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【tv】100分de名著「ヘミングウェイ スペシャル」第1回「老人と海」(1)

2021-10-23 01:53:45 | tv

【tv】100分de名著「ヘミングウェイ スペシャル」第1回「老人と海」(1)

大いなる自然との対峙

 

 

1回25分×4回で1つの作品を読み解く番組。2021年10月は「ヘミングウェイ スペシャル」ということで、「老人と海」「敗れざる者」「移動祝祭日」の3冊を読み解く。今回は「老人と海」の第1回目。講師はアメリカ文学研究者の都甲幸治氏。

 

久々の「100分de名著」の記事。実は「伊勢物語」も録画してあるけど見れてない💦 この番組は勉強したくて見ているので、ちゃんとメモ取って後から見返せるように記事にして残したいと思っている。ただ作業が大変で💦💦 

 

今回頑張ったのは「老人と海」(Wikipedia)だったから! 有名過ぎてあらすじを知ってるけど、ちゃんと知りたいと思っていたので。通常は4回で1つの作品を紹介するけれど今回は3冊。「老人と海」は第1回と2回で紹介ということなので、この2回のみ見てみることにした。なので記事は「老人と海」のみになります🙇

 

キーワード:二人のヘミングウェイ

①マッチョ・男らしい

②弱い・傷つきやすい

 

伊集院光氏:やっぱりマッチョイメージ。批評家に言われても「言いたいヤツには言わせておけよ」というイメージ。

 

生前からメディアの力によって「パパ ヘミングウェイ」になった。弱く繊細で女性的なところは読まれないできた。両方見ていくと今までとは違う読み方ができる。

 

ヘミングウェイ(Wikipedia)自身については猫好きのイメージで、特段マッチョというイメージはないかも🤔 作品は読んだことないけど映画の『誰がために鐘は鳴る』は見た。戦争がテーマになっていたと思うけれど、その辺りが男らしいってことなのかな?

 

とはいえ、マッチョで強い=男らしい、弱くて繊細=女性という意見はフェミニストさんに怒られそうだけど大丈夫かしら😅 マッチョで強いのも、弱くて繊細なのも人それぞれで、男性だから女性だからというわけではないような?🤔

 

ちなみにヘミングウェイが飼っていたのは指が6本ある多指症の猫で、幸運を呼ぶヘミングウェイキャットと呼ばれている。

 

ヘミングウェイ基本情報①

1899年シカゴ近郊の生まれ。父親は外科医で母親は声楽家。母は双子の姉妹が欲しかったため、年子の姉との双子の妹として育てると宣言。ずっと女の子の格好で育てられた。ヘミングウェイの中で男性にも女性にもなり切れない状態が続いた。

 

伊集院光氏:落語家は江戸時代のことを書くので豪快な男と繊細な女の役を一人でやる。ある意味心の中にその両方を持っている人の抜群の上手さを見て来た。それが行ける人は文章を書く時にも才能が発揮されるようは気はする。

 

なるほど、ヘミングウェイの生い立ちはちょっと複雑なのね。こういう母親って時々いるけど、男の子を女の子として育てる、もしくはその逆をいつまで続けるつもりで育て始めるのだろう? それが子供にどんな影響があるかも含め全く考えてないんでしょうね。不思議ちゃんでは済まされない状況なのに、何故父親も止めないのだろう? 

 

このように育てられたことが、上で語れていた男性的な部分と女性的な部分が同居しているということに、少なからず影響しているのだろうし、そういう意図で紹介されたエピソードなのだと思うけれど、サラリと説明されただけで終了してしまっていたのはちょっと消化不良。

 

ヘミングウェイ基本情報②

18歳から1年間カンザスシティ・スター紙で新聞記者見習いとして働いた後、19歳でイタリア戦線に赴く。38歳でスペイン内戦の取材をし、45歳で第二次世界大戦のヨーロッパ戦線取材のためロンドンへ。

 

第一次正解大戦が始まった時、居ても立っても居られなかったが、迫撃砲弾を受け重傷を負う。懲りることなくスペイン内戦などを取材しに行く。最初の戦場体験が大きなトラウマになり、何度も戦場に向かってしまうことがあったのではないか?

