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ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

海猿:テレビでは越えられない原作の壁

2005年06月26日 | 映画♪
原作のイメージを吹っ切れないで見てしまったという点を差し引いても、やはり原作を越えることはなかなか難しいのだろうか。誰もが楽しめる、誰もが分かるそんな物語はテレビでやっている分にはそんなものだと思うけど、映画だと物足りなさがある。ましてや複雑な部分が織りなす物語こそが原作での魅力の源泉になっているとなるとなおさらだ。加藤あいは可愛かったけれど、もう1つ物足りない「海猿」たちの物語。 仙崎大輔(伊 . . . 本文を読む

ゼブラーマン:ユルイ時代のヒーローが誕生!

2005年06月20日 | 映画♪
クドカンの脚本が凄いのか、三池崇史監督が凄いのか、コスプレまで披露した鈴木京香が偉いのか、まぁ、主演100回記念作にこの作品を選んだ哀川翔が一番凄いのだろう。個人的には、宇宙人の侵略ものではティム・バートンの「マーズ・アタック!」以来のヒット作!ツッコミどころ満載、B級映画的な楽しさ満載の必見作。 市川新市(哀川翔)は、生徒からは馬鹿にされ、妻は不倫、娘・みどり(市川由衣)は援交、息子はいじめと . . . 本文を読む

コラテラル:マイケルマンの描いた秀作ハードボイルド

2005年06月18日 | 映画♪
同じく偶然タクシーに乗り込んだのがドジな刑事だったら、リュックベッソンの「TAXI」みたいにひどい映画になったのかもしれないけれど、乗り込んだのがプロの殺し屋だったからか、マイケルマンが監督だったからか、ハードボイルドな質の高い作品に仕上がっている。「タクシードライバー」と「殺し屋」、果たして巻き込まれたのはどちらだったのか。 マックス(ジェイミー・フォックス)は、ロサンゼルスのタクシー運転手と . . . 本文を読む

砂と霧の家:「説明」と「物語」の違いが分けた明暗

2005年06月12日 | 映画♪
何も全ての登場人物が不幸になる物語が悪いとも思わないし、絶望に満ちた物語が嫌いなわけでもない。原作はベストセラーとのことだから、それなりにちゃんとしているのだろうけれど、結局は、演出が悪いのか、脚本が悪いのか、テレビのようにシーン毎に伝えたいことがきっちりしすぎて全体の繋がりが悪い。どうもチグハグ感がぬぐえない。2004年アカデミー賞で3部門にノミネートされた作品。 夫と別れ気力を失っていたキャ . . . 本文を読む

タイムライン:マイケル・クライトンは「ドラえもん」を超えたのか?!

2005年06月05日 | 映画♪
一時期、ハリウッドスターに大枚はたいても興行収入があがらなかった頃、原作の良さこそが映画を決めるとして、とにかくいくらつぎ込んでもこの三人の原作の映画化権を押さえろ、みたいになったことがある。その1人がこの「タイムライン」の原作者マイケル・クライトン。「ジュラシック・パーク」を彷彿させるような現在科学の最高技術が生んだSF大作。 フランス南西部の修道院跡で行われている100年戦争跡地での発掘プロ . . . 本文を読む

スイミング・プール:最後に仕掛けられた「罠」

2005年06月04日 | 映画♪
「8人の女たち」のリュディヴィーヌ・サニエが見事な肢体を披露する、フランソワ・オゾンのミステリー。この映画の予告編のイメージとは大きく裏切られるかもしれないが、「オゾン監督からあなたに届くミステリアスな一通の招待状」の言葉通り、単純なサスペンス映画とは一味も二味も違うミステリアスな「罠」が仕掛けられた秀作。 ミステリー作家サラ(シャーロット・ランプリング)は、出版社社長のジョンから気分転換にと . . . 本文を読む

花とアリス:岩井俊二の《表》ワールドが満開!

2005年05月22日 | 映画♪
こういう映画を感情移入なく見れてしまうことにいささかの寂しさを感じつつも、相変わらず展開される岩井俊二《表》ワールドを堪能。幾つかの岩井俊二的装置と鈴木杏と蒼井優の等身大の演技が絶妙の世界をつくる佳作。 幼なじみでともにバレー教室に通うハナ(鈴木杏)とアリス(蒼井優)。通学の電車でアリスの一目ぼれした相手の弟・宮本雅志(郭智博)を勧められたハナは彼に恋心を抱く。やがて高校に進学したハナは宮本が所 . . . 本文を読む

