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■製作年:1966年
■監督:ロマン・ポランスキー
■出演:ドナルド・プレゼンス、フランソワーズ・ドルレアック、ジャクリーン・ビセット、ライオネル・スタンダー、他
ロマン・ポランスキー監督の映画「袋小路」は不思議な映画であります。何かが起こりそうで起こらない、起こらなそうで起こる。結末は思いもよらぬ展開でまるでギャグなのかとも思えるようなのだが真面目に終わる。それは処女作「水の中のナイフ」を拡大的に展開したような不条理性を感じさせる映画であるのです。この映画には可笑しみが全編に溢れています。しかしその可笑しみがコメディとしてではなく見ることができるのが、誰でもそれあるある、ありそうだと日常生活の中のかなりリアルで尖んがったところを描いているからだと思います。演出の空気はリアリズムが流れているです。そこがある種の不条理性をこの映画に感じさせるのかもしれません。
女は強し、といったところでギャングらしき男に侵入され、夫婦で女装に化粧とおちゃらけていた夫は何も彼(=ギャング)に対して抵抗できずにいるのを、立場逆転で食ってかかります。一蹴されたらされたで、今度は一緒に酒を酌み交わすなど仲良くなったりします。当たり前といえば当たり前なのですが、男と女は全く似て非なるもので、女の奥深い心理や行動原理など男は究極、わかりようがないのです。そうした男と女の断絶した部分と、しかし性は違うんだけれども同じ人間同士、共通項は山ほどあるという点を、気の強い女性というものをベースに人としてお互い引き合うところを絶妙な感性で描いていたように思います。
ポランスキー監督はどうやら女難の相があるような人生なのですが、個性的な女性をイキイキと描くことでは天下一品です。私にとって一番この映画で印象に残ったのは気の強い妻を演じた(なんせギャングに押し入れられても平気で裸になりー男には裸のお尻を見せながら海に入っていくー水泳を楽しむという大胆さ!)フランソワーズ・ドルレアックです。彼女はなんと25歳で交通事故で若くして死んだカトリーヌ・ドヌーブの姉であるとのこと。それを知ってドヌーブお姉さんがいたんだと驚きました。姉妹でポランスキーの映画に出ていたわけですね。
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