 

今なぜ「老人と海」なのか? 

 

「老人と海」なら読んでいなくても読んだ気になっているのではないか? でも、実際に読んでみるとヘミングウェイの作家生活の集大成的な部分がある。内容、文章の完成度、そして自然との共生というテーマが色濃く入っている。そのことについて今回話したいと思った。

 

はい!はーい!! 読んだ気になっている人✋😃

 

朗読:(今回の朗読は俳優の寺脇康文氏。朗読部分は自分が重要だと思う部分のみ引用)

老人は老いていた。一人で小舟でメキシコ湾流で漁をしていたが八十四日間一匹も釣れない日々。老人は全身やせて枯れていたが目は別だった。海と同じ色で生き生きとしてくじてけていなかった。

 

ナレーション:キューバのハバナ近郊で暮らすサンチアゴは84日間一匹も魚が取れない日々を過ごす。老人の世話をしているのは彼を尊敬している少年マノーリン。85日目もいつものようにマノーリンに見送られ海へ漕ぎ出す。

 

朗読:きょうこそは運の潮目も変わるかもしれない。毎日が新しい日だ。

 

ナレーション:老人の中では海はラ・マールという女性形だが、若い漁師たちの中にはエル・マールと男性形で呼ぶものもいる。

 

朗読:そういう連中は敵のようにとらえたが、老人はめぐみを与えてくれる女性ととらえた。

 

ナレーション:生き物たちにはなしかけ、老人は釣り糸をたらし様子をうかがう。すると突然とんでもなく大きな当たりがきた。

 

朗読:一匹のカジキが食らいついたのだ。

 

老人が一人でカジキを釣り上げたけど、帰り道にサメに襲われてカジキをほとんど食べられてしまうというのは知っていたので、てっきり偏屈で孤独な老人が、勝手な行動をする話なんだと思っていた💦 彼を尊敬して世話をしてくれる少年がいたのね?😲 しかも、海に対して敬意を抱いているような人物だったとわ!

 

老人は海をラ・マール女性と言っていたが?

 

母なる海から獲物をいただく尊敬の念を込めてラ・マールという女性形を使っている。自然をねじ伏せて獲物をもぎ取り、お金に変えようとする人たちは敵のように男性として海を考えるが、老人の海の機嫌を伺いながら獲物をいただくという、ある種謙虚な気持ちが強い。

 

伊集院光氏:長年海で暮らしてきた感覚的なモノ?

 

「老人と海」基本情報

1952年、全国誌「ライフ」に一挙掲載。532万部が48時間で完売。一週間後に単行本出版。

1953年、ピュリッツァー賞受賞

1954年、ノーベル文学賞受賞

 

簡潔で語彙も多いわけではないが深い内容。新聞記者時代の経験で培った。

 

「文章は短く。最初の段落は短く。気持ちの入った言葉を使え。自信をもって書け。逃げ腰になるな。ムダな言葉は全部削れ。」という教育を受け、この教えを生涯深めた。

 

伊集院光氏:僕としてはありがたい。難解なために難解にしてあるような小説があるが、一行目からウェッとなる💦

 

それまでの文学はどれだけ凝った巧みな文章を書けるかという競争のような部分があったが、ちょうど20世紀初頭にモダニズム(19世紀末~20世紀初頭に起きた前衛的な芸術運動)という文学だけでなく様々な芸術作品に大きく関係する流れがあった。そのモダニズムの影響を受けて新聞記者で培った簡単な言葉と芸術的な技術を合わせたのを見つけたのがヘミングウェイ。

 

モダニズムのことがきちんと理解できていないのだけれど、ヘミングウェイがその影響を受けたということは、彼の作品は前衛的ということなのかな? 

