植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

篆刻印 私がタダで彫るわけ

2023年11月24日 | 篆刻
いつも無料でいいですよ、それが決まり文句であります。
今まで多くの方に印を彫ってきました。最初の頃は知っている人に片端から同意を得て姓名印を彫り、押し付けるということで修業を始めたのであります。約5年くらい前になります。
これを「押し彫り」と呼んでいます(笑)。当然相手の方が欲しいわけではなく必要も無いのですから、お金なんぞは頂きません。ヤフオクで集めた使用済み・未刻印に好きなように彫ってはレターパックで送るようにしていました。中には送料位は、と言って切手などをお礼に頂きました。

そのうち、知っている人にはあらかた彫ったので、次に、様々な書道・篆刻関連書物にある名刻を「摸刻」つまり真似をして出来るだけ同じように彫ることにいたしました。ワタシには師匠はおらず、篆刻入門書なども読んでいません。来る日も来る日も摸刻を繰り返し、とにかくたくさん彫ることに特化したのです。

2年もやって、それがだんだん飽きてきたので、目を付けたのが書道チャットです。自分の彫った篆刻印の写真をアップし、こんなもんで良かったら「タダで彫るので欲しい人はどうぞ」とやりました。年齢性別、書道のキャリアも全くわからない人に彫ってあげます、というのはいささか乱暴ではありましたが、誰彼区別なくその時の最善・最良の印を彫ろうと懸命に彫りました。結果として高校生の子から、書道教室を開いている師範級の方まで30人以上は彫って差し上げたのです。中にはお弟子さんの印を頼みたいという依頼もあり、それだけは一個3千円(だったか)で10人位の姓名印や雅号印を彫りました。

その頃には、ようやく人並みに彫れるようになり、自分の練習代わりにタダで彫るから、書道をやっている方に落款印を彫ることで応援したいという心境に変わりました。専門家の方からもオーダーを頂くというのは、それなりにワタシの彫る篆刻印の価値が認められてきた、というかすかな自信も芽生えて来たのです。

いくらかの現金やらお菓子などがお礼に届くようになりました。でも一番うれしいのは「槐松亭」さんの彫ってくれた印を落款に使いました、と写メを送ってくれることであります。

家内などは、あんたは人がいいのよ、少しくらいお金を貰えばいいのにと文句めいたことを言います。時間をかけ、石代と送料もかかっているのですから当然と言えば当然であります。

しかし、ワタシはまだ有料で彫ります、と宣言する気になりません。その理由は以下のとおりであります。
①とりあえずお金に困っているわけではないので、お小遣い稼ぎは不要
②印材はしこたまあるので、消費して減らしてもいい
③相手は誰か知らないけれど、書道愛好家さんと、円ならぬ「縁」が出来る
④製造物責任、つまり金を貰うとそれだけ苦情などのトラブルが出る可能性がある。気に入らないとかここを直してとか言われると面倒なことになります。
⑤お金のやり取りが面倒ですし、確定申告(笑)に収入を計上しなければならない

などを考えると、有料で彫る気にはならないのであります。
ただ、ここではっきりしておきたいのは、「お金が取れるほどの腕前ではない」とは決して思っていないということです。たとえいささか拙い部分があったとしても、全霊を傾け、気に入るまで何時間もかけて自分が納得するまで彫っているからであります。

そのうち、仮にもしワタシの作品が公募展で認められたり賞を貰ったりして、ちょっとステイタスが上がって、「先生、お金はいくらでも出すから彫ってください」と誰かが言って来たら、その時はちゃんと一個1万円以上頂きますよ。
残念ながら、そんな心配は取り越し苦労というか、なんとかの皮算用ということになりますね。

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