植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

封門の石 石の価値は彫ってみてわかる

2022年02月09日 | 篆刻
 相変わらず暇さえあれば、篆刻印を彫っています。また、ヤフオクをチェックして「印材」を物色しています。今年の年初の目標は、篆刻の公募展出品と手持ち書道具のヤフオク出品(処分)であります。欲に駆られて落札し続けているうち一生分の印材が在庫になりました。また、ヤフオクを始めたての頃、何の知識や「見る目」もないままにランダムに落札した書道紙・墨・硯などが室内の棚や収納に溢れているのです。

 本当に必要な消耗品(半紙・印材)を除けば、書道筆は10本もあれば間に合うのに200本以上になりました。基本的に「墨汁」で練習するので、墨を磨るための硯は不要なことに気づいたのは時遅く、すでに数十個あります。印泥や書道本、硯に水を差す「水滴」などもせいぜい数個在れば事足りるのに、ヤフオクで見かけるとつい手を出しています。

 約二年間でワタシの評価点が二百数十ポイントということは、300回近く落札したことになります。そのほとんどは1回1万円以下なのですが、それでもかなりの金額を費やしたことになります。これをせめて半分は回収しよう、部屋も片付くし、また落札する軍資金になります(笑)。

 印材に関して言えば、①観賞用・愛玩用の高価な印・年代物の古印 ②作品・商品用の良質な印、紐がある良材 ③練習用の安い印材と大別しております。普段は、摸刻や練習で、安物か他人様がすでに彫ったものを印面を潰して再利用するのに使う③になります。②の良材は、「青田石」の旧坑産出に限ります。これは、実際彫ってみてわかるものですが、篆刻の先生方も異口同音に古い時代に、銘石が埋蔵された山から採掘され切り出された「旧青田」が彫りやすいと評価しています。

 その旧青田石でも、実用的なもので最高級レベルの品質の石を生み出したのが「封門」という「ブランド石」であります。 (普通)青田 →青白青田→特級・上青田→蘭華青田・醤油青田・封門藍 の順に等級が上がります。今市販されている青田石はその下で、質が悪いアフリカ産が大量に紛れ込んでおります。封門は青田県山口鎮の封門 で採れた青田の中の精品と位置づけされているのです。透明感があって肌理が細かく、薄い緑で青みががった均質な地色の石材であります。

 良材は、彫ると小気味よく刀が入っていくし、強度があって細密な部分も非常に薄く削れます。引っかかりが無いので滑らかな線が出せるのです。

 このブログでも前に「蘭花青田」のことに触れました。

こんな藍色の星(釘と呼びます)が入ったものですが、滅多にヤフオクでもお目にかからない逸品であります。これは、実用品では無く「観賞石」というべきもので、1個5万円以上いたします。

 今回懲りずに落札したのが「封門青」の一群です。一人の出品者が、3~5個まとめてと、一個ずつ箱入りのものなどを初期の価格500円から10件ほど出品していました。封門の産であるか否かは確かめようがありません。信ずるより他は無いのですが、手にしてみればその「値打ち」はわかります。これらの出品も数少ないので、出れば手に入れておきたいと思っていたのです。そこで一気に6件で16個を落札しました。総額3千円(笑)。一個200円に満たない値段ですから、そこらのホームセンターで売られる同様の大きさの青田石と大差ありません。
 これが現物であります。

 黄色味がかった「菜花青田」紫色の模様「紫檀青田」、更に淡い墨を流したような模様もあります。いずれも角柱材では無く、上部が角の無い丸みのある「自然石風」な仕立てで、光沢がある美材であります。こうした石は、たとえ切り出した角材を機械を使って、丸みをつけて高級感を出すにせよ、透明感や光沢を出すにせよ、手作業で非常に手間がかかるのです。
 仮に、元の材料の原価が0円であったとしても、それを整形し表面を平らに磨き艶出し(オイルを塗ったり蝋を塗ったりすることもあります)し、さらに物流・流通コストを加算すると一個千円位にはなるのです。

 届いたものを子細に見ると、すこしづつ傷や欠けが見られます。想像するに、「高級印材」として取り扱われている封門のうち「傷物」があって正規の値段で売れないものがまとめてヤフオクに流れたのではなかろうか、と思われます。
 実用には全く問題がありません。印面以外の傷はある程度ペーパーで磨いて丸くしますし、印面にある「欠け」はどうせ古印に見せるよう何か所か打ち欠くことになるのですから。今回届いたものは、いずれも模様が入った「色物」です。それはそれで美しいのですが、封門石は、そもそもそのベースは黄色味がかった半透明で無地のものが基本だと聞きます。
あぁそっちも欲しいなぁ。

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