 

伊集院光氏の"難解なために難解にしてあるような小説"っていうのよく分かる。小説だけでなく映画とかでもあるし。そういうのが楽しい時もあるけど、あまりそればかりでは疲れてしまう。そして、難解なことを簡潔な言葉で分かりやすく説明できるのはスゴイことだと思う。

 

ナレーション:カジキが食いついたままの老人の漁は2日目を迎えた。

 

朗読:(カジキとの死闘の描写)

 

ナレーション:ついに巨大なカジキが姿を現した。頭から背にかけては濃い紫色、側面には薄い紫色の縞、くちばしは長く剣のように細く尖っている。カジキは全身を海面に躍らせたのもつかの間スルリと水中に身を隠した。

 

朗読:やつらにはやつらを殺しにかかるおれたちほどの頭はない。おれたちよりもずっと高貴でいろんな能力に長けてはいても。

 

ナレーション:闘いは再び夜を迎えた。夜空に最初の星が現れ、じきに他の星々も現れる。老人は釣り綱で繋がっていたカジキを持った。

 

朗読:海で暮らし、これぞ兄弟と思える魚たちを殺す。それ以上何を望むことがあろうか。

 

「自然と対話する老人」

 

実はこの「老人と海」という全体の設定がすごく書く難易度が高い。冷静に考えると老人が小舟で海に出て一人で釣りをしているだけ。もし老人が無口だとセリフがゼロで作業をこなして帰るだけで、何が何だか分からなくなりかねない。

 

でも、生き物との対話を入れることで、気持ちのやり取りもあり、読者も飽きない構成になっている。老人は鳥にも話しかけているが、鳥を見下すことなく人間と同格の仲間として話しかける。

 

伊集院光氏:そしてそれがちょっと気持ちいい。小鳥を相手にしているのに僕を相手にしているようなそんな感じもする。

 

なるほど。朗読部分の文字起こしをしていないのは、かなりの部分で老人の独り言なのか、心の声なのか分からないけど、とにかく老人が話している部分が多いのと、あとはカジキとの死闘描写だったりするからだったのだけど、確かに読んでいると自分に語っているように感じるのかも。

 

もともと無口だったという設定で一人で漁をするようになってから、ただ思ってるのか喋っているのか分からなくなってきたところがあるが、老人は実は大事なことは口に出してはいけないと考えている。例えばカジキにこういう風にエサを食って欲しいとか、口に出すとダメになるから黙る。

 

伊集院光氏:勝手にしびれてる今! そういうい理屈にしたんじゃ追いつかない境地に達した人が海と対話しているから無口ともおしゃべりともいえない。

 

考えることなしに体が動かないと釣り縄が切られる状況で自分でもどうしてそう動いているか分からないれども、すごく最適に動いていくっていうことが、どう起きるかを追跡していく話。

 

なるほど! 釣りをしたことがないから分からないけれど、たった一人でカジキを釣り上げるのはおそらく大変なことなんだよね? それを成し遂げるには、もちろん経験を知識を生かして戦略を練るのだろうけれど、佳境に入った時にはもう考えるより先に、自然にから動いていくような、いわゆるゾーンに入った状態を追跡するってことかな?

 

ヘミングウェイ自身もすごく釣りが好き。特に1940年にキューバのハバナ近郊に家を建てて20年間拠点にすると、自分でもクルーザーを持ってカリブ海を回って大物を釣っていた。

 

実体験に基づく描写力。よく知っているがゆえにちょっと調べただけでは気づかないような、例えばどういうプランクトンが発生するとか、ホンダクラ(海藻の一種で魚類などの住処になる)が流れて来ると、中にエビがいるなど細部の描写が分厚い。全体として量がないのに一つ一つが知っている人しか分からないことずくしで楽しくてしょうがない。

 

