2020.01.11 『パラサイト 半地下の家族』鑑賞@TOHOシネマズ楽天地
これは絶対見たいと思ってた! 試写会ってあったかね? 記憶にないのだけど🤔 ということで、連休初日の公開翌日に早速見に行ってきた~
ネタバレありです! 結末にも触れています!
できるだけネタバレしないで見ることをオススメします!
「父親が失業中で半地下の家で貧しい暮らしをする4人家族。ある日、長男の友人が訪ねて来て、留学する自分の代わりにIT企業の社長の娘の家庭教師をして欲しいと言う。これをきっかけに、家族は社長宅に入り込んでいくが・・・」という話。これはめちゃめちゃ面白かった! 主軸は"半地下の家族"がパラサイトしていく話なのだけど、途中である事実が分かってからは作品のテイストが一気に変わる。コメディ、サスペンス、ヒューマンドラマ、そしてホラー要素まで。これだけ詰め込んでも雑多な感じがせず、2時間超あっという間に見てしまった。
ポン・ジュノ監督作品。監督の作品は『殺人の追憶』『グエムル -漢江の怪物-』と今作しか見ていない。『母なる証明』は前のレコーダーのHDDに入ってたのだけど、壊れてしまい未見のまま😢 『オクジャ』がめちゃめちゃ見たかったのだけどNetflixだから見れず😢 好きな監督という程見れてないけど、見た2本は好きだった。
今作について毎度のWikipediaから引用。『パラサイト 半地下の家族』(韓: 기생충(→寄生虫)、英: Parasite)は、2019年の韓国のブラック・コメディ映画。監督はポン・ジュノ。主演はソン・ガンホ。共演はイ・ソンギュン、チョ・ヨジョン、チェ・ウシク、パク・ソダムら。第72回カンヌ国際映画祭では韓国映画初となるパルム・ドールの受賞を果たした。
韓国で2019年5月30日に公開され、観客動員数は1,000万人を突破した。日本では2019年12月27日から一部の劇場で限定先行公開された後、2020年1月10日公開された。
撮影は2018年5月18日には始まり、主要な撮影は約77日かかり、同年9月19日に終了した。同年同月19日、本作が第72回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門にノミネートされたと発表された。ポン・ジュノ監督作としては、『グエムル-漢江の怪物-』(監督週間)、『TOKYO!』(ある視点)、『母なる証明』(ある視点)、『オクジャ/okja』(コンペ)に続き、5度目のカンヌでの上映となった。また、ソン・ガンホ出演作としては『グエムル-漢江の怪物-』、『シークレット・サンシャイン』(コンペ)、『グッド・バッド・ウィアード』(特別招待)、『渇き』(コンペ)に続き、5度目の上映となった。また、チェ・ウシク出演作としては『新感染 ファイナル・エクスプレス』(特別招待)、『オクジャ/okja』に続き、3度目の上映となった。
本作は批評家から絶賛されている。Rotten Tomatoesでは350個の批評家レビューのうち99%が支持評価を下し、平均評価は10点中9.4点となった。MetacriticのMetascoreは15個の批評家レビューに基づき、加重平均値は100点中87点となった。サイトは本作の評価を「世界的な絶賛」と示している[21]。前述の通り、本作は第72回カンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞した。審査員長のアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥは「まったく先が読めない映画」「本作は様々なジャンルがミックスされており、切迫した事柄をユーモラスに描けている」と評し、他の審査員も本作を絶賛し、満場一致での受賞だったと明かした。とのことで、概ね高評価なのだけど・・・
本作は2019年7月28日、中国青海省の省都・西寧市で開催された「西寧ファースト青年映画祭」の閉幕式で上映される予定であったが、7月27日午後に突如「技術的な理由」による上映中止となった。本作の内容が中国当局の検閲で問題視された可能性が高いと見られる。とのこと😢
