植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

子作りは植物も大変  ジベレリンを上手に使おう

2022年05月26日 | 植物
サルナシを植えて3年、今年初めて下向きの楚々とした花がたくさんつきました。苗木の購入時「自家受粉する」というふれこみでしたが、ネットで調べると授粉樹が必要、という記述も見かけます。残念ながらあれだけ咲いたのに目視では一つも結実していないようです。やるなら近種のマタタビ・ベビーキウイの雄株を植えるのですが・・・・。いずれもツルが激しく広がりあたりに巻き付くので町中の狭い菜園では植えるのが憚られます。

実をつけないで、野良猫を呼び寄せるだけのサルナシならば、伐ってしまうのが得策かもしれないと思案中であります、どうしたものか

レモンも多くの開花を見ましたが、5月前後で降り続いた雨の為現段階ではほとんど受粉せずじまいであります。花の多くは濡れていると虫も近寄らず授粉いたしません。いくつか追加で花蕾がつきましたのでそちらに期待いたします。

スイカも然り、このところやや遅れて蔓が伸び黄色い花を咲かせました。晴れた日が続く早朝(例えば「今」のタイミング)に人工授粉するのがベストなのです。また、小玉スイカは花粉無しまたは少ない品種が多く、ちょっと前までは大玉スイカの雄花の花粉で人工授粉すると書かれていました。
 人間で言えば妊活・人工授精の流れになります。最近のワタシの研究(経験)では、品種改良が進んで、自家受粉可能な小玉スイカが出回っていると思われます。

残念ながらまだ、雌花が少なくツルの長さも1m足らずなので適期とは言えません。授粉用に植えている大玉スイカはまだ花も咲きません。もう少し株全体が広がるまで待てればいいのですが目前に梅雨が迫っています。雨になれば花が咲いても受粉に至らずそのまま黒くなって落ちてしまいます。今回はもう雌花を見つけたら、構わず他の株などから花を取ってきてこするつけることにいたします。

さて、問題は「ぶどう」であります。ブドウ自体は花数が多く自家受粉できる「風媒花」であります。その結実・受粉率は高く人工授粉する必要も無いのですが、そのまま大きくなると種が入ります。ぶどうは、やはり「種なし」が喜ばれます。食べた時に、皮はともかく種を嚙むと苦みもあり食べにくく感じます。高給ブドウならなおさらで、ほとんどの店頭販売品は「種なし」となっています。

他の果樹と違って受粉させないことが大事なのです。受粉しなければほとんどの植物は、花を落とし落果させて実をつけないのですが、1種の植物ホルモンである「ジベレリン」を花に与えると、受粉した、子供が出来たと勘違いして落果させず子房に栄養を送り始めます。人間で言えば想像妊娠であります。(笑)

ジベレリンはそもそも自然界にある黴菌であります。19世紀末から「イネ馬鹿苗病」の原因菌とされ20世紀初頭には、それが伸長成長の促進作用があること発見したのが「黒沢英一」さん、そしてその培養に成功したのがやはり日本人の薮田貞治郎さんだそうです。それ以来70年で急速に普及し、日本の農業に与えた貢献ははかり知れません。

一般的には、生物化学兵器として研究開発されて農業に転用された多くの危険性が高い農薬とは比べるまでも無く、極めて安全性が高く、様々な農業生産の拡大や品質向上・多岐化に寄与したこの研究や発見こそノーベル賞にふさわしい人だと思います。

ジベレリンの特性は、先に書いた種なしにする「偽装受粉」効果とホルモン効果があります。多くの果樹栽培農家さんは、最低2回のジベレリン処理を行い、種なしで大きい果実をつけるようにするのです。

そこで、ワタシの果樹コーナーには4種類のブドウがあります。一つはこの春に植えた1年生苗の「藤稔」で、当然花は咲かないのでそのまま。残りがシャインマスカット・ロザリオビアンコ・甲斐路、いずれも雨と湿気が多い日本では育てにくく病気になる欧州系・マスカット系の品種であります。

現在それぞれに新しい枝・蔓が伸びいくつも花蕾が付き始めました。これが品種と場所によって開花時期がずれてしまうのです。同じ株でも2,3週間開花時期が違ってきます。開花してからその花に水溶液を浸潤させるという、ジベレリン処理をするのに、一度で間に合わないのであります。

やり方を間違うと不経済で手間のかかる作業をいかに効果的に終わらせ、「種なし」「大粒」のぶどうに育てるか・・・・予定稿に達しました(早く作業しなければならない)ので、続きは明日ということで失礼いたします。

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