植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ちょっとしたお宝くらいなら手が届く  

2022年03月28日 | 篆刻
このところヤフオクで落札が出来ておりません。
昨夜も伏見冲敬 先生(日本を代表する近代書道家・最も著名な書道字典の編纂者)の篆刻印や、中国の篆刻家丁二仲さんなどの百年以上前の古印を見つけて入札したのですが、高値で他の方が落札、あるいは高値更新のまま「出品取り消し」となって落札にはいたりませんでした。数日前も気に入った印を見つけましたが、20万円以上になって手が届かないことが増えました。そのほとんどは、評価点が数千点という方がたの落札なので、ヤフオクの常連・恐らく美術商などの専門的な人達が、豊富な資金で買い漁っているのではないかと想像しております。

 仕方ありません。転売や将来の高値を期待して値打ちものを蒐集するでもなければ、骨董品集めが趣味でもないのです。書道・篆刻を嗜み、そのための実用品を安く入手する延長線で、深い芸術の世界を体感し、一流の品、あるいは古い先人たちが愛用したようなお品・道具を手に感じるという、ささやかな楽しみなのです。

 乏しいお小遣いでひょっとしたら「お宝」が入手できるかも、という人並みの射幸心は否定いたしませんが(笑)

 そんななか、ここ2週間でやっと落札した品物が数点あります。ワタシも2年以上書道具専門でヤフオク入札を繰り返し、かなりの「授業料」も支払いました。硯や田黄石もどきの印材は、ほとんどがまがい品で相当な失望も致しました。しかしながら、徐々に目が肥えてきたせいか、これぞというような品物は、ワタシの予想以上に高額な値が付くことが増えてきたのです。
 今回の品物は、そんな「骨董価値」がつくような銘品ではないので、さほどがんばらなくても落札できたのでしょう。


まずは、印泥箱であります。通常印泥用の箱は底を除く外側に硬い紙に化粧布を張り、中も光沢がある安っぽい化繊の布を敷いてあります。これに印合(印泥入れの磁器)を収納し上蓋をします。例外は漳州八宝印泥で、ほとんどが赤茶色に塗った平置きの木箱に入っております。

 写真のものは、縦置きの木箱で、中は2段、上に印泥入れ、下に小さな引き出しが付いており、全面の蓋をスライドさせて上に引き上げるのです。内面は上質な絹張で全体としては飾り物としても雰囲気のあるものです。
 左のものは半年ほど前印泥入りで5千円ほどで落札しましたが、大変満足しています。印泥入れも他には見かけ無い赤絵の龍文で良いものであります。
 
 今回落札した木箱には中の印泥容器は無く、収納箱のみ。その違いは表の表記、「西冷印社・呉昌碩 」の彫りであります。実はこれとほぼ同じと思われる印箱(内張りの布地の模様が違う)が、以前からヤフオクに出品されていたのですが、その即決価格が4万円であったのです。さすがにちょっと憚られる値段でありました。それが16千円で落札できたのです。漆塗りのような深みがある唐木の木箱は、丁寧に細工が施され状態もよく、ワタシにとっては大変満足なお買い物でありました。

 次は、同じ写真の右下の陶器であります。これは、書道・茶道に用いる「水滴」です。水滴は50点近く集めていてその主なものは「古銅」であります。場所を取らず、極端に高いものも無いので、コレクションにはいいのです。今回見つけたのは「時代物の緑釉 水滴」です。陶器・磁器についてはほとんど専門的な知識は無いので、骨董品にも絶対に深入りは致しません。しかし、この小さな水滴は、ネットでも初めて見かける形と色であり、とりわけ底のデザインが気に入ったのです。
ワタシはこうした手間をかける品物を好むのです。何のデザインか、どこで作られたものかは不明ですが、たまたま見つけた小品、これが1,200円で落札できたのはラッキーと言えるかもしれません。

 最後の品は、お馴染みの刻印ありの古印です。
 3,800円の落札額なので、普通ならとても値打ちもの、掘り出し物とは言えません。しかし、印材そのものは、自然石、それも高山魚脳凍によく似ており、薄い半透明の素地に淡い黄土色の斑紋が混じっていて非常に上質な印石なのです。ラオス石やパリン石にもこうした印材は売られていますが、それらはカラフルで奥行きの無い下品な色合いであります。
 しかも印面を除く5面には簡素ながらも「薄意」が施されております。印材の重量を減らさない程度に浅く山水の景色などを浮き彫りにした印材は、極めて高価・希少な石質の材に共通する特徴です。銘・作者名は読み取れず、無名の篆刻家が彫ったものとも思えますが、いやいやなかなかの品物ではなかろうかと思います。

 ともあれ、このところちょっとヤフオクは見るだけの日々です。本日は「印材まとめて」「書道筆大量」を3件チェックしております。まとめて数点から5.60点ほどいっぺんに出品されている中にお宝が混じっていることがあるのです。慧眼・目利きの領域に近づきつつあるワタシの眼鏡にかなうお品でありますが、果たして安値で落札できるかどうか・・・・

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