キム一家は、失業中の父親キム・ギテク(ソン・ガンホ)と母親チュンスク(チャン・ヘジン)浪人中の長男ギウ(チェ・ウシク)、美大を目指す長女ギジョン(パク・ソダム)の4人家族。半地下の家に住んでいる。キム一家が住む界隈には半地下に住む家族が他にもいるようだけれど、一家の家は路地の突き当りにあるらしく、雨が降ると水が流れてきたりとなかなか大変らしい。トイレが部屋の上の方のあり得ない位置にあったりするものの、それなりに部屋数もあるし生活はできている様子。
長男と長女はスマホも持っていて、どうやら同じ建物の住人のWiFiをこっそり使っていたようだけれど、住人がパスワードを設定してしまったため使えなくなり、必死でFreeWiFiを探すシーンから始まる。この時点ですでにパラサイトしているということ。何故必死に探していたのかというと、宅配ピザ用の箱を組み立てるバイトをしているから。一家総出で作成し納品するも、不良品が多くその分を差し引かれてしまう。母親は不服を申し立てるけれど長男がなだめて、若い女社長に逆に自分をバイトで雇ってくれと交渉し、社長もその気になってしまうという手腕を発揮する。この序盤から一家の生き方というか体質のようなものが紹介されていてスゴイ。
そんな中、ギウの友人ミニョク(パク・ソジュン)が観賞用の石を持って一家を訪ねて来る。ミニョクの祖父が趣味で集めておりギウを訪ねると言うと、お土産としてくれたのだそう。この石が後に印象的な使われ方をする。さて、ミニョクが訪ねてきたのは留学中に、現在自分が担当しているIT企業の社長の娘の家庭教師を代わってくれないかということ。ミニョクはこの娘に恋しており、彼女が大学に合格したら付き合うつもりなので、信用できるギウに託したいというのだった。キタ!😀 そして、この友人が恋しているというのも後の伏線なのかなと思う。
ギジョンが偽造した学生証を持ってパク社長宅を訪ねる。妻のヨンギョ(チョ・ヨジョン)はミニョクの紹介ならば、学生証など不要だというような信じやすい人物。とはいえ、娘のタヘ(チョン・ジソ)との初めての授業には立ち会うと言う。タヘは特別反抗的ではなったけれど、的確な指摘とさりげないスキンシップでヨンギョとタヘの心を掴む。ギウ役のチェ・ウシクは特別イケメンでもないし、イケてる設定でもないのだけど、逆に油断してしまう部分はあるのかもしれない🤔
パク一家は妻ヨンギョと娘ダヘの他に、IT企業社長のパク・ドンイク(イ・ソンギュン)と、ADHD気味のダソン(チョン・ヒョンジュン)の4人暮らし。一家が住む豪邸は有名な建築家が自宅として建てたもので、彼が雇っていた家政婦ムングァン(イ・ジョンイル)が建築家亡き後も引き続き住み込みで働いている。一見人あたりのよいムングァンが実は一家を取り仕切っている印象があったけれど、この人物は驚愕の秘密を持っていたのだった😅
さて、ヨンギョは落ち着きのないダソンについて悩みを抱えており、ギウに愚痴をこぼす。ダソンには絵の才能があると考えており、美術の家庭教師を雇うのだが長く続かず辞めてしまうのだという。ここでギウが閃いたのが妹ギジョンをアメリカ帰りの美大生ということにして、ダソンの家庭教師にすること。もともと人を信じやすいヨンギョはまんまとこの手に乗ってしまう。
数々の家庭教師が手を焼いたダソンをどう手懐けたのかは描かれないので不明なのだけど、ギジョンはネットから得た知識でヨンギョの心をつかみ家庭教師として入り込むことに成功。すっかり彼女を信用したヨンギョは帰宅した夫の運転手にギジョンを送るように頼む。イケメン運転手はギジョンを気に入ったのか家まで送るとしつこい。ギジョンとしてはもちろん家まで送られるわけにはいかない。彼氏が駅で待っているからとピシャリと断る。そして、あるアイデアが浮かぶ。運転手に気づかれないように下着を脱ぎ、後部座席に置いて来たのだった😲
ギジョンは運転手を貶めて、代わりに父親のギテクを運転手として送り込もうということらしい。ギテクは元タクシー運転手だけど、ベンツを運転したことがないため、ギウと一緒に自動車販売店に行き運転の練習をし、店員に咎められたりするシーンもありコミカルに進む。ギジョンの推薦で運転手となり、確かなテクニックでパク社長の信頼を得る。割り込みされた時などに、ついうっかり汚い言葉を言ってしまい、社長に眉をひそめさせる描写があるけれど、これは後の伏線。この辺りの仕込みは上手いと思った。
