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飾釦(かざりぼたん)とは意匠を施されたお洒落な釦。生活に飾釦をと、もがきつつも綴るブログです。

映画「遥かなる勝利へ」(監督: ニキータ・ミハルコフ)を見た

2013-12-07 | Weblog

■製作年:2011年
■監督:ニキータ・ミハルコフ
■出演:ニキータ・ミハルコフ、オレグ・メンシコフ、ナージャ・ミハルコワ、ヴィクトリア・トルストガノワ、他

 

ニキータ・ミハルコフ監督の「遥かなる勝利へ」を見ました。この映画は「太陽に灼かれて」「戦場のナージャ」に続く3部作、前2作が見応えたっぷりの作品でしたので、今回の完結編となるこの映画も私としては待ちに待ったという感じです。親子の愛情を軸に描きながら戦争に巻き込まれていくそれぞれの人生の悲惨さ。戦争とは人間の引き起こしたものであり、人災なのです。二度引き起こしてはいけないものです。先日の国会により「特定秘密保護法」が成立しました。この法律、戦争へ突入したあの時代を想起させるようなものじゃありませんか。秘密裡に何をやりたいと国は考えているのでしょうか?この法律は反対運動も盛んで消費税と並んで安倍政権は一体どうなんでしょうね。結局、この映画でも明解に描いていますが国家の犠牲になり苦しむのは庶民なのですから。きな臭いのはごめんです。政治家はおしなべてこうした映画を見て欲しいものです。「遥かなる勝利へ」ではスターリンが国民全体の戦意を昂揚させるために、一部の、といっても1万5000人余の人達なのですが、犠牲になることが国家の意向でありそれを指示する場面がありました。これこそが糾弾されるべき密室の決定なのではないでしょうか?スターリンに指示され集められた兵士たちは、敵のドイツ軍の要塞に攻め込むのに、銃ではなくこん棒のようなものを渡されるわけですから、死んでこいと言っているのと同じなわけです。酷い話です。

 

※以下、ネタバレ注意!

映画には幼かったナージャ(ミハルコフ監督の娘である)が父のコトフ(=ニキータ・ミハルコフ)とともに陽射しが優しく自然が美しい中で一緒にボートに親子が頬をすりよせながら乗っている「太陽に灼かれて」にける印象的なシーンが挿入されます。この女の子がなんとも可愛い。それだけに悲惨な戦争シーンがよりいっそう辛く映ります。凄まじいのがドイツ軍の空爆の中で妊婦の出産する場面です。ナージャはそこに立ち会うのですが、生と死の強烈なコントラスト、そして生まれた子供がドイツ兵にレイプされたロシアの女、その子供が生まれるという皮肉と、一人の人間の前には人種も憎しみも関係ないというメッセージ。ドラマチック過ぎてそれはないでしょ、という意見がある方もいるかもしれませんが、私はそれこそ映画のなし得るものとして評価したい場面でした。そして、ラストシーン。離れ離れになった親子の再会の場面、私は涙腺を押さえるのに苦労しました。しかし、残酷な運命も…。ニキータ・ミハルコフ監督は素晴らしい作家です。映画を見たという感覚にさせてくれました。

 

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