ラミ・デュ・ヴァン・エフ シェフのブログ ~言葉の錬金術~

フランス料理に限らず、色んな話のブログ内容です。

クラシック料理の絶対的な旨さ

2007-08-23 18:52:07 | Weblog
 2ヶ月ほど先の話になるのですが、他店舗のイベント(シャンソンリサイタルの前夜祭)に食のコラボレーションとして参加する事が決定しました。
 「モダンとクラシックの融合」と題されておりましたので、当然、私がクラシック担当ということになるのでしょう。
 しかし、改めて「クラシックな料理」というのを考えた時、難しくもあり、そして厳格な料理である事を思い知らされるのでした。
 フランス料理でいう「クラシックな料理」の代表選手は、オーギュスト エスコフィエ大先生という事になるわけですが、その大先生が19世紀にお出しになった本「ル ギッド キュリネール」をさりげなく読んでみると、「白ぶどう酒」や「赤ぶどう酒」「白色のルー」「褐色のルー」などの単語が出てきて、それだけでフランス料理の歴史を感じずに入られない気持ちになってしまいます。
 昨年の秋のランチに「ブランケット ド ヴォー(子牛のクリーム煮)」というのを載せたことがありましたが、この料理はかなりクラシック、かつフランスの国民的料理だと私は思っております。
 このときにお出しした「ブランケット ド ヴォー」は敢えて「白色のルー(ベシャメル)」は使用せず、「ブールマニエ(同量のバターと小麦粉を合わせた物)」で繋いで(繋ぐ事を仏語でリエと言います)作りました。(どちらを使用してもクラシックな感じなのですけど)作り方はこうです。

・子牛の肉を一口大にカットし、フォンドヴォライユ(鶏のだし汁)、クローブを刺した玉葱、人参、セロリ、ローリエで柔らかくなるまで煮ていきます。
因みに、カットした子牛をいきなり煮ていくのがエスコフィエ大先生流でした。

・煮汁を濾し、小玉葱、シャトーに剥いた人参(フットボール型に剥いた人参、これもクラシックな技術、駆け出しの人はちゃんとやれるよう練習しましょう)と共に煮詰め、子牛をこのだし汁の中に戻します。

・塩、コショウ、生クリームを加え、ブールマニエで繋ぎ、最後にレモン汁を加えます。

・バターライスと共に皿に盛り付けます。

とこのような工程なのですが、味的には、クリームのコク、味の濃厚さ、最後に来るレモンのさわやかな香り、という、「今夜は、今夜は、ハ○スシチュー」的なものとはまったく違う美味しさ。
今年の秋にもお出ししますので興味のある方は是非一度。

 この手のクラシックな料理は、絶対的な美味しさがあると私は思っております。しかし、それと引き換えに、重い、量を食べれない、太る、という負の部分も手に入れてしまうことも事実なのです。
 ですから、我々現代の料理人は、クラシックな料理というものを踏まえつつ、いかにして軽く食べさせるか、伝統を残しつつ、いかにして現代に蘇らせるか、という事を考えなければなりません。
 時代が変われば料理も変わるのは仕様がありませんが、昔からの仕事を覚えていて損はありませんから、もっと勉強しなければならないと思ってしまった次第です。
 因みに、日本料理には「紙塩」という技法がありました。
素材に直接、塩を振るのではなく、濡らした和紙を張りその上から塩を振る、というものですが、その方がゆっくり塩が回り、素材に負担を掛けないのだそうです。
それと、昔の塩は精製度が悪く、塩の雑味を濾過してくれる働きもあったそうです。
 抜群に精製度が上がった現代では、忘れ去られようとしている技法ですが、昔の先輩方の努力があったからこそ、今、私も料理のことを考えられるのだと思い、感謝するばかりです。

 そんなもっともらしい事を書きながらも、今日の賄いはカップラーメンでした。
チキンラーメンや普通のカップヌードルのようなクラシックなタイプではなく、
最近気になっていた「中華そば 黒旨」というものでした。すみません。いきなり庶民的な話になって。
 少し前にマネージャーと「カップラーメンって何が一番旨いのか?」という話になり、色々食べてみたのですが、「山頭火」と「GooTa(グータ)ワンタンメン」が上位を占めて譲りません。
今日の「黒旨」も悪くはありませんでしたが、上位入賞は見送りといったところでした。

 ん~、昔とは比べ物にならないほど進化したカップラーメン。
時代が変われば、カップラーメンも変わる、という事なのですね。
 どなたか、上位に入賞するようなカップラーメンをお知りの方がいらっしゃいましたら、ご一報ください。
コメント (4)
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