製作年:2005年
監督:園子温
出演:宮崎ますみ、いしだ壱成、桑名里瑛、他
園子温監督の初期の作品「奇妙なサーカス」は前衛的な手法が色濃く残るグロテスクな映画でした。セックス・シーンも多くエロの世界なのですが、一方で非常に観念的であり思春期に影響を受けたという寺山修司はもちろんのこと、フェデリコ・フェリーニなどの要素も見ることができると感じました。しかし私があげた両者と園監督と大きく違うのは<血>の表現だと思います。そこはいきなり江戸川乱歩の世界であり、スプラッターとなるのですから。なぜこうも園子温監督は<血>にこだわるというか、好むのでしょう。基本的に私は園監督作品は好きだなと思うのですが、どうしても<血>の場面になると、口の中が苦くなってきます。必要以上に血を流し生々しさを画面にぶつけてくるからです。そこは生理的に凹んでしまいます。
映画は母と娘、そして父親との関係を描いたものですが、その関係は大きく歪んでいびつ姿をなしています。娘が母のセックスを見る、母が娘のセックスを見る、その相手は誰かというと、父であるという…。父・母・娘という三角形の親子関係の悍ましい近親相姦の猟奇的な交錯、それによって壊れている人間をグロテスクに描いています。全編トラウマの塊のようなコンプレックスを形成した映画、嘔吐する映画なのです。ですから私らの世代では一斉を風靡し男性の視線集めた宮崎ますみが母の役で大胆なセックス・シーンに挑んでいるとしても、同じ園監督の「恋の罪」同様に、視覚的、精神的なグロテスクさが先行しエロスはさっさと後退してしまい性的に興奮するというものではありませんでした。近親相姦に児童虐待、それの犠牲になった娘、狂っている親。そして行き着くは見るも無惨な手足の切断という悍ましさ。性的なエネルギーは人をこうも破壊していくのか…、という無常感さえ感じてしまいます。
この映画は幻想と現実が交錯しどれが現実でどれが頭の中の幻想なのかが判別がつかない作りとなっています。そこで私の頭で見えているのは、「恋の罪」で恐ろしいまでの変容を遂げる昼は大学教授、夜は売春婦というあの女性を想起させる宮崎ますみ演じる女の異様さです。女の暗黒面を体現しているかのような怪物的な女性。コンプレックスをグロテスクに表現した象徴的な深層心理劇と言えばいいのでしょうか…。晴れ間は見えない気持ち悪い映画でした(寝つきがわるくなります)。
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