植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ちょっといい話 孫とイチゴ

2022年05月07日 | 雑感
先日、新潟に暮らす長男親子が、嫁さんの実家でゴールデンウイークを過ごした帰りに、当地平塚に寄っていったのです。あちらでは、孫が熱を出したり嫁さんのお兄さんが転倒して骨折したりと大変な休日だったようですが、田舎でのキャンプ体験も出来て、大変いい思い出になったと聞きました。

ワタシの家に着いたのが昼前で、予約していたお蕎麦屋さんでお昼を食べましたが、翌日には孫たちの学校が始まるので、ゆっくりしてる暇がなく、すぐに新潟へ向かうというのです。一日車を8時間近く運転するという芸当はワタシには出来ません運転が好きで体力気力があってこそでしょう。

出発までのわずかな時間に二人の孫を、ワタシの仕事場兼庭園・菜園に連れて行きました。この春に来た時、すももの人工授粉を体験させたので、結実したのを見せようとワタシの果樹エリアに連れて行きました。ちょうど「クサイチゴ」が熟れて橙色の甘い実をつけているので、食べさせようと思ったのです。

クサイチゴは、日本の野山に自生するラズベリーの仲間です。知らない人は「へびいちご」と混同して食べられないと思ってる人も多いのですが、自然の野イチゴは甘く瑞々しいものであります。ワタシは6年かけてこのクサイチゴの栽培に取り組んできたのです。

いつも行くゴルフ場の林の中に自生するのを見つけ、プレーそっちのけで摘んで食べていました。そして、これを持ち帰って植えて増やそうと思ったのです。6年前、林の中一面に広がる棘だらけのクサイチゴを、2,3本をそっと堀り上げてプランターに植え付けしました。幾度か枯らしましたが、それでもかなり増えて翌年にはちょっと開花もしたのです。しかし、ここからが大変、プランターから地植えに移行しましたが、花は咲いても受粉せず一向に実が付かなかったのです。日照・土壌などが影響するのだと考え、4か所ほど場所を変えやっと実が付いたのが一昨年でありました。昨年は数百個の実がついて、知り合いのケーキ屋さんに持ち込みベリーのケーキになりました。

今年は春の長雨と低温が響いて「不完全受粉」になったと思われます。満足に果粒が付かず、大きさも昨年よりはるかに小さいのです。しかし、数は徐々に増え毎日熟れてきたのをつまんでいたのです。

そして、孫たちにこれを食べさせました。鋭いとげが無数にあるので、手を突っ込んで摘み取るのは小学校4年と2年になったばかりの男の子には酷というものです。彼らは初めて口にするものでしょうが、なんの躊躇もなく口に放り込み「美味しい・甘い」を連発しました。2.30個を取るとあらかた今日の分はお終いです。ふと見ると、下の子の手にはクサイチゴが2個残っています。
彼は「お母さんに持っていくんだ」と言いました。隣のお兄ちゃんの小さな手のひらにも大事そうにイチゴの実が乗っかっていました。これは、お父さんの分、と言うのです。

あぁ、この子たちの優しさ、両親に対する心根がなんと素晴らしいのだろう、と、一瞬グッとくるものがありました。ワタシの長男は、子供の頃年寄りに甘やかされワガママで自分勝手な性格なのを気にしていました。成人してもどこか自己本位で、親としても行く末を心配していたのです。しかし、結婚し子供が出来ると人が変わったように改心しました。何よりとびぬけて子煩悩なのが驚きだったのです。孫たちは、長男夫婦の愛情に包まれ、素直で気持ちの優しい子供に成長している、と確信しました。

家に着くと、上の孫は長男の所に駆け寄って、その口にクサイチゴを持って行ったのでした。ワタシの長男には「君の育て方は間違ってなかったよ」と褒めてやりました。彼は黙ったまま少し頷いた様に見えました。

実は近しい親族が、とても困った事態になっているので、数週間、ワタシ達夫婦は陰鬱な気分であったのです。
 こんなささいなことでしたが、今年のゴールデンウイークはとてもいい気分で終えることが出来ます。苦労してクサイチゴを育てた甲斐がありました。ここまでワタシは間違いだらけの半生でした。しかし、子供を育てていくつも悩んだことも、今となっては楽しい思い出となりました。

ありがたいものです。

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