およそ50年前、妻との初デートで一緒に観た映画がハムレットだった。以来、シェークスピアは私の愛読書であり、宝物になった。
戯曲作品の幾つかの台詞が人生を洞察する「名言」として広く知られている事はご高察の通りである。「私の好きなシェークスピア」どうぞ
ご一読を・・・
◇ 険しい丘登るためには最初にゆっくり歩く事が必要である
◇ 慢心は人間の最大の敵だ
◇ 輝くもの必ずしも金ならず
◇ 喜怒哀楽の激しさはその感情と共に実力までも滅す
◇ 悪口を言われて我が身を正すことの出来る人間は幸せと言うべきだ
◇ 人は心が愉快であれば終日歩いても嫌になることはないが心に憂
いがあれば僅か1里でも嫌になる
◇ "安心"それが人間の最も近くにいる敵である
◇ 今晩は我慢しなさいそうすればこのつぎは堪えるのが楽になる
そしてその次はもっと楽になる
◇ 悲しみが来るときは単騎ではやって来ない必ず軍団で押し寄せる
◇ お前は他人の中にある自分と同じ欠点を鞭打とうとするのか
◇ 言葉が役に立たないときは純粋に真摯な沈黙が屡々人を説得する
2枚目に続く
老友三人と某駅前のB美術館前で落ち合う。半年ぶりの再開だ。
O氏80才、K氏とT氏が共に79才だから私が一番若い。
共に現役時代の職場仲間、謂わば戦友である。
タバコの吸える喫茶店に入ろうとそろそろ歩き出したが歩行者信号が
点滅し始めたので横断を見送る。
先輩三人はもう早足が困難らしいのだ。
皆さんそれぞれが体が小さくなったようにも見えた。
目当ての喫茶店に落ち着き先ず一服つける。
私もご相伴にあづかり吸ってみたが旨い。
昔のタバコよりも味も良く舌を差すような癖がない。
何年ぶりかでタバコを味わった次第である。
再会は「やあヤア」「元気そうだ」と喜びの挨拶から始まり
何時ものように、かつて勤めた職場の事になる。
仕事の事、同僚・上司の噂といつも同じようだ。
以前の話を焼き直して話す人や、
この話は時効だからと断っての新事実の公開もあって時々爆笑した。
訃報も2件聞いた。仕事上で面識のあった人物なので暫し瞬としたが、
話題が女性問題に転じて座が再び盛り上がった。
場所を食事処に移動しても談笑は続き、
気がついて時計をみたら2時を回っていた。
別れの挨拶を交わし、先輩のそれぞれ散っていく後ろ姿を見ながら私は
「次はないな」
と思った。
B美術館ではルノアール展を開催中であったが
私は看板を眺めただけで満足して帰路についた。
おわり