■製作年:1982年
■監督:若松孝二
■出演:内田裕也、未唯、中村れい子、安岡力也、赤塚不二夫、黒田征太郎、タモリ、沢田研二、原田芳雄、他
若松孝二監督の「水のないプール」を見ました。この映画は先週記事としてアップした作品「天使の恍惚」から10年年後の1982年に作られたものです。「天使の恍惚」から10年の開きを持ってつくられた「水のないプール」は、アンダーグラウンドで無名の俳優が出るピンク映画から一癖も二癖もある有名スターが登場し、ストーリーはわかりやすくなり、政治的な挑発する過激なメッセージは薄れ、むしろ「犯された白衣」の延長線上にある人間の心の奥底に潜む闇にスポットをあてたものとなっていました。記憶は曖昧なのですが、この80年代は、にっかつロマンポルノやピンク映画で活躍していた映画監督が一般映画にも進出し、枠にとらわれない斬新な演出で話題をさらい、その中の大物のひとりとして若松孝二監督がメガホンをとったんじゃなかったかなと薄っらとそんな印象を持っています。そして、ロック界のアウトローにしてドンでもある内田裕也が、性的な犯罪者を演じたということで話題になった映画だったと。
地下鉄の改札口で切符切りという仕事に従事し、内面にふつふつとしたものを抱える男を内田裕也が怪演してみせます。今でこそ自動改札口で自動化された駅ですが、この映画の公開当時は人力によって対応していました。つまり、パチパチと切符に穴をあけていたわけです。大都会において重要な交通手段である地下鉄は、想像さえできないような物凄い数の人をさばいていたにちがいないのです。非人間的な環境、そして男の内部にはふつふつとした何かが生まれてくる…。男はクロロホルムを使って一人住まいの女性を狙い、眠ってうんともすんとも言わない女性に思いのままに痴漢するという不気味で危険な犯罪者となっていくのですが、映画はそれを愉快犯のように描き、どこかその行為を肯定するかのような展開もみせ(もっと私が若かったら別の感想を抱いたのかもしれませんが)、この歳でそうした陰湿な犯罪映画をみるとどうなのかな?と思ってしまいます。犯罪を容認するようなものはよくないと。実際に独身女性の家に忍び込み命まで奪ってしまうという陰惨な事件がおきているので、頭が固くなってきた私としてはいかがなものかと感じます。
内容とは別に、沢田研二、原田芳雄、ピンクレディーのミー、赤塚不二夫、タモリといった豪華メンバーがちょい約で出ているのが面白いのだ。
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