■製作年:1990年
■監督:若松孝二
■出演:原田芳雄、桃井かおり、ルー・シュウリン、蟹江敬三、斉藤洋介、他
若松孝二監督の「我に撃つ用意あり」を見ました。主演の今は亡き原田芳雄、とにかくカッコイイのだ!私にとってカッコイイ男優とは原田芳雄を指すのであります。私の青春時代のヒーローであった松田優作より、彼の方がずっと私はいい。20代半ばに彼のライヴを聞き「横浜ホンキー・トンキー・ブルース」痺れてしまった。以来、CDを買い、何度もそれを聞き、ライヴには数度行き、ついに自分で原田芳雄のライヴまで企画してしまったという感じでした。あの時は、I.W.ハーパーをプレゼントしたら、リハーサルまでに1本空けてしまっていた。そのまま本番というすご技。とにかくカッコイイ男の代名詞、原田芳雄が主演した映画なのであります。
この「我に撃つ用意あり」は、若松孝二監督が原田芳雄のために撮ったといっても過言ではない映画となっています。話としては元全共闘だった男(=原田芳雄)が新宿で酒場を経営している。そこにはすっかり社会に溶け込んだ昔の仲間も出入りしているが、時代の流れに逆らえず店を閉店することになる。そんな閉店前の夜、ベトナム難民で不法滞在している一人の若い女性が逃げ込んでくる。ヤクザに追われているのだ。彼女はやがてヤクザに連れ戻されてしまう。女の不幸と想いを知った男は、フツフツと何か胸に湧きあがるものがある。新宿騒乱、全共闘当時、新宿の駅を占拠した様子が男の頭をよぎる。我に撃つ用意あり!男は隠し持った拳銃を胸に女の救出に向かう…。
社会を変革しようとした全共闘世代の熱い想い。しかし彼らの思い抱くように世の中は変らなかった。そして共に闘った皆んなは、飼い馴らされた?世界、社会へと馴染んでいった。あの時の反逆とは一体何だったのか。俺もしがない酒場のマスターではあるが、俺はけっして忘れてはいない。あの時の気持ち、想いを…と、主人公の男の心象はそんな感じだろうと思う。そうした全共闘世代のアウトローを演じたらルックス、雰囲気など右に出るものがいないのが原田芳雄なのだ。この映画はその原田のために撮ったようなものと書いたのは、盟友・桃井かおり演じる女と共ににベトナム女性の救出に向うヤクザとの銃撃に一仕事成し遂げたエンディングにおいて、なんと原田芳雄が歌うブルースが流れるのである。まさに汚れた英雄。そこは思いっきり原田芳雄をカッコよく見せる映像以外何物でもなかった。オーバーに言えば、あくまで原田芳雄がいたからこそできた映画だったとも言えるのではないか。若松孝二監督は原田芳雄という素材を得て、自らの世代である全共闘世代の演歌を作った、そんな印象を受けたのであります。
あの頃映画 「われに撃つ用意あり READY TO SHOOT」 [DVD] | |
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