伊集院光氏:で、効いてくるのは、新聞記者時代のコツに書いてあった余計なことは限りなく捨てるとうことは、必要なことは書くが余計だと思ったら捨てるのが上手い。そこが釣りっぽい。俺ら読者が釣られる。過剰に揺らすと逃げるじゃないですか?その感じがする。過不足なく入れて来てキャッチしたらそのまま引っ張る。余計なことはしない。俺がカジキかと思い始めた。

 

まあ、俺がカジキだとは思わないけど、引き込まれるのは描写力が優れているからで、それは実体験に基づいた内容を、過不足なく描き込んでいるからということなのね。

 

ナレーション:3日目の朝ようやうやくカジキが弱りはじめ、徐々に海面に上がってきた。老人は残る力を振り絞り綱を引く。そして銛を胸ビレの後ろに突き刺した。

 

朗読:(カジキに銛を突き刺す描写)

 

ナレーション:長い闘いの末、ついに息絶えたカジキ。老人は舟の脇に括り付けるため引き寄せる。

 

朗読:おれはやつの心臓にさわったんだ。そう、二度目に銛を押し込んだときに。

 

伊集院光氏:この番組を長くやっていると他の名著に急に響き合うことがある。「遠野物語」(柳田国男著 クマと素手で闘う猟師のエピソードがある)クマと猟師の話にすごい似てる。猟師はクマに敬意を持ちながらクマを仕留めているという部分が似ている気がする。

 

「カジキと老人の関係」

カジキをただ獲ってやった、やってやったという風ではなく、尊敬の念を持ってやり取りして、ここでこういう縁で出会った運命。カジキが自分を殺しても自分がカジキを殺しても同じ。ほとんど愛の関係。仲間どうしというか、針とか銛で繋がった一体化した存在というところまでいっちゃう。

 

伊集院光氏:お前を釣る権利があるか?を今試しているだけだというか、そういう対話をしている感じ。最後心臓にさわったことで、主はお前、今からお前という感じかな?

 

老人がこれまでの人生で、どのように生業である釣りをしていたのかは不明だけど、少なくともこのカジキとの闘いについては、老人はもうそれ自体を楽しんでいるってことなのかな。もちろん自分が死んでもいいとは思っていないと思うけれど、そういう境地にはなっているというか。

 

心臓に触ったというのは、実際にカジキの心臓を貫いたということよりも、もっと感覚的なことなんでしょうかね? 生き物としてのカジキの芯の部分触れたというか、とても神々ものに触れたというような・・・

 

「老人と海」老人が遭遇するのは自分の体が思い通りにならないとか、海の状態とか気候とか自分の意志ではどうにもならないものと、騙し騙し交流しながら自分の仕事をやり遂げる。

 

現代社会において台風が来ても電車が動いているなら会社に行こうかという風な感じで、できるだけ不安定な予測不能な要素を排除して、将来死ぬ運命にあるということを忘れて暮らしているところがある。

 

「老人と海」を読むと現代の我々が無視していること、それを無視することは普通どころじゃないと感じさせてくれる。

 

なるほど。命あるものは全て死ぬ運命なのだけど、いずれ自分が死ぬことを知っているのはおそらく人間だけなのでしょう。でも、そのことをずっと考え続けることは無理だよね。生きていくには他に考えなければならないことがたくさんあるから。なので、時々こういう刺激を受けて、直接"死ぬこと"を意識しなかったとしても、命について触れることは大切なのかもしれない。

 

安部みちこアナウンサー:「老人と海」は3日間の話だが、もう既に3日目の前でカジキを仕留めてしまったが第2回で語ることがあるのか?

 

短い作品の中でももう7~8割来ているが、カジキを釣ってからもいろんな内容がある。なので、もう1回やる価値は十分ある。

 

第1回目でもう80%くらいまで来ているのか? 今回だけではヘミングウェイが今作で語りたかったことが、そこまで明確に解説されていないので、それは2回目ということになるのかな? 実は既に2回目もメモ取りながら鑑賞済みなので、近々UPする予定🤗

 

100分de名著:毎週月曜日 午後10:25~10:50 Eテレ

100分de名著


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