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【art】「京都・智積院の名宝」鑑賞 @サントリー美術館

2023-01-15 17:18:14 | art

【art】「京都・智積院の名宝」鑑賞 @サントリー美術館

 

 

サントリー美術館で開催中の「京都・智積院の名宝」見てきた。もちろん寺外初公開となる長谷川派の国宝障壁画の一挙公開が目当て! とっても楽しみにしていた企画展の1つ。期待大で見に行ってきた

 

いつものように感想ツイートしておいたので、「ぶらぶら美術・博物館」で紹介された内容(マーク&太字表記)も加え、追記する形で感想記事として残しておく

 

 

 

真言宗智山派総本山智積院はもとは空海(Wikipedia)から始まる由緒あるお寺。一度は衰退してしまったけれど、江戸時代に徳川家康(Wikipedia)の援助を受けて再建。その際、京都東山にあった祥雲寺を引き継いだ形なのかな?

 

この祥雲寺というのは、豊臣秀吉(Wikipedia)が幼くして亡くなった鶴松の菩提を弔うため建てたお寺で、その際に襖絵を長谷川等伯(Wikipedia)率いる長谷川一門が制作した。

 

どうやらこれもライバルであった狩野派の妨害にあったそうだけれど、最終的に秀吉は等伯に依頼したということだよね。秀吉はあまり好きな武将ではないけれど、この決断は心からお礼を言いたい!

 

 

 

智積院靈寶并袈裟世具目録(上)」によると、どうやら天和2年(1682年)に火災にあってしまい、その際かなり焼失してしまったらしく、そもそもは大小93枚の障壁画だったらしい。

 

そもそもは根来寺という6000人の僧侶を有するお寺が起源。根来寺は豊臣秀吉の焼き討ちされた。徳川家康が東山の祥雲寺に再建を許す。秀吉の足跡を消す狙いもあった?「まくり」として保管されていた障壁画を襖に仕立てた。

 

 

「桜図」長谷川久蔵

 

正確には長谷川久蔵(Wikipedia)ではないかという段階のようだけれど、今展では長谷川等伯の息子久蔵の作品として展示されている。93枚もあったわけなので、長谷川一門というチームで制作したとすると、久蔵は等伯とともに中心的な存在だったと思われるので、絶対何かしら手掛けているはず。

 

長谷川久蔵は父である等伯が自分以上の才能だと期待していたと聞いたことがある。残念ながら26歳の若さで死去。狩野派の罠にはまり命を落としたという説も😱

 

息子を失った等伯は大変悲しみ、その中で生まれたのが国宝「松林図屏風」であることは有名な話で、今展とは関係ないけれど書かずにはいられない😭

 

作品に話を戻すと、中央に八重桜を描き、山吹、つつじ、すみれ、たんぽぽなど、たくさんの草花が本当に細かく丁寧に描かれている。画面いっぱいに桜を描き、びっしりと草花が描かれているのに、まったくうるさくない。

 

一番右側とその隣のつながりがおかしいので、おそらくその間が存在していたのだ思われる。完全版が見られないのは残念だけれど、これだけでも十分すぎる見応え。

 

久蔵の人となりについては全く詳しくないけれど、とても真面目で繊細な人だったのではないかと感じる。その通りの作品。本当に惜しい才能。

 

桜は置上胡粉という貝殻の粉からできた絵具を使って盛り上げて描いている。これは大和絵の伝統的な技法。24か25歳頃の作品。暗殺説あり。

 

 

「楓図」長谷川等伯

 

長谷川等伯の傑作と言われている「楓図」 これは素晴らしかった! ちょっと涙が出るくらい感動してしまった😭

 

「桜図」同様、金地の中央に楓の大木を描いて左右に枝を伸ばしていく描き方は、基本的に狩野派の技法だと思うけれど、狩野派のような主張の強さはない。とても静か。

 

鶏頭や萩、菊など細かく描き込まれているけれど、全くうるさくない。狩野派の豪華絢爛さも好きだけど、この静けさというか、主張の激しさはないのに、訴えかけてくる感じが自分好み。

 

表面はとても静かで穏やかなのに、内側では燃えているような、そういう感じがとても好き。これは圧巻! 

 

前述したとおり、秀吉の命を受けての仕事で、長谷川一門にとって一大プロジェクトだったわけで、さらに狩野派の妨害も受けていたのであれば、これは燃えに燃えて描いたのだろうと思われる。それが傑作を生みだしたのでしょう。

 

久蔵の急死により、この障壁画の仕事が親子の最後の共同制作となってしまった。そのことを考えるととても切なく「桜図」と「楓図」が並んで展示されている姿に涙が止まらなくなる。

 

これは本当に本当に見れてよかった!

 

今作については長谷川等伯作ということで異論は出ていない。巨木を中央に描く狩野永徳(Wikipedia)の大画様式。左隻は空白が多い。琳派的。時代を先取りしていたのではないか?

 

「楓図」左の2枚について。「楓図」の続き。間は失われている。別の場所に保管されているため色が良く残っている。

 

松に黄蜀葵図」長谷川等伯

 

松に黄蜀葵図」について。3m30cm。サントリー美術館の展示ケースは大きいが、それでもぎりぎりの大きさ。本来は左側にあった襖を上につなげてしまった。「桜図」「楓図」は上下50cmカットされている。火災後の再建の際、壁に合わせてカットしたり継ぎ足したりしてしまった。黄蜀葵=むくげ。朝咲いて夕方にしぼんでしまう。儚さ=鶴松への思い。

 

いろいろ事情はあったのでしょうが、何故勝手につなげたり、カットしたりしてしまったのか😣💦

 

 

輝く四季、ゆたかな叙情性 「京都・智積院の名宝」展:朝日新聞デジタル

「釈迦如来坐像」

 

説明書きによると、明王殿(不動堂)に安置されている仏様で、衣が腹部まで開いているお姿は同時代では珍しく、施無畏印と与願印を結んでいるが、修復されているため正しい印かは不明とのこと。

 

展示室内では光背はなくガラスケース内におられた。衣のあたりに金箔が残っており、美しいお顔のスッキリしたお姿だった。

 

「刺繍法華経」は画像が見つからなかった😢 釈迦如来と普賢菩薩、そして法華経を刺繍してあって、"佛"の文字のみ金糸で刺繍されている。これ書くだけでも大変なのに、刺繍してあってビックリ! とても美しかった。

 

「後奈良天皇宸翰和歌」も画像が見つからず😢 三幅の掛け軸で、中央のお軸に"南無天満大自在天"と書かれており、右のお軸に三十六歌仙の和歌が書かれている。宸翰というのは天皇の自筆文書とのことなので、後奈良天皇(Wikipedia)の文字ということで、さすが美しい文字だった。動植物が描かれた和紙が使われており、特別な歌会に用いられたのではないかとのこと。これは本当に美しかった!

 

 

12月は何かと忙しかったこともあるかと思うけれど、金曜日の18時半過ぎに入ったけど空いてた。もう「桜図」「楓図」など前に誰もいない状態で、少し離れて鑑賞できるくらい空いていた。

 

なのでじっくり好きなだけ鑑賞できて、それはとてもありがたかったのだけど、こんな素晴らしい作品が東京で見れるのにもったいない!と思ってしまって💦

 

今回貸し出していただけたのも、智積院で展示施設を作り、そちらに収められるからだそうで、完成後そちらに行けば見れるとは思うのだけど、そうなると寺外に出される機会はもうないかも💦

 

そもそも3m30cmの作品を展示できるガラスケースがある美術館がほぼないので、東京で見れる今見ないのはもったいない!!

 

 

 

お土産はポストカード2枚。もうこれしかないということで「桜図」と「楓図」大判で色の再現度もとてもいい

 

 

 

こちらは子供用の鑑賞カード。クイズ形式になっていたり、学んだことや感想などを書き込めるようになっていていとても良い。

 

展示内容としては子供向けではないかもしれないけど、こういう風に鑑賞することで楽しめるし、その時意味は分からなくても、きっと心に残るものがあると思う。

 

毎回書いているけど、見れる機会があるなら本物を見た方がいい! スマホでいつでも画像が見れる時代だけど、本物が持つ力って絶対ある。

 

京都・智積院の名宝:2022年11月30日-2023年1月22日 @サントリー美術館

京都・智積院の名宝 サントリー美術館


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