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たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

大弛峠からお手軽山行・国師ヶ岳~金峰山

2011年07月18日 | 秩父の山
◎2011年7月16日(土)―with I男&K女

 I男のたっての願い・山小屋泊まり。「夜空の下でビールを飲みながら星空を眺めてみたい」そうだ。そろそろ、この願いを叶えてやらねばなるまい。昨年の光岳日帰り強行以来せっつかれている。3連休でもあることだしと、当初、南アルプスの荒川三山という予定にしてみたが、静岡に行くまで一日がかりとなり、まるまる3連休を山関係でつぶすことになる。これでは家庭事情でちと無理な話。次に考えたのが白根三山。農鳥小屋に泊まれれば一泊だけで済む、ところがこの小屋の主も、小屋そのものも個性が強烈らしく、山好き高校生は、英単語<notorious>の意味を、農鳥小屋をこじつけて覚える程らしい。I男の最初の山小屋経験がここではトラウマともなりかねない。やめた方が無難。北岳山荘では混むだろうし、翌日がきつい。北岳だけなら日帰りで十分。そこで3転して八ヶ岳。で、これで決まったわけではない。K女にこのことを話したら、私も連れて行ってよとのこと。もう、こうなったら、八ヶ岳も無理。別の楽ちんコース・小屋付きに切り替えて行くしかないか。この時期の歩きには絶対にふさわしくない十文字小屋まで想定した。そうしているうちに、ふと、大弛峠の存在を思い出した。この峠、自分は車で行ったことはない。行ってみたいと思ってはいた。I男には百名山へのこだわりもある。泊まる小屋を大弛小屋したらどうだろう。要予約とのことだったし、もうこれで決まりと、彼に予約をさせた。ところが、時間が経つにつれ、今度は自分の気分がどうも収まらない。国師も金峰も半日もあれば往復できるのに、わざわざ小屋に泊まる必要もないのではないか。だったら、翌日も歩けるように、別のエリアの山小屋に移動しよう。それどころか、この試行錯誤の期間に尻具合が悪くなった。これでは、普通の山小屋に泊まれる状況ではない。もう、どうでもいいような気分になりながらも、最終的に5転して大菩薩のロッヂ長兵衛泊でケリをつけた。決めるにあたって最重要ポイントとしてチェックしたのはトイレの具合。ホームページには「簡易水洗方式」とあった。洋式だろう。せめてこれだけが条件の最低ライン。即、自分で予約を入れたら空いていた。I男には、大弛小屋をキャンセルさせた。行き先がころころ変わって、I男もK女もネットの下調べで忙しかったろう。ただ、楽だったのは、このお2人、決して、どこそこに行きたいという我がままはまず言わない。オレの気分と体調で、行き先を変えても、別に文句も言わない。その点は気が楽だが、どうも、張り合いがない。

 前置きがかなり長くなった。最終的な行き先は、初日―国師ヶ岳・北奥千丈岳(+金峰山)、翌日―大菩薩嶺となった。川越で合流し、6時出発。中央道は早速、渋滞情報。車の中で、K女の作ったおにぎりをいただく。勝沼インターで下り、大弛峠に向かう。これがスムーズにいかない。I男の車は車検中で、従兄弟の車で現れたが、そのナビソフトがかなり古く、うまくルートを辿ってくれない。やたら、長野側から入らせようとする。地図を見ながら、何度かUターンを繰り返し、ようやく方向性をつかめた。恵林寺でトイレ休憩。自分は介護用の個室を使う。トイレから出ると、尻の痛みがしばらく続いた。シャワー付きではなかった。9時過ぎに大弛峠に近づく。ずっと舗装されていた。川上村からはダート続きのようだ。上の駐車場は満杯で、随分、下から路肩駐車が続いている。うろうろと上りながら駐車地探しをしていたら、タクシーの運転手に、この先には駐めるスペースなんかないよと声をかけられ、長野側に置くしかないかと、そのまま向かったが、ラッキーにも、左右登山口の入口前に空きスペースを発見。出て行ったばかりらしい。多摩ナンバーの軽ワゴン車の隣に置き、早速、準備にかかる。まずは国師ヶ岳。

