植物園「 槐松亭 」

バラと蘭とその他もろもろの植物に囲まれ、メダカと野鳥と甲斐犬すみれと暮らす

どれも本物だと思えばシアワセ 信じるものは救われる

2022年01月11日 | 篆刻
印材集めを始めておよそ1年であります。知識もなくやみくもにヤフオクで珍しそうな石、奇麗な石を落札してきました。一方で篆刻のイロハから入門書や専門雑誌などを取り寄せてその情報を収集し、それなりにノウハウを蓄えております。残念ながら素人の悲しさでだいぶにせものやまがい物、粗悪品などもつかまされましたが、授業料として割り切るほかありません。

 その篆刻関係の書籍を読み漁ると、印材として最も適している石の種類は、概ね「青田石」に突き当たります。偉い篆刻家の先生たちも「古い良質の青田が彫りやすい」と評価しております。どの種類の石もピンキリで品質は様々です。数十年から2,3百年前に採掘されている「老坑」とか古材と言われる石は、質がいいものが多かったのです。

 青田石も然りで、いい石層から出た均質で滑らかな青田石が細工がしやすく適度の強度を兼ね備えていたのです。柔らかすぎたり脆い石は論外としても、硬すぎて印刀を跳ね返す石も使えません。雑質・ガラス質・砂などが混入していると刃が引っかかり、真っすぐに刻することができないのです。乱掘によって最近の青田石は良質の石を出す坑が少なくなり、質の悪い青田が出回っています。相対的に寿山の石がマシになってきております。実際中国では、10年ほど前から青田石がアフリカ産であることを公式に認めるようになりました。

 そこで「青田」の話であります。これまでこのブログも中国三寶といって「田黄・鶏血石・芙蓉石」中心に紹介してきました。しかし、実用の篆刻材としては青田に優るものはありません。青田石も種類が豊富で、その中には希少なもの・美材として珍重されるものもあります。燈光凍・ 魚脳凍と言われるのが最も高価とされているようですが燈光凍に至っては清時代以降発見されておらず、当然市場にも出回らないし、どんなものかピンときません。魚脳凍は、寿山石にもその名がつくものがあり、硯石にもそう呼ばれる石があったりして全くよくわかりません。

 割合はっきりしているのは色で仕分けされる種類で、例えば「醤油青田」、均質で芋羊羹のような風合いです。古材で珍重されたようでこれを刻した印はなかなかの高値で取引されています。青田というのは青いという意味では無く浙江省青田県で取れることを言います。ですから白い種類の「青白」はじめうす緑、乳白色、赤・5色となんでもありです。
ワタシが所有している青田石で上物の部類が下の写真です。
左の2本は薄墨が流れたような色合いが気に入っております。中央の二つは薄い青・水色と乳白色が青田特有の薄緑色に混ざって美しいのです。一番右は「醤油青田」であると思われます。

 ワタシが今一番注目しているのは「封門石」と「蘭花」です。青田の中でも上品とされる色合いで「封門山」が産地と聞きます。特徴は青や紫の斑や点が見られることで、真っ青な石は極めて高価で珍しいようです。青い点「藍釘」が点在するのがいいとか、それが無いのが上品だとか諸説あります。しかしそれ以外では本当に封門山で採掘されたかどうかは、素人目にはわかりません。

 そこでヤフオクであります。出品される印材から青田石を検索し、片端からそれらしいものを探しました。蘭花と封門をキーワードに探し当てたものをいくつか落札しました(数百円から2千円ほどで、さほど高額ではありません)
但し、「未刻印材4点」とあった出品物に「藍釘」がちりばめられた「蘭花青田」を見つけました。4人の方の入札があり9千円で競り落としました。これは、印材輸入の専門店では2~8万円で販売されているもので本物なら掘り出し物であります。印箱には、所有者が購入時の記録としてでしょうか「青田蘭花2×6.5㎝ 2000元」とメモ紙が貼られていました。(実際は1.8㎝でした)。もしそれを信じるなら1元18円として、36千円で買ったということになります。
青みがかった乳白色で半透明の中に、紫色と藍色が混在しております。角が減っておらず傷一つ無いので、割合新しい石材だろうと思います。一緒に含まれている紐付きの石も芙蓉石の良材に見えました。(下の写真の左下)これも実際は何の石かは断定できないのです。 
 精巧に作られた人造石の可能性も捨てきれないほど奇麗なのですが、確認のためにこれに刀を入れる勇気はありません。

因みに、写真右の細工(薄意)がある石は、先日届いていた「烏鴉皮田黄石のようなもの」であります。原石が黒灰色の表層をまとう至宝で、真正の田黄石で時代物ならば数十万円は軽いのです。田黄石は飴色の単色・均質で模様の無い透明感が強いものが最上級とされます。届いたものは半透明な下地に赤茶色と黄色い模様が流れているのです。しかも薄意が中途半端で近作と思われます。印面は平らでは無く、中央部が陥没してでこぼこの状態でした。(人造石ならば、少なくとも印面は平坦なはずです)。部分的にペーパーで磨いてつやを出させたらまごうこと無き自然石であります。

 これが3万円、本物にしては格安ですし、偽物にしては高い石でありますが、あながち粗悪品とは思えず、本物の「田黄石のようなものとして」妥当な値段なのかもしれませんね。
皆、本物の銘石だと思って眺めていればなんの問題もありません(笑)
コメント
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