ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

カラメルが生む苦味という味

2007-08-09 23:54:43 | Weblog
 花笠も終わり、今度はお盆に突入しようとしている8月前半、皆様、いかがお過ごしでしょうか。
 お盆前に料理とはまったく関係ない、私が実体験した心霊話をブログに載せようとしたのですが、マネージャーと審議した結果、ボツとさせていただくことになりました。
 理由は3つ

・話の内容が物凄い為、ブログに言葉として残してはいけない、とマネージャーに言われてしまった。(マネージャーは霊感が強く、時として見えるのだそうです)

・真夜中に読む人のことを考えて

・場所が特定される恐れがある(有名な滝のところではありません)

 以上の理由からボツになったのですが、どうしても話を聞いてみたい、と思われた方は、直接、お店の方までいらしてください。調理の手が空く22時頃でしたらお話できる事と思います。
 実話ですので事細かくお話できますが、その後、「怖くて帰れなくなった」「トイレに行けなくなった」「金返せ」などの苦情は受け付けかねますのでご了承ください。

 さて、話は変わります。今日は結構仕込があったものですから、早めに出てきて黙々とこなしていたわけですが、デセール(デザートの意)を仕込み終えてから調子に乗って、最近サボっていた、メレンゲの焼き菓子などを作ってしまいました。
 この、メレンゲの焼き菓子は一口サイズですから、デセールの後のコーヒー(仏語キャフェ)に何気なく添える「プティフール(小菓子の意、ミニャルディーズとも言う、因みに本来ミニャルディーズは、可愛い物という意味ですが、それが転じて小菓子にも使われるようになった)」としてお出ししておりました。
 作り方はさほど難しくは無いのですが、うまく焼くのが難しい、憎いヤツなのです。
 材料は、卵白、グラニュー糖、粉糖、T.P.T(タンプータンの略、同量の意、アーモンドパウダーとグラニュー糖を同量混ぜたもの)と、圧倒的に糖分が多いルセット。焼かずにそのまま食べたら、糖尿病は確実です。
 卵白、粉糖を高速のミキサーにかけ、グラニュー糖、T.P.T(もう理解しましたよね)をサックリと混ぜ、生地とします。
 それを絞り袋に入れ、1つずつ絞っていきます。形的には、厚型のマカロンのよう。
 そして焼くわけですが、130℃のオーブンで70分という結構長い時間。オーブンに入れてからラーメン食べに行って、戻ってきても焼き上がっていないくらいの時間ですよ。庶民的な例えですが。
 なぜこんなに長時間なのか?その狙いは、メレンゲの中をカラメル化させるためなのです。
 あれだけ糖分の多い配合ですから、中をカラメル化させて、苦味という味をプラスしないとただ甘いだけで終わってしまいます。
 しかも食感が、カリッ、ではなく、クシャ、というもろい音。中がカラメルなので、飴状になっていてこそ出せる食感。
 ですから、時間をかけてジックリ焼き上げなくてはなりません。因みに、途中でオーブンを開けることもいけません、熱気が逃げてしまいますから。

 こうして作った、メレンゲの焼き菓子は、カウンターにディスプレーも兼ねて置いているのですが、稀にお客様に「これ、食べてもいいんですか?」などと言われてしまう事があります。それはまだかわいい、目を盗んで勝手に食っている人もいるくらいですから、世の中大変ですよ。
 盗み食いの途中、目が合ったりすると「一個ぐらいいいだろ、ケチケチすんな!」などと、逆ギレしてしまう方もおりますから困ったものです。しかも、一個は口の中、もう一個は手に、という状態で。

 誰も咎めませんから、せめて、一言だけでも言ってくださいね。
コメント (8)
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