植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

フレイルチェックとBlue Bayou

2022年11月30日 | 雑感
自治会の老人向け行事で「サロン」を開催いたしました。今回のテーマは「フレイルチェック」フレイルと言う言葉は弱る衰えるという意味です。日本人の老人が現在、総合的にいかなる状況で、その結果健康寿命や老後の生活にどんな影響を及ぼすかなどを判断する材料となるようです。

当自治会で集まったのが16名に対して、チェックをする主催団体のサポーター(ボランティア)さんが8名、平塚市役所からは2名という多勢が来ていました。受ける方の町民は恐らく平均年齢は70代の後半でありますが、当地ではオジサンおばさんと呼ばれていて、おばあさんと呼ぶのは90才を越えた頃からであります。

町内の年寄りは長命で、ワタシの分析では、昔から漁港の近くで新鮮な魚主体の食生活であった、そして「言いたい放題やりたい放題」のノンストレスの土地柄であったことと関係していると思います。

アンケートや設問も、老人会に入っているか、とか一人で歯を磨けるかなどこちらを完全に老人扱いしていて、先方のスタッフも、各机に一人ずつつきっきりで、書き方を指導するのがいかにも「うざい」のです。やれボールペンはダメとか、設問をどんどん先にチェック入れないでとか指図が多いし、そのわりには書式に名前を書く欄が無いのに、余白に名前を書けとか、赤と青のシールを使い分けるなど実に分かりにくいのです。自分が何も禄に出来ない年寄り扱いされたのは生まれて初めてで、いささか不愉快でした。
滑舌テスト、筋肉量測定、片足立ちなどの健康状態を測定し、多くのアンケートに答えると、丸2時間を費やしました。

結果としては、皆さんのチェックはとても良好であったと驚かれましたが、天気も悪いのに、今時わざわざこうしてやって来る年寄りは、そもそも健康で活動的な方がほとんどです。具合が悪いとか社会的に孤立している人は来ませんよ。よく観察すると、どうやら地域の老人を慰問したり、活動の手助けをするというのは表向きで、東大の先生が主催するフレイルチェックのサンプル集めや研究材料に使うのが目的のようでした。

さて、すっかり慣れない午前中を費やして昼食後、珍しく体を休めようとテレビを点けたのです。普段。日中はやることが多くて昼寝をしたりテレビを見ることはありません。WOWOWでちょうどやっていたのが『8年越しの花嫁 キミの目が覚めたなら』 という実話にもとづいた邦画で、全編落ち着いた作りで、泣かせ所の多い佳作でありました。若い人が殴り合ったりキャーキャー騒ぐ馬鹿映画が多い最近の日本映画ですが、めずらしく最後までじっくり観ることができました。しかし、このタイトルはいささか出来が悪いように感じます(人の事は言えませんが笑)。

病気で何年も昏睡状態になって奇跡的に蘇ったものの、記憶がほとんど失われて「赤子」状態の脳になったのでした。それでずっと付き添ってくれたフィアンセのこともわからず、携帯電話のPWも思い出せずにメールを開くことが出来なかった。ところが、結婚式場のスタッフに偶然会ったら、婚約者が毎年同じ日に結婚式の予約を入れ続けていたことが分かって、その日にちがパスワードだった、という展開でした。こんな話なら「パスワードを教えて」とかなんとか気の利いたタイトルにならなかったものか、と思いましたね。

何度かちょっと涙腺が緩む映画であったと得した気分でいたら次の番組が、洋画『 ブルー・バイユー 』( Blue Bayou ) でした。韓国系アメリカ人のジャスティン・チョン監督・主演、共演は『トゥームレイダー ファースト・ミッション』 で二代目のララクラフトを演じたアリシア・ヴィキャンデルでした。アメリカで社会問題化している国際的養子縁組が生んだ理不尽な悲劇を扱った2021年の映画で大変好評であったようです。 「バイユ」は、アメリカ南部の入江・湿地帯のことを指し、和訳するなら「青い入り江」となるでしょうか。

映画の中では、アリシア演じるシングルマザー(主人公が愛する妻キャシー) の連れ子ジェシーとこの沼で遊ぶシーン他何度もBlue Bayou の景色が映し出されます。主人公がまだ乳飲み子だった時、実母から湖で水に漬けられて死にかけるという記憶とダブるのです。そして、癌に侵されて余命いくばくもないベトナムからの難民女性の自宅のパーティーで、キャシーが歌った歌がBlue Bayou でありました。

この映画は、養子制度をテーマにしてはいますが、突き詰めれば親の愛情の形、実父と養父の間で揺れ動く娘の心情などを美しくまた悲しく仕立てた感動的な作品に感じました。強制送還される養父の背中に「パパ、行かないで」と訴えて泣く娘のラストシーンは、歳のせいで涙腺が緩んできているワタシにとってはなかなかきつかったのです。

そんなわけで、季節外れの生暖かい強風と雨の昼下がり、大変結構な和洋二本の映画を観賞出来て得をした気分でありました。

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