 軽ワゴンのジイサンは面妖な顔をしていた。たばこをやたらと吸い、ヤカンで湯を沸かし、車の中から寝袋やら毛布を引っ張り出して、虫干しをしている。最初、浮浪者かと思った。車の中を覗くと、改造車風にアレンジし、着替えをずらっと吊していた。話好きなジイサン(以下、アブジイと称す)で、大弛峠に車泊して3泊目とのこと。いうなれば大弛貴族。金峰に行く途中でアブに顔を刺されまくり、腫れあがってしまったとこぼしていた。そして、面妖な顔になったということか。目はしょぼくれ、さぞ視野も狭かろう。顔そのものがまさに大弛みではあるまいか。写真が好きらしく、大弛小屋に自分の写真が飾ってあると言っていた。プロなのかどうなのかまでは聞きもしなかった。アブジイの顔にならないように、虫除けを塗りたくる。顔には、手にかけてこすった。確かにアブが多い。

(大弛小屋)

(シャクナゲの花)


 9時半出発。K女の下調べでは、夢の庭園のシャクナゲがきれいらしい。そのことをアブジイに話したら、もう終わったよと一蹴されていた。木の階段がずっと続く。これで、余計に疲れるとネットで記している人もいるが、ここの階段の段差は、自分の歩幅には合っていて、むしろ歩きやすい。いつものように、I男がさっさと先行し、K女が遅れる。出始めは仕方がない。シャクナゲだらけ。しかし、散ったにしては、花が落ちておらず、開花しているものも、まだこれからといった感がある。蕾も随分とある。本当に終わりかねぇ。夢の庭園は後回しにして、国師ヶ岳への分岐に入る。さっきから、学生さんグループを抜いたり、抜かれたりが続いている。学生さんは夢の庭園に向かった。

(富士山)


 視界が開け、金峰山の五丈岩が見える。そして北奥千丈の先に富士山。K女同行では、金峰はまず無理だろう。この時点では予定に入れていない。時間もたっぷりとあり、K女に合わせてゆっくり歩く。必然的に、I男の立ち止まり休憩が頻繁になる。前国師から先は奥秩父らしい原生林が続く。階段もなくなり、岩がごろごろ出てきた。陽射しは暑いが、空気はひんやりしていて気持ちがいい。さすが、2,500m超えの高所だ。奥北千丈への道を分け、国師ヶ岳10時5分到着。峠からわずか45分。コースタイムは1時間だから、K女同行にしてはえらく早い。富士山が真正面に見え、南アルプスの山々も広がる。件の学生さんグループは甲武信岳方面に向かって行った。山頂には20人近いハイカーがいて、賑やか。いい景色が望める山だ。しばらく休憩する。こんな時間でも、山頂では、必ず、何かを食べているハイカーの姿を見かける。

(北奥千丈岳から金峰山)

(国師ヶ岳)

(南アルプス)


 北奥千丈の分岐でK女と一旦別れる。夢の庭園で合流ということにし、I男と北奥千丈岳に向かう。分岐から10分足らず。こちらには4~5人。パソコン、無線機材一式を広げて交信している方がいた。でかいアンテナまで担いで来たと見える。このアンテナ、遠くからでも確認できた。ご苦労なことだ。ここから富士山は木がじゃまになって見えない。山頂にI男を残して奥千丈岳の方に歩いてみた。シャクナゲのヤブが続く。あまり歩いている人はいないのか、道も部分的に不明瞭になる。結局、すぐに引き返す。

 夢の庭園に向かう。ぞろぞろと上がって来る人達。すれ違いで、道を譲られた