わるのはプラスのハズ。
という感じでコーナー2つのコース適性を重視して上位陣の印は打ってみた。リアルインパクトは最初買うつもりはなかったのだがWIN5の買う馬選定する中で過去36ヶ月の岩田騎手の京都芝外回りの特別戦での成績が
【7- 4- 2-13】26.9% 42.3% 50.0% 318-144
とべらぼーに良かったのを発見してヒモひ追加した。
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