ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

川越のルミネから考えたこと、あるいは新しい世界のスタイル

2013年06月02日 | 地方政治・経済
「小江戸」と呼ばれる川越に行ったついでに駅前のルミネに立ち寄ってみる。まぁ、駅前のデパートということもあって、ある程度、ブランド力のある大手が入っているとは思ったものの、そこに入っているのはスタパ、zoff、ロフト、ヴィレッジヴァンガード、ブックファーストといった郊外型SCなどで見られるような店舗たち。それぞれの店の規模はもちろん大小があるけれど、並んでいる商品も商品の配置も何となく同じもの。

これは何も川越ルミネに限った話ではない。イオンモールやららぽーと等の地方の大型SCをのぞけば、スタバやzoff、ヴィレッジヴァンガードはもちろん、ZARAやniko and ...、earth music & ecologyといったおなじみのブランドも揃っている。

かっては都会と地方ではそこに存在する店舗や商品で大きな差はあったかもしれないが、国道16号的郊外・ジャスコ的郊外の進展と共に「均一化した快適空間」が広がり、都会と地方との差は縮まることになる。ある程度、大きな地方都市であれば、都会と同じブランドや商品が販売されることになる。しかも時代はインターネット時代だ。極論すれば、ネットを通じて世界中で同一のタイミングで同一の商品を購入することも可能だ。「ブランド」「商品」という意味では、世界中が同一の商圏に存在し、必要なものはどこであろうと手に入れられることとなる。

もちろんそれで都会と地方の「差」が存在しなくなったかというとそうではない。「物」や「情報」の入手については差が無くなったとはいえ、その情報に対する「感度」や「センス」の差がなくなったわけではない。マイナーな商品や大手SCなどでは流通しないブランドや商品の情報を常に身近に触れるできることが環境にいる人間と、雑誌やTV、ネット上で話題となった後にそうした情報に接することになる人間や積極的な努力をしなければ新しい情報に接することができない人間とでは、そうした「感度」や「センス」の磨き方に差が出るだろう。そしてそれが、「都会」と「地方」との差でもある。

ただこの「差」を生み出すものは大手流通業やマスコミによるものではない。その「大手」が取り扱わない、まだ小さなショップやデザイナーこそが新しい流行や洒落たものを生み出すのであり、それに反応した感度の高い消費者こそが新しい「価値」を作り出すことになる。

ファッションの世界では、そもそも他者との「差異」を生み出すことが成長の源泉であった。小さなデザイナーの小さなブランドや小さなセレクトショップが無数に存在し、常に新しい「差異」つまり「個性」を生み出していく。多少のトレンドがあったとしても、そのトレンドを生み出す側が存在し、そのトレンドの中で様々な「個性」が生み出されていく。

「小さな店」が新しい「個性」が生み出す。そしてそれを支持する「感度」の高い消費者たち。

こうした構図は何もファッションの世界だけではないだろう。特に現在では、「大きい」ことのリスクも高くなったようにみえる。ITの世界であれば、マイクロソフト中心の世界をGoogleやFacebookのようなベンチャー出身の企業が切り崩しつつある。そのGoogleだって、うかうかしていられない。ツイッターのようなコミュニケーションツールがあり、LINEのようなツールも登場している。いつどうなるかがわからない世界だ。

では、自らの「個性」を磨き続けるために、あるいはその「個性」を維持していくために、何が必要なのだろうか。1つには「感度」の高い消費者とのエンゲージメントを作り上げていくことであり、もう1つは地域コミュニティとの連携なのではないか。

もちろんメジャーになれば、特定の地域性を引きずることはデメリットでもある。しかし一方で、これだけ国道16号的郊外が広がり、世界が均質化したとき、そのアイデンティティを生み出すものは何らかの地域性・土着性のようなものなのではないか。誰もが同じ価値観であれば、そこに生み出される「差異」や「個性」は程度の差でしかない。しかしそこに「地域性」「土着性」がベースになった場合、違う地域の人間からするとそれは圧倒的な「個性」を持つ存在となり、同じ地域の人間からすると強い「共感」を与えるものとなる。

いずれにしろ、メジャーとは異なる「関係」を作り上げていくことが大事なのだろう。


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