♦️903の4『自然と人間の歴史・世界篇』溶ける氷河(気温が上がるとなぜ海面は上昇するのか)

2018-09-29 21:19:51 | Weblog

903の4『自然と人間の歴史・世界篇』解ける氷河(気温が上がるとなぜ海面は上昇するのか)

 昨今の夏場のように気温が上がると、このままいくと地球環境はどうなっていくのだろうかと、これまで以上に心配になる。そもそも地球規模で今以上に気温が上がるとどうなるかについては、これまでにまして海面上昇がもたらされることになるのではないだろうか、というのが、現実味のある話題になっている。

 この問いに対しては、いろいろと取りざたされていることから、まずは幾つかの解説を紹介するのから始めよう。ナショナルジオグラフィック誌(日本版)に、こうある。

 「局地的には地盤沈下も原因となるが、地球全体では海水の体積が増えることで海面が上昇する。地球温暖化で海水の体積が増える要因は二つ。海水が温まって膨張することと、陸上の氷が解けて海水の量が増えることだ。1900年から現在までに海面は約20センチ上がり、今も年間約0.3センチのペースで上昇を続け、そのペースは加速している。

 熱膨張。海水が温まると、その体積は増える。現在の海面上昇のほぼ3分の1は、この「熱膨張」によって海水の体積が増えたことに起因する。

 氷河と氷帽。さらに3分の1は、山岳氷河の融解によるもの。これにより、2100年までに海面が数センチ上がるとみられるが、数十センチの上昇にはつながらない。

 グリーンランド氷床。今のところ海面上昇への影響は少ないが。夏に表面が解けるようになったのは気がかりな兆候だ。すべて解ければ、海面は8メートル近く上がる。

 南極大陸の氷床。氷床は東半球側では比較的安定しているとみられるが、西半球側では海水温の上昇で基底部が解けている。氷床が今後どうなるか、予断を許さない。」(日経ナショナルジオグラフィック社「ナショナルジオグラフィック誌(日本版)」2013年9月号)

 ちなみに、地球上に存在する氷の量は、一説には、体積にして2406万立方メートル以上ということになっている。これは、地球の地下水の量2340万立方メートルに匹敵するという。海に属する水量13億3800万立方メートルに比較すると、かなり小さいのだが、これがすべて解けることによって一説には最大60メートル規模で海面が上昇、そうなると、その多くが海辺に展開する地球文明都市の存在そのものがなくなってしまうという、途方もない話なのだ(同誌の巻末付録資料による)。

 

(続く)

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♦️903の1『自然と人間の歴史・世界篇』溶ける氷河(アレックス氷河など)

2018-09-29 21:18:12 | Weblog

903の1『自然と人間の歴史・世界篇』溶ける氷河(アレックス氷河など)

   2018年の夏、例えば、アルプス山脈最大の規模を誇る、スイス南部バレー州にあるアレッチ氷河の融解が話題になっている。アルプス山脈(スイス・アルプス)の北部、ベルナー・アルプスに属するこの地で、今年夏の欧州は記録的な猛暑のため、7月下旬に、平年より約1か月早く降雪が止まった。そのため、氷河の後退が進んでいるという。

   この氷河は、2001年に国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の世界遺産に登録された、極北を除く欧州では最大だ。この氷河の浸食作用によって削り取られた山々の肌は、氷河地形の典型だとされる。1970年代には、その長さが約24キロメートルあった。ところが、2014年には、約22キロメートルに縮小した。同地点で撮影された写真が公にされており、なるほど、同氷河の末端近くでは、岩肌の露出が見てとれる。

 最大クラスのものでこうなのであって、アルプス一帯にある中小の氷河にも融解がひろがっているという、この数千年間では前代未聞の出来事になっている。

 

(続く)

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