植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

篆刻と印材集めを再開する

2022年01月25日 | 篆刻
 年初来、何かと慌ただしく過ごしておりました。子供たちが帰省し、泊りで川奈ホテルのゴルフを愉しみ、寄席に行ってきたりでありました。自治会の賀詞交換など相変わらず雑事もあります。更に、懸案であったブドウの剪定と棚の補修・消毒などがようやく終わって、はたと我に返って、やっと書と篆刻の日々が戻ってきました。

 また、ヤフオクで篆刻関連の品を次々に落札するうち、彫るより石が集まるペースが大幅に上回った結果、ワタシの仕事場に印材が溢れてきたのです。練習で彫り摸刻したものならどんどん段ボールに投げ入れるだけなので、倉庫に積んでおけばどうということもありません。問題は、作品や販売用に保管している単価の高い印材と、観賞用の印であります。中には数万円のものもあり、いまだその石の種類や価値が定まらない高そうな印材などが山ほどあります。また、きちんとした篆刻家さんの銘入り篆刻印のコレクションも数百に及びます。

 もともと整理能力に問題があるワタシですから、さすがにこれはマズイと思うに至りました。まずは、ヤフオクの入札を抑制する、どんどん摸刻して手持ちを減らす、整理棚を整理してきちんと収納することを始めました。そこで印箱に入っていない印を傷つかないように保存するための「コレクション用・収納用」の大型の印保管箱をヤフオクで落札するという、一見合理的な行動に出ました。10連式の箱が計5箱、これで一個づつ入れても50個の印が収納出来ます。それに安心して更に印材を落札し、もっと品物が増えるという矛盾は抱えておりますが、ともかく大事なお宝だけでもひとまとめにしておけば、訪問者にコレクションを見せるのも容易になるという目論見でもありますな。

 右のものを左にうつすだけの愚かな行為とならないよう今度こそちゃんと整理しようと思いますが・・・

 篆刻自体は、落語家さんの篆刻印を彫って仕上げをした後は、直近3週間で4.5個彫っただけ、ちょっと集中力もなく、出来栄えも思わしくありませんでした。数日前から腰を据えて気合を入れ直しました。とりあえずは「徐三庚」の銘刻の摸刻であります。

 「徐三庚」さんは中国清代の著名な篆刻家で、やせぎすで神経質そうな風貌そのままに、非常に極細で「枯れた細枝」のような朱文を得意としております。その超絶技巧なゆえ伝統的な技法や趣意を逸脱していると評価されることもあります。しかし、技術を学ぶ(刀法)にはもってこい、不足なしであります。この人の印を本物そっくりに彫る技量が備わるということは、稀代の技法を持った篆刻家に近づくということですから。

 篆刻は、時代や書体を選び集字する「字法」、印面に空間を生かして配置するレイアウト「章法」、そしてそれに基づいて作成した印稿通りに彫っていく「刀法」の三法を習得せよと教えられます。摸刻は、一級の印稿が出来ているので刀法がメインとはいえ、自然と章法も身に付いていくと思います。

そして、数個白文(文字が白くなる陰刻)をやってから、久々に本格的な朱文の摸刻をいたしました。やや大きめで字数が多いので二日がかりでありました。下の写真の白文は肩慣らし(笑)で2,30分でざっと彫ったほったものです。右上の印がその朱文です。

これを、昨日、より丁寧に仕上げました。やはり本物に似せて手を加えるとぐっとしまって見えます。ワタシにしては上出来であります。更に線を細くするのも可能でありますが、これ以上は無駄というもの、別の新たな印に取り掛かって行こうと思います。

最後に最近届いた篆刻印材であります。性懲りもなくきれいな石、珍しい石を見かけると辛抱できないのです。
 右の印は「青田石」の中で珍重される「蘭花」の藍色の点(釘と呼びます)がちりばめられております。
 左上の印は、「無極」と印字があり「秋堂」の側款が刻まれています。ヤフオクの説明文には「艾葉」とありました。秋堂という名前は中国清の時代、18世紀末の篆刻家に見つかります。この方の名前が刻まれた印の出品はヤフオクでも数点ありますが、共通するのは「田黄石」「艾葉緑」、芙蓉石など非常に高価な石を使い、見事な薄意・紐が施されていて、2~17万円ほどの高値での最低価格が提示されている点であります。
 もしこれが真正の200年以上前の「秋堂」さんの作の印で艾葉緑ならば、大変なお宝でしょうが、真贋は不明であります。
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