植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

無農薬・有機栽培は消費者のエゴだ!!

2023年05月04日 | 植物
鳥インフルエンザの爆発的流行と、円安・ウクライナ戦争などの影響で輸入農産物の価格高騰が主原因で、「卵」の値段が上がっています。昭和の時代から「物価の優等生」と呼ばれ、じわじわと世の中の製商品が値上げになる中、ずっと1個10円位のままで推移していました。1970年ごろからは少しづつ値下がりしていたほどなのです。おかげで庶民の味方として卵はみんなに重宝がられ、国民の健康や栄養状態の維持亢進に貢献してきたのです。

今は、そのころの倍、一個20円以上となっていて「家計を直撃」しているそうであります。テレビの報道番組でも、卵が高くなって困るというメッセージが多数出ています。しかし、今までが安すぎたのですよ。有精卵を産ませて孵化し、ずっと死ぬまで買ってきた餌をやり続けて、世話をして産んだ卵です。卸販売業者を経て流通・運搬コストをかけ、スーパーなどの小売店舗でも人件費や光熱費がかかっています。これにわずかでもすこしずつ利益が乗っかっているはずなので、一個10円などというのは奇跡に近いのであります。

みんなの大好きなBBQ、焼き肉、ステーキ、これに不可欠な牛肉は値段が高いのが当たり前です。海外から輸入してきた肉ならば安い、これは育て方や餌によるものでしょうが、和牛に比べると明らかに固くて美味しくありません。100g4~500円なのは、品質を考えたら仕方ないことでしょう。
和牛はその点、子牛の時から大事に育て厳選した飼料を与えサシが入った柔らかい肉になるよう工夫しているそうです。黒毛和牛の場合、生まれてからだいたい30~36か月で出荷されるようです。

そして、成牛になって食肉にするとき、その体重800㎏前後からとれる「可食部分」はたった30%なんであります。残りは頭と骨と皮で、皮は何かに利用されているでしょうね。骨は粉砕されて飼料か肥料になるかもしれませんが、それにしても食べられる部分が少ないのですから値段が高くても文句は言えません。このGWで家族が全員集合してバーベキューをやりましたがそのお肉は近郊にある「柏木牧場」から買ってきた産地直売品です。新鮮で出所が明らか、しかも流通コストがかかっていないので「和牛フィレ肉」が100gで1400円位で買えるのですから、みんなに喜ばれますね。

さて、ワタシの菜園と果樹園、といっても全部で40坪ばかりの狭い土地にごちゃごちゃと植えているのですが。ここで自分の家族やご近所さんだけのために食べられる野菜や果物を作っているのです。
自分で食べる美味しいもの、とくれば採算などとは無関係で、ふんだんに有機肥料をつかっております。

腐葉土・たい肥・牛糞たい肥・自家製ぼかし肥料(肥料や腐葉土・雑草・ぬかなどを発酵させて作る)・鶏糞、これに「有機化成肥料」も加えています。しかし、それだけだとバランスが悪くなり、連作障害も出てくるので、緩和剤や骨粉・化学肥料・液肥などで補っております。 窒素 (チッソ)、 リン酸 ( リンサン )、カリウム(カリ )という三大要素をちゃんとバランスよく施すのが大切なのであります。
そのすべてを有機肥料でやろうと思ってもなかなかうまくいかないのです。

一方農薬です。大きくは「殺虫剤」「殺菌剤」ですが、これ以外にも「発根促進・無核化・植物成長調整剤 」、殺鼠剤、除草剤などが含まれます。ワタシもいつの間にか、20種類ほどの薬品を使用しております。これはどうにも仕方ないのです。

今は、害虫が襲来しその退治に大わらわなのです。アブラムシ・カイガラムシなど小さくほとんど動かないが大量に増殖するもの、葉物を食い尽くし根まで荒らす「ヨトウムシ」、バラの花を食べ散らかし、土中で根をかじるコガネムシなどが代表的です。これに留まらず、柑橘類につくアゲハ蝶の幼虫、キャベツなどの青物に産卵するモンシロチョウの幼虫(青虫)・クチナシ専門の「オオスカシバ」などなど、すでにマイガーデンのあちこちに大量に発生しているのです。

食べ物でなければそこは割り切って農薬を使います。殺虫剤ならば危険といわれる毒性が強いネオニコチノイド系の農薬も使用します。(身分証明と印鑑が必要) 葉っぱから浸透して植物全体に殺虫成分(浸透移行性があって昆虫全般の神経を狂わせる効能)が行き渡るので、即効性はありませんが、これを食べた昆虫はほぼ例外なく徐々に確実に死滅します。ミツバチを全滅させる恐れがあるので、欧米では厳しく使用を制限・禁止されている国さえあります。

自分が食する予定の食べ物までこれは使いたくないので、基本的には目視と手作業での除去となりますが、アブラムシや土中に潜んで夜中に食い荒らすヨトウムシはそうもいかないのです。今のところキャベツやエンドウなどの葉っぱは、毎朝葉の裏を一枚一枚点検し、「産卵」しているとその部分だけ切り取って、メダカの餌にしております。生餌にはメダカも目がありません(笑)、これがいい栄養源になってメダカの産卵に寄与します。

アオムシは、緑色で、しかも葉脈そっくりに擬態しているので、なかなか発見できないのです。しかし、葉っぱに穴があれば確実に害虫がいる、そして黒い糞があればすぐ周りにかならず青虫がみつかります。

白桃にはびっしりとアブラムシが集っておりました。分泌する液でありも集まってきます。葉っぱがべたべたになっているのですぐわかります。これはもう農薬散布しか道がありません。放置すれば桃の枝葉が弱り不潔になって病気も発生します。

今日はこれから、ブドウのための薬剤ジベレリンを買ってきます。種なしにする効果と肥大化に抜群の効果があります。残念ながらワタシは素人なので、蕾→開花のタイミングに合わせて処理することが困難なのです。一斉に開花しないので早かったり遅かったり、均一にもれなくジベレリンの溶液に浸潤させるのが出来ないため、種アリになってしまうのは仕方ありませんね。生産農家さんはこれをきっちり剪定することで開花時期を揃えるそうです。種なしブドウにするためにも手間をかけ、黒糖病などの数十の病気対策で農薬を何回もかけます。夏には葉っぱを食べにコガネムシが大挙してやってきます。

皆さんがスーパーで甘く種なしの大粒のブドウが食べられるのは、こうした地味な努力と農薬のおかげなのです。

「無農薬・有機栽培」は消費者のエゴだ、これが家内の口癖であります。安全で美味しいものを食べたかったら、高い値段と少しばかりの農薬は受け入れなければならないのです。

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