■製作年:1987年
■監督:サム・ライミ
■出演:ブルース・キャンベル、サラ・ベリー、ダン・ヒックス、キャシー・ウェスリー
30年前に怒涛の如く快作「死霊のはらわた」でデビューしたサム・ライミ監督、その続編で本来の持ち味を全開させるかのような作品を撮りあげました。それが「死霊のはらわた2」です。私は20年とかいったレベルのかなり前にビデオ化された「死霊のはらわた2」を見たことがあります。その時はこれでもかと畳みかけるような過剰な映像に嫌気がさしてしまった記憶があります。やり過ぎじゃないのかと。今回あらためてその映画を見直してみたのですが、過剰な印象は変わらずですが、嫌気よりはサム・ライミという監督の映像的な資質というか特徴がよく見えて面白く感じました。かといって基本はスプラッターなので見ていて心地よいわけがないのですが。
この「死霊のはらわた2」には前作よりも倍近くといってしまうと大袈裟ですが恐怖を生み出すための映像的な工夫が一杯なされています。アイデアと工夫で生まれた<えげつない映像>の波状攻撃がこれでもかと続くのです。それがまた同時にゲップが出てしまうほどの過剰な印象を与えてしまっているわけです。その<えげつない映像>はまた実験映像であると見ることができ、時に映像的なエクスタシーを含んだ秀逸なものも見ることができ、私のような《眼の快楽=脳内映像の愉楽》を求めてしまうものには、たまらなくしびれてしまう瞬間があるのです。またゲップがでるほどの<えげつない映像>の波状攻撃は慣れが生じてきて微妙な笑いへとも変換していきます。恐怖と笑いの同時共存、ギャグすれすれの恐怖、恐怖をテーマとしたギャグ、そんな状態がサム・ライミの真骨頂なんだとあらためていろいろな作品を見てきて思うようになりました。でもそれはある意味で極限的な狂気に近いなとも感じることができて素直に笑うことはできないのですが。
ところで死霊と戦う主人公を演じているブルース・キャンベルはパワフルでテンションの高いいい演技をしているなと思います。真夜中に一人で死霊と悪戦苦闘している姿は悲しくもあり、また恐ろしく孤独な状態でもあるのです。絶対的な力に誰の助けもない。ふっと思うとそら恐ろしくなってきます。死霊が自分の手にとり憑き、その手が我が身に襲い掛かる孤軍奮闘の一人演技は、見ていて笑いを取るところなのかもしれませんが、その迫真の演技はアカデミー賞でも送りたいくらいの気持ちになります。すごい熱演で拍手喝采ものなんだな。その手を自ら切り落として最後は死霊と戦うためチェーンソーと合体させてしまうという離れ業。もう一方の腕は、ライフル銃を自在に操り、最後はチェーンソーとの二刀流のゴーストハンターへと転身していく、予想もしていない展開。ホラー映画と思っていたらコメディーの要素が強くなり、映画を見ているとおもったらアニメを見ているような印象の、これがサム・ライミ節というものなんだろうかと思わされる作品でした。
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