植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

ワタシはもしかしたら たった今幸運を手にしたのか(前編)

2022年09月08日 | 篆刻
人間生きていて、運のいい人悪い人、これは残念ながらあるようです。ある人に言わせると、いやトータルでは似たり寄ったりなので、とても幸運な事があれば、それに見合った不運や不幸が訪れて、大体釣り合うのだと。

そうかもしれませんが、中には飛びぬけてラッキーな人がいて、ついていない人もいる、金持ちも居て貧乏人もいる、長生きの人が居て若くして病気や事故で亡くなる方も多い、それが現実であるように思えます。何の落ち度もなく、送迎バスに閉じ込められ、熱中症で苦しみの中人生を終えた園児の事を思うと、人の人生や運命はなんと残酷なのだろう、と胸が痛みます。

不注意で見過ごした園長(理事長)は地元の資産家の息子で何不自由も無い暮らしをし、代々続いた幼稚園の経営をしています。若い頃からぼんぼんでちゃらんぽらんだったという情報があり、会見でも自分が認知機能が低下してなど言い訳と、要領を得ない不明朗な受け答えに終始していました。ここにきて、その幸運なお生まれと人生を今回の事件によって、相殺することになったのかもしれません。

しかし、亡くなった「ちなちゃん」は救われません。悲しい事です。


閑話休題
そんなわけで、毎日のようにヤフオクで出物を物色しており、このところいくつか「落札」にいたりました。ギャンブラーは勝ったことしか覚えていない、自分が勝ったことを吹聴しても、負けた時のことは言わない、あるあるであります。ヤフオクも、「オケラ」・すってんてんになることが少ない賭け事とも言えます。写真と説明書きなどのわずかな情報をもとに、ある時は数万、数十万円を投じるのです。

このところいくつかの印材などの落札物は、「うー-ん、残念」やられたー、というものがありました。6件総額で2万円弱の印は、合計17個、そのうち7,8個は駄石で、一個せいぜい数百円、紐(持ち手の飾り彫り)や篆刻ありのものも小さい、石が上物でないと、自分で落札していて言うのもあれですが、見る目が無いと言われても仕方ありません。唯一これぞと思った緑石は、思った通り「広東緑」の良材で、しっかり磨くとなかなかの値打ちもので1万円前後の価値と見えます。


更に、「天然石・金田黄凍石」を13千円で落札しました。9人の入札がありましたが、いずれも「評価点」が数十という初心者ぽい方たちであったのです。田黄の名品は、一見すると、琥珀色飴色の透明感があり、ツヤツヤピカピカに磨かれていると「人工石」にさえ見えるのです。出品物はやや色合いの変化はあるものの、やはり作り物に見えました。現物が届きました。今までと同様(笑)、やはり人造石でありました。印箱は現在市販される麻布の布箱、だいたい千円というところ。救いは、印刀が歯が立たない程は硬くない、ぐずぐずになるほどもろく柔らかくないというところです。そのうち、側面にそれらしい側款を入れ、印面も彫っておけば、5千円位で売れるかもしれません(笑)


その次に落札した印材は、8点まとめて3,100円でありました。こちらは半分は紐や側款ありのものですが、これもせいぜい一個千円前後の安物です。しかしいずれも立派な印箱が6個、使われている模様のある布が美しいので箱を買ったと思えば良かろうと思ったのでこれは不満がありませんでした。

3回の内2回がハズレであったのです。そうして又、今朝さきほど届きました。これは、出品者が印の知識があまり無いようで、全部で雑多な品物が20件程出ていたのです。写真は4枚だけで、説明書きには「「寿山石 箱入り 印章」とあり「詳しいことは分からない」。最低価格1万円、ワタシだけが単独入札でありました。つまり、ほとんど誰の目にも触れられない雑品・紛い物扱いであったと思えるのです。

ワタシが落札した理由は以下の通りです
①木箱(共箱)入りで、しかも更に紫の裏地を当てた渋い光沢のある布袋に収められている
②石は、ほとんど手を加えていない変哲もない自然石だが、水坑と言われる川の中で丸石になった佳材に見える 
③側款に「所蔵・趙之謙・74歳」などの文字が読み取れる
④刻字はわざと枯淡のおもわせる細い線を多用し、凸凹や抑揚のある字が意図的に見えた

こういう無造作な自然な印に趣を感じたのであります。
品物を開けたところ、ちょっと息をのみました。少し鳥肌がたったのです。

印箱のひもをほどくと「斉白石印章」と書かれ、更に箱の裏には「蘭径鑑」の文字がありました。額面通り見れば、「斉白石」さんは1957年に亡くなった中国現代芸術・篆刻の巨匠であります。その方の印章で、古美術研究家、書画鑑定家の山中蘭径さんが鑑定した「真正品」ということになります。

いやいや、信じちゃだめだ。イミテーション天国の中国の品物です。おおがかりに手の込んだ贋作であるかもしれません。

肝心の石材は、表面のへこみや小さな穴を態と磨かず、原石の風合いを残したように見えます。


例えば、田黄石などは、原石があった山から気の遠くなる歳月をかけて地表に現れ、偶然崩れ落ちたものが川に落ち、流されて丸くなりました。山のふもとまで来て土中に埋もれたのです。数万年埋まった間に表面がわずかずつ変化し「皮」になっているのです。これを見つけた人たちが、その皮を磨り落としてみたところ金色に輝く半透明な美しい石質が現れたのです。

それに引きかえ、田黄等の素晴らしい材を使いながら、どこも磨いて光らせることをしない、これが湖南省の貧農の家に育った斉白石先生の矜持であったかもしれないと想像するのです。裏面に、3センチほど縦に人為的に刀が削った跡があります。これは、鑑定した人か、幾人もの手に渡っていくうち好事家さんがその材の種類を調べるために目立たないように削ったのでしょう。

ワタシも「誘惑に抗えず」、先ほど、大胆にもそこを印刀で薄く削り超極細の紙やすりで磨いてみたのです。美しい艶が出ました!!。

これはひょっとするとひょっとする、大興奮であります。

続きはまた明日に譲ろうと思います。

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