ハート・ブルー:サーフィンが導いた「ニューエイジ」的思想観

2005年05月08日 | 映画♪
久しぶりにキアヌ・リーブス主演の「ハート・ブルー」を見た。この作品、前にもこのBLOGで書いたが、かなりはまった作品の1つで、既に6、7回は見ていると思う。言ってみれば、この「ハート・ブルー」はアクション映画でしかないわけだけれど、かなり意識的に管理社会に対する批判を描いた作品だ。サーフィンに象徴される「自由」あるいは自らが生きるための「法」をつくり出していくという立場と「管理」社会あるいは「規律 . . . 本文を読む

チョコレート:アメリカの抱えた葛藤とそれを乗り越えるための希求

2005年05月08日 | 映画♪
確かにこの方が日本人に覚えやすいというのはあるのかもしれないが、この映画に「チョコレート」と邦題をつけたのはどうなのだろう。この映画にはその言葉が持つ甘さも口に残る響き後味もない。もっと、何ともいわれぬ余韻だけが残るのだ。原題どおり、死刑執行前夜に開かれる「Monster's Ball(化け物の夜会)」の方がまだよかったのではないか。数々の映画賞にもノミネートされたハル・ベリーとビリー・ボブ・ソー . . . 本文を読む

半落ち:横山秀夫が問い掛けた「人として生きる」ということ

2005年05月05日 | 映画♪
原作は読んでいない。映画のできがそれなりにいいだけに、きっと原作はもっと心打つのだろうと期待させられてしまう。『このミステリーがすごい!2003年版』(宝島社)『傑作ミステリーベスト10』(週刊文春)で、いずれも1位に選ばれた横山秀夫の傑作ミステリーが原作。否、ミステリーというよりも、感動作と言った方がいいのだろう。あなたは、誰のために生きていますか?― この問いに僕等はどう応えられるのだろうか。 . . . 本文を読む

ブラウン・バニー:ヴィンセント・ギャロが描いた「わりきれない」思い

2005年04月24日 | 映画♪
「退屈」なだけという人もいるかもしれないが「ロードムービー」は嫌いではない。通り過ぎていく変わり映えのしない風景も、ドキドキ・ハラハラすることのない展開も、主人公の心象風景を追いかけるだけの映像も、ともに嫌いではない。ジム・ジャームッシュやヴィム・ヴェンダースとも違う、ちょっとつくり過ぎの感はあるけれど、「バッファロー'66」のヴィンセント・ギャロが描いたロードムーピーの秀作。 バイクレースの最 . . . 本文を読む

LOVERS:日本ではなしえない大陸のスケール感

2005年04月23日 | 映画♪
同じ隣国でも韓国モノは合わないのに、中国モノは妙に惹かれる。大陸特有のスケール感、鮮やかな自然の風景、肉体を駆使しつつも「舞」のような様式美に彩られたアクション…日本のアクション映画ではなかなか実現できない世界がそこにはある。チャン・ツィイー、金城武とアンディ・ラウがそれぞれの魅力に満ちたアクション大作がこの「LOVERS」だ。 唐の時代。政治の腐敗から各地に叛乱勢力が台頭していた。その1つで民 . . . 本文を読む

オールド・ボーイ:狩撫麻礼は映画をどう見たのか

2005年04月12日 | 映画♪
再版と同時に原作は購入していたものの、結局映画館で見ることができず、ようやくビデオで「オールド・ボーイ」を見る。カンヌ受賞の名に恥じない傑作。狩撫麻礼こと土屋ガロンの原作をうまく引き継ぎつつも、パク・チャヌクが全く新しい「悲劇」として創りあげた傑作サスペンス。五つ星をつけたくなるほどの必見の作品。 妻と一人娘とのごく平凡な生活をおくっていたオ・デス(チェ・ミンシク)はある日突然拉致される。理由も . . . 本文を読む

子猫をお願い:韓国発!世界基準の青春群像劇

2005年04月09日 | 映画♪
携帯電話でメール、ステップを踏みながらの体感ゲーム、みんなで集まればパーティ気分。ここで描かれている世界は世界のどこでもありふれているような現代の風景。正直、これだけ話題になっていても韓国映画や韓国ドラマに関しては見てもどれも、どうも「嘘くささ」が鼻につき受け入れられなかったんだけど、この映画は別格。誰もが感じたことのあるほろ苦い感情を、恋を、夢や挫折を、自分探しを見事に描いた青春群像。 高校 . . . 本文を読む

「アメリカン・ビューティー」-「アメリカ」という病の行く末

2005年04月03日 | 映画♪
この映画を見た率直な感想から。「アメリカという国は何故、これほどまでに幸せそうな顔をしつづけなければならないのだろうか。」撮影前に芝居のようにリハーサルをやるという念の入れようで、その分、ケビン・スペイシー、アネット・ベニングら名優たちの演技が光る。アカデミー賞8部門にノミネートされた傑作コメディ。「アメリカ」という病、あるいは「アメリカ」という文化と同じベクトル上にある「日本」も他人事ではいられ . . . 本文を読む