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JR東日本・HB-E210形気動車~仙石東北ラインで用いられるハイブリッド車両

2016-02-11 | 鉄道[東北]

先月「MAKIKYUのページ」では、昨年末に開業した仙台市営地下鉄・東西線に関する記事を取り上げましたが、昨年仙台圏ではこの路線以外に「東北仙石ライン」が運行開始した事も大きな話題の一つと感じています。


こちらは純然たる新線ではなく、一部区間での線路移設を含めた仙石線完全復旧に合わせて既存の東北本線と仙石線の間に連絡線(300m程度の単線)を敷設、仙石線快速列車を仙台方で東北本線運行に改めたもので、運行体系的には目新しいものの、実質的には運行体系改編と言っても過言ではない気がします。

しかしながら仙石線完全復旧の際には、野蒜付近の一部区間が高台に移設された新線に切り替えられた上に、交流電化の東北本線と直流電化の仙石線に跨る運行で、両線間の間に設けられた連絡線が非電化と言う事もあり、最新鋭のハイブリッド気動車による運行となっているなど、目新しさを感じる要素が幾つも…という状況です。

東日本大震災以前に仙石線全区間を乗車した事があり、震災後も代行バス(松島海岸~矢本)を挟んで仙石線で仙台市内~石巻間を移動した事があるMAKIKYUとしては、随分変わったと感じ、震災復興象徴の一つでは…と思う程でした。

この新路線「東北仙石ライン」で用いられているハイブリッド気動車は、HB-E210形と称し、システム的には小海線で活躍しているシリーズ式ハイブリッド気動車・キハE200形「こうみ」とほぼ同等ながら、路線特性を考慮して両開き3扉・片運転台車の2両編成となっています。


そのためキハE200形とキハE131・132形を折衷したと言っても過言ではない車両と感じたものですが、路線特性故に車内運賃収受式ワンマン運転に対応した設備が設けられていない事に加え、客ドア内側が黄色1色塗装ではなく金属地剥き出しとなっているのも大きな特徴と感じたものでした。


車両特性故にデッドスペースが多いのは致し方ないにしても、大半の列車が2編成併結した4両編成での運行(2両編成での運行列車が僅かに存在)で全車先頭車、この場合トイレも編成内で2箇所になるなど、ただでさえ少ない客室空間が更に少なくなるのは問題ありで、4両編成(中間2両は運転台無)で導入できなかったのだろうか…とも感じたものでした。


また最新型車両故に自動放送装置なども備えられ、新鋭ハイブリッド車両である事を盛んにPRしたいのか、新システムを案内するモニターも設けられていますが、次駅案内などはドア上に設けられた3色LED文字案内、それもJR東日本ならではとも言える全角6文字分しか表示できない貧相なものですので、モニターの活用法は少々問題ありと感じたものでした。

ちなみにHB-E210形が用いられる仙石東北ラインの列車は、1往復の「特別快速」を除くと各列車が「快速」として運行しているものの、仙台~塩釜間の東北本線内の途中各駅に停車する列車と、この区間の途中各駅を通過する列車の2種類が存在しています。


両者は表示色を使い分けており、赤色の方が東北線内通過駅ありとなっていますが、東急大井町線の各駅停車(緑色は「各停」ながらも通過駅が存在)と類似した紛らわしい案内となっており、一方を「準快速」か「区間快速」に格下げするか、もしくは「新快速」か「通勤快速」に格上げするなど、もう少し分かり易い案内が出来ないのだろうか…とも感じたものでした。

「仙石東北ライン」の運行開始自体は大いに歓迎でき、車両の特性なども考慮すると、今後石巻から更に東進して女川までの延伸運行にも期待できるなど、今後の展開にも注目したいと感じる状況ですが、細かい所を見ていくと少々難ありと感じたものでした。

また概ね1時間間隔の運行ながらも、昼間に運転間隔が2時間開く時間帯があり、しかも運転間隔が開いた時間に短編成(2両)で運行する列車が設定されている事は大問題で、車両数や線路容量面で無理な状況ではないと思いますので、これは早急に改善される事を願いたいと感じたものでした。