風そよぐ部屋

ウォーキングと映画の無味感想ノート

映画/American Hustle、はじまりは5つ星ホテルから

2014年08月06日 | 映画


抱腹絶倒、文句なしに面白いです。
実話を元にして、とありますが全くのフィクションです。
原題の、Hustleには、日本語でよく使う「がんばる=ハッスル」の他に、"詐欺"とか"激しいダンス"などの意味があるようです。
この映画では、もちろん「サギ」です。
冒頭、主人公の天才詐欺師・アーヴィンが写ります。
ものすごい相撲腹、涙ぐましい努力で、はげ頭にカツラを付けます。
この時点で、この映画は「コメディだ」と言っているのです。
ストリーにリアリティはありません。
政治家、マフィアを一網打尽に捕まえたい野心に燃える(ハッスルする)FBI捜査官(ディマーソ)に、
アーヴィンは、脅され、司法取引とおとり捜査に従わざるを得ません。
市長は、町の活性化のためにカジノ建設を企んでいます。
FBI捜査官・ディマーソは、カタールの投資家・シークをでっち上げ、
マフィアの仲介で市長にカジノ建設のための偽りの融資を画策します。
カタールの投資家・シークは、メキシコ人のFBI職員なのですが彼はアラビア語は出来ません。
取引の現場で、マフィアの親分が突然アラビア語でシークに話しかけます。
シークはしばらく沈黙、万事休すと思われた時、なんと見事なアラビア語で応え、取引は成功します。
お金を渡す場面で、マフィアの親分が現れず、全権委任された代理人の弁護士が出てきて交渉します。
"チョット待てよ"、少しおかしいぞと思い始めます。
「見事大成功を収めたFBI捜査官」は、ハッスル(激しいダンス)します。
この後、どんでん返しがあるのですが、それは、見ていない人のために隠しましょう。
さて、映画はサスペンスチックに展開しますが、根本はコメディで、隠されたストリーには、「落ち着き」(愛情)と"髪の毛"があります。
アーヴィンの妻(ロザリン)は、アーヴィンと別れマフィアの若い一員との生活を選び、
他方、アーヴィンは、詐欺から足を洗い愛人(シドニー)と彼の息子とともにまっとうな生活に入ります。
もう一つは"髪の毛"です。

アーヴィンは禿げとカツラ、FBI捜査官はパンチパーマ、二人の女性の髪型もすごい上に、市長はプレスリーみたいなリーゼント、
シドニーとFBI捜査員の二人がカーラー姿で登場するおかしさです。
「禿げ・ヘアスタイル」への強いこだわりには制作者の深い哲学的意味があるのでしょうが私にはわかりませんでした。
この映画のオチは、FBIもマフィアも政治家も詐欺師以上の「嘘つき」、詐欺師が一番全うと言うことだと私は思います。
二人の女性はハッとする美しさとセクシーさですが、セックスシーンが皆無なのはとても良かったです。
この映画、シドニーとロザリンの二人の女性で持っています。
シドニーは、表向きはセクシーなのですが実はとてもクールで頭が良く、
他方、ロザリンもセクシーなのですが、結構常識人なのですが、突拍子もなく「ぶっ飛んで」いて、
こんな素敵な女性二人に惚れられる、アーヴィンなのです。
これほどの喜劇なのに、映画館の私の周りからはクスリとも、もれないのですから、不思議を通り越して、奇妙です。
「実話」というマジックにとりつかれ、シリアスな映画と勘違いしたのでしょうか。
大声で笑って、拍手喝采しながら見たいです。
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三つ星レストランを調査するミシュランはかなり有名だが、イレーネは、5つ星ホテルのサービスをチェックする覆面調査員。
私は、三つ星レストランも5つ星ホテルにも全く興味はありませんが…。

などをチェックするそうです。
私は、もう少し観光地が紹介されるのかと思ったのですが、期待外れでした。
ストーリーは単純です。
イレーネが年齢を感じ始め、自分の行き方に少し動揺・疑問を感じ始め、自分を見つめ直す、
と言うとってつけたようなテーマです。
実際は、庶民には無縁の高級ホテルの紹介みたいな映画です。
映画のタイトル・「はじまりは5つ星ホテルから」は、全く頂けません。
イレーネを演じるマリガリータ・ブイがしっとりきれいですので、「許す」って感じ。

ところで、イレーネの妹夫婦、最近は夜の営みが疎遠のよう、そんな二人のベッドでの会話が傑作でした。
庶民には、ドラマチックな人生が滅多にあるわけではないのですから、
「自分探し」などと屁理屈を言わないで、世界中を旅し、いろんな人々の生活ののぞき見を楽しみとしている、
なんて映画にすればもっと面白い映画になったのに、と私は思いました。
そうすると全く違う映画になってしまいますが。
予想外のホテルの手落ちとか、言語の行き違いや、世界各地の生活習慣の違いなどから来るおかしさとか、
覆面調査員が失敗した時のホテルの心憎い対応とかサービスとか、などの方が十分楽しめると思います。
もちろん、お仕着せがましい「感動秘話」みたいなエピソードは無しに…。
私の旅は、一つ星から三つ星のホテルですが、1週間も泊まって顔なじみとなると、楽しい一言二言が味わえます。
トルコでは四つ星ホテルなのにバスタブの栓がなくて困りましたが、つたない英語での交渉など楽しい思い出です。
【8月4日鑑賞】

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