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ロンドンから徒然に

ヒロシマナガサキ

2007-08-06 | 映画・演劇
 広島被爆の日から62年が経ちます。時が経つほどに核戦争のリアリティがむしろ増して来る気がして恐ろしく感じます。
 今日ドキュメンタリー映画『ヒロシマナガサキ』を観て来ました。お母さんに付き添われた小学生から、実際に先の戦争を体験したであろう年代の方まで幅広い観客で、会場は一杯になりました。

 映画は、渋谷や原宿で若い世代に「8月6日は何の日か知っているか?」という質問から始まりました。
 案の定、彼等は答えることができません。実はこのシーン、僕はドキュメンタリーとしてはあまりに常套手段で物足りなく感じたのです。そして一瞬後に今度は愕然としました。彼等にとって被爆の日が風化しているという事実を、自分自身が当たり前に感じるくらい諦めの気分(どうせ答えられないだろう)でいたからです。実は自分がもう若い世代に伝えなければならない年代になっているにもかかわらずです。

 映画は被爆者達の発言を中心に進みます。声高に訴えるのではなく事実を淡々と伝えることで、逆にその悲惨な事実が染み渡って来ます。
 一方アメリカ側で原爆に関わった人達の発言は、もっと悲惨な自体を起こさないために必要だったのだと、自分自身に言い聞かすようにも聴こえます。こちらはこちらで悲劇であることは間違いないでしょう。

 それにしてもアメリカ側の原爆に対する教育のトーン(端的に言うなら正当化)には異論があるところですが、かたやで平和の式典等に参加するアメリカ人が年々増えていることも確かです。
 近いうちにアメリカのケーブルTVでこの映画が一ヶ月放映されるそうです。おそらく初めて原爆の起こした状況を知る人も多いと思われます。
 
 それにしてもこの映画、日系三世の監督の撮ったアメリカ映画です。一度観たいのは、このテーマを扱った、日本人の監督の日本映画です。