さて、ここまで来れば残りは母親であるチュンスクを送り込むのみ。それには手強そうな家政婦を追い出さなければならない。どうするのだろうかと思っていると、この家では桃が食卓に登場しないという情報を得る。家政婦が桃アレルギーだからなのだった。とはいえ、桃を食べさせるのは至難の業。どうするのかと思ったら桃の毛を家政婦の首辺りにさり気なくパラパラと振りかける。するとアレルギー反応を起こしてしまう。これを感染症だと吹き込まれたヨンギョは、彼女に辞めてもらうことにする。実はヨンギョは運転手にも解雇を告げており、どちらもヨンギョがどう話したのかは映されないのだけど、角が立たない形で辞めてもらうことが上手いらしい。こういう部分がちょっと笑える。
呆然とした表情でムングァンが出て行った後、しばらくはヨンギョが家事をしていたようだけれど、どうやら料理がとてつもなく下手らしく、食事がまずくて困ったとパク社長がギテクに愚痴る。ここぞとばかりに家政婦を派遣する会社を紹介。ベテランをメインに紹介している派遣会社で、自分もそこに所属していると言うと、パク社長はすっかり信用。派遣会社の電話は当然ながら偽物でギジョンが対応。こうして、まんまと4人全員がパク家に入り込むことに成功。彼らのしていることは、良いこととは思えないけれど、それなりにちゃんと仕事はしているし、何よりその見事な手腕にニヤニヤしてしまう。
さて、パク一家がキャンプに行くことになる。ダヘはギウと別れたくないようだけれど、渋々出かけて行く。ダソンの誕生日を祝うためのキャンプ。ここぞとばかりに豪邸を謳歌するキム一家。リビングのソファに寝転んで、食べ散らかし飲み散らかし楽しそうではある。ギウはダヘと結婚すると言い出すけれど、これは最終的なパラサイト計画というわけではなさそうに感じた。自分が騙していた相手に恋してしまっているという図式を見せたいのかなと思う。そして、ギウが家庭教師になるきっかけとなったミニョクもダヘに恋していたことを思い出す。ダヘが意図的に2人を手玉に取ってるわけではないようだけれど、そういう気持ちにさせる何かがあるということなのかなと思う。ダヘが魔性であると言いたいわけではなくて・・・ 上手く言えないな😅 今作のテーマの1つとしてタイトルであるパラサイトだとすると、そのパラサイトは決して一方ではないということを表しているのかなと。考え過ぎかな🤔
ココから重要なネタバレありです!
キム一家が楽しんでいると、外は土砂降りの雨に。そんな雨の中インターホンの音が。家政婦であるチュンスクが応対すると、元の家政婦だったムングァンだった。彼女は忘れ物をしてしまったので中に入れてくれと言う。断り切れずに中に入れると、慌てた様子でキッチンの奥の地下室へ続く扉の中へ。しばらくしても出てこないので、ギテクらに様子を見に行くように指示されるチュンスク。すると、ムングァンは地下室にある棚を必死に動かしていた。そこには隠し扉があり、さらに地下へと続く階段があった。地下には廊下や部屋があって、そこには中年男性がいたのだった。ビックリ😲
この男性はムングァンの夫(パク・ミョンホン)で、この家の前の持ち主である建築家が住んでいた頃から地下に匿われていたのだった。この夫が何故地下に住まなければならなかったのか、説明していたように思うけれどよく覚えていない😅 例えば犯罪者であるというようなハッキリした理由ではなかったような🤔 そして、そういう理由では今作の意味がないのだと思う。
映画の中でも説明があったので、少し話の流れを切ってしまうことになるけど入れておく。どうやら韓国のお金持ちたちの間では、ある時期自宅の地下にシェルターを造ることが多かったけれど、地下にそういう施設があることは秘密にされていたのだそう。なので、前の持ち主であり設計者でもあった建築家亡き後に越してきたパク一家は、地下シェルターの存在を知らないし、もちろん周囲の人々にも知られずに夫を匿えたということ。
そして、地下シェルターなので、ずっと生活するには快適ではないけれど、トイレなどある程度の設備を備えているということ。その辺りはよく考えれられていると思った。夫の居住空間には本なども運び込まれていて、よく見ると机の上にはチボリオーディオが置かれていたりする。これは建築家の持ち物から拝借したということなのかな? そういう描写であると同時に、パラサイト生活ながらオシャレアイテムが置かれているという滑稽さのようなものも演出しているのかなと思った。
さて、話を戻す。最初はチュンスクに見逃して欲しい。なんとか夫をこのまま住まわせて欲しいと懇願していたムングァンだけれど、そこにギテクらが現れたことにより形勢が逆転する。ムングァンは家庭教師、美術教師、運転手とチュンスクが家族であり、自分を追い出してパク家に入り込んだのだと確信。動画を撮影してパク社長に訴えると脅す。このことから乱闘となり、最終的にムングァンと夫を地下に閉じ込めることに成功。このバトルの迫力と美しくないアクションがリアル。
疲れ果ててリビングで寝転がっていると電話が鳴る。ヨンギョからで大雨のためキャンプを取り止めにして家に戻るので、夜食を用意して欲しいと言うのだった。名前は忘れてしまったけど牛肉を使ったラーメン🍜的なもの。大慌てでリビングを片づけ始めるギテクたち。チュンスクはラーメンを作る。片づけると言っても映画などにありがちな、短時間で何事もなかったように元通りということはなく、単純にソファの下に押し込んだだけ。そういうのもリアル。
しかし、何とか体裁は整えたものの、パク一家が帰ってくるまでにギテクたちが帰る時間はなく、仕方なくローテーブルの下に隠れる。ギウは勝手に持ち出して読んでいたダヘの日記を戻しに彼女の部屋に行ったものの、ダヘが戻って来てしまってベッドの下に隠れて、見つかりそうになったりのハラハラがあったりしつつ、結局は3人ともローテーブルの下に隠れることに。この辺りコミカルではあるんだけど、どこかシュールな感じになってくる。確かこの間にムングァンが地下室からキッチンに上がって来たので、気づいたチェンスクが蹴り落としていたと思う😱
ヨンギョはラーメンを食べながらチュンスクに何故ダソンの誕生日に外出を選ぶのかを話す。数年前の誕生日の夜、目が覚めたダソンはキッチンへ行き、冷蔵庫の中にあったケーキの残りを食べていた。すると、地下室から幽霊が現れて冷蔵庫の中の物を持ち去ったというのだった。ダソンはそれがトラウマになっているので、誕生日には外に連れ出しているのだと言う。見ている側もチュンスクとともに幽霊の正体が分かる仕組み。
楽しみにしていたキャンプがダメになってしまったため、ダソンは庭のテントで寝ると言う。大雨が降っているのに庭のテント内で眠れるというのは、この家が高台に建っており、子供が庭で寝ていても大丈夫な安全が確保されているということ。この辺りも象徴的は感じがした。リビングはこの中庭に面していて、一面がガラス張りとなっている。全面クリアなこの"窓"は、半地下のキム一家の家の窓、そして地下の窓のない空間との対比となっているのかなと思う。
ダソンが庭で寝るというので、パク社長夫妻はソファで寝ることにする。困ったのはローテーブルの下の3人。息をひそめてじっとしているしかない。するとパク社長がなんだかキム運転手ことギテクの匂いがすると言い出す。ギテクは頑張っているけど、時々汚い言葉を言ってしまうことがある。それは我慢できるのだけど、あの匂いは我慢できないと言う。それがギテクたちをとても傷つける。パク社長の口調には特別ギテクを蔑む感じはなかったけれど、逆にそれが無意識の差別を感じさせて、見ている者にも嫌な感じを抱かせる。そんな中、パク夫婦がエッチを始めてしまい、ローテーブルの3人はいたたまれない。この感じもシュールだった😅
パク夫妻がソファで眠り初め、やっと3人はローテーブルから抜け出し半地下の家に帰る。その時には外はドシャ降りで3人はびしょ濡れになりながら歩いて帰る。パク家からキム家まで3人はずっと坂や階段を下りっぱなし。実際はこんなに高低差があることはないと思うけれど、これはパク家とキム家の格差を象徴しているのでしょう。この坂の使い方はとても良かった。
3人が半地下の家に帰って来ると、辺りには水が溢れ人々が避難していた。3人は家に入り大切な物を持ち出そうとするけれど、突き当りにあるキム宅には水がどんどん流れ込んできて、瞬く間に背が立たなくなってしまう。この描写もスゴイ。汚水が溢れて来るトイレを必死で押さえているのもシュール。やっとのことで持ち出したのは、ハンマー投げの選手だったチュンスクの写真と、あの日ミニョクからもらった石だった。
被災したギテクたち3人は避難所で朝を迎える。すると、ヨンギョから電話が入る。ダソンの誕生パーティーを家で開くから買物に連れて行くようにというのだった。ギテクたちが被災しているとは知らないので仕方がないのだけど、これは痛烈な皮肉なのかなと思った。被災した人たちがいるということすら知りもしないという無感覚。被災して食べる物もないギテクにカートを押させ、カゴに次々と高級食材を放り込んでいく。それを料理するのは家が被災していることも知らないチュンスク。なんとも皮肉。
ダヘのリクエストでギウとギジョンも招待される。富裕層の人々が次々集まって来る中、ギウはあの石を持って地下室へ。ムングァンはチュンスクに蹴り落とされた時に亡くなっていた。ギウが最初からムングァンと夫を殺そうと思って地下へ行ったのかは分からないけど、ムングァンが死んでしまっていたことで、いよいよ夫の口を塞ぐ必要が出て来た。しかし、ギウは夫の逆襲に遭いシェルターから上がった地下室で石で頭を殴られてしまう。
一方、庭では客たちがパーティーを楽しんでいた。そんな中、アメリカ先住民に扮したパク社長とギテクが物陰に隠れていた。パク社長夫妻はサプライズ計画を立てていて、バースデーケーキ🎂を運んできたギジョンをパク社長とギテクが襲い、それをダソンが助けるという演出。これに対して乗り気でない発言をするギテクに対し、プライドを傷つけられたのか仕事だから従うように言うパク社長。ギテクの中に何かが広がったと同時に悲劇が起きる。
なんと、地下からムングァンの夫が刃物を手に現れてケーキを運ぶギジョンを刺してしまったのだった。そのまま庭に現れるムングァン夫。するとまだ彼に気づいていないパク社長が匂いに顔を歪める。その時、ギテクの中で何かが切れた。暴れるムングァン夫から刃物を奪うと、パク社長に突き立てた😲 当然ながら大パニックとなって客たちは逃げ惑い修羅場となる。
シーン変わってチュンスクとギウがテレビを見ている。このテレビを見てた場所はどこだっけ? とにかくテレビではパク社長宅で起きた事件を報道しており、パク社長を殺害したギテクの行方が分からないことを伝えている。ギジョンは亡くなってしまったらしく、チュンスクとギウは2人であの半地下の家に住んでいるらしい。
ヨンギョたちは家を売却したらしく、現在は外国人一家が暮らしている。雪が降り積もる高台からあの家を覗くギウ。すると、外灯がチカチカしている。言い忘れていたけどムングァン夫はモールス信号を勉強しており、外灯を使ってモールス信号を発信していた。例のバトルのさ中も血を流した頭をガンガン打ちつけてモールス信号を送っており、それをダソンがテントの中で解読している場面があった。ダソンがムングァン夫を救出するという展開になるのかと思ったら何も起こらず忘れていたけど、ここにつながるのね!😲
モールス信号を送っていたのはギテク。あの日、門を出たギテクは車庫から家の中に戻り、そこから地下室を通って地下シェルターに向かった。そして、ムングァン夫に代わりそこの住人になったのだった。いつかここを出ることを諦めていないというようなことをモールス信号で送っており、ギウはそれを受信した。
そしてギウは計画を立てる。とにかくお金を稼いであの家を買い取ること。そして、引っ越し初日に庭に出るから、お父さんも出て来て下さいというナレーションが流れて、ジャケット着用してオシャレしたギウとチュンスクがあの家のカギを受け取り、家に入って庭に出たところで、地下からギテクが出て来きて再会するシーンが流れる。ここで終わるのかと思ったら、半地下の家でギウが妄想していたというオチで終わる。うーん。これはニヤリ😏
実はこれ3つの階層を描いているんだよね。頂点がパク社長、底辺にいると思われてたキム一家だけどさらに下にムングァン夫がいたという。それを高台の豪邸、半地下の家、そして地下シェルターで表している。キム一家は半地下から一般家庭レベルの振りをしてパク家にパラサイトしたわけだけど、その家にはさらにパラサイトしている人物がいた。さらにパク社長たちのような富裕層も、実は社会の底辺にいる人たちの犠牲になり立っている部分もあり、パラサイトしているとも言える。そういう意味で、日本版の副題"半地下の家族"は不要なのではないかと思う。半地下の家族だけがパラサイトしているわけではなのではないかなと🤔
キム一家は半地下から抜け出そうとしたわけだけど、パク社長が指摘したように体には臭いが染みついていた。それは文字通り何かしらの臭いでもあるのだろうけれど、格差社会が生み出した歪から抜け出せないということを表しているのだと思う。ギテクはそれに気づいてしまった。単純に自分の臭いを指摘されて傷ついただけではないのだと思う。この感じはとても上手いし、見ている側にじんわりと沁みて来る。
役者たちが全員スゴイ! ムングァンのやり手家政婦として陰の主的な雰囲気から、一転ボロボロの姿で去って行く感じとか、夫のために懇願する感じ、さらに一転なりふり構わぬモンスターになる変化ぶりをイ・ジョンウンが怪演。ムングァン夫の役名って出て来たかな? 名前すらないという境遇ではさすがにないと思うけれど、映画的に役名はなかったような?🤔 おそらくネタバレを避けるためだと思うけれど、この役を演じたパク・ミョンホンは公式サイトで紹介されていない。でも、最終的には狂気に走るムングァン夫は、いろんな要素が詰まった今作のホラーパートを担う役でもあり、そういう意味で見事だったと思う。
一生懸命だけれど人を信じやすいヨンギョをチョ・ヨジョンがかわいらしく演じていたし、無意識下に差別意識を持っているパク社長のイ・ソンギュンも良かった。パク一家は決して悪い人たちじゃないし、自分たちも正しくあろうとしているけれど、人を思いやるということには欠けている。その辺りをさり気なく漂わせつつ、二重にパラサイトされていることに全く気付かない間抜けさを出しつつ良かったと思う。
キム一家はちゃっかりしているし、基本だらしない部分もあるけれど、悪人というわけではない。それぞれ一定以上の能力がある。でも、それが生かされないから策略を巡らせているわけで、知らず知らずにそれを身につけてしまっているギウのチェ・ウシクとギジョンのパク・ソダムも良かった。最初はパラサイトしていく大胆さとか小賢しさみたいな部分を嫌な気持ちで見ていたのに、いつの間にか2人に同情していて、その辺り上手かったなと思う。
チュンスクのチャン・ヘジンは品のないおばちゃんとして登場したのに、やり手家政婦になっててビックリ。でも、特に品のないおばちゃんだった時のパワーがすごかった。一家の主は間違いなくチュンスクだったと思う。そして、ギテクのソン・ガンホが相変わらず上手い! そもそもはギテクが失業してしまったから困窮していたわけなのだけど、それでもどこか楽しそうだった。家族がどんどのパラサイトして行く過程まではノリノリだったのに、パク社長のあの一言を聞いてから表情が一転する。そこからはギテクが切なくて切なくて😢 特に先住民の姿をさせられて、パク社長に見下されていることに気づいてしまった時の表情が印象的。素晴らしい
前半はコミカルタッチで、サスペンスタッチに代わり、中盤でムングァン夫が登場してホラー要素が加わり、さらにアクションや自然災害まで加わわる。一つの映画でこれだけ見せ方を詰め込んでいるのに、全然雑多な感じがしない。役者たちの演技がすごくて引き込まれるし、いろんな伏線が散りばめられているのも面白い。全部の場面がおもしろかった。好みはいろいろあると思うので苦手な人もいるかもしれないけど、自分はとってもおもしろかった。ラストの落としどころも良かったと思う。モールス信号を解読したと思っているのもギウの妄想なのかもしれないし。その感じも良かった。
パク家の豪邸のデザインも良かった。オシャレで素敵だけど温かみは感じない。リビングから見える庭も箱庭感がある。半地下の家の雑多で閉塞感のある感じも良かったし、地下シェルターの息詰まる感じも良かった。さり気ないチボリオーディオ含めて。
ギテクは半地下から這い上がろうとして、結果地下に堕ちてしまうのだけど、そこからまた這い上がれることはないのでしょうね。人を殺してしまっているしね。それはやっぱり罪を背負うってことだからね。
とにかく面白いからオススメ! これだけネタバレしておいて言うのもなんだけど、出来る限りネタバレなしで見た方がいいと思う! ポン・ジュノ監督とソン・ガンホ好きな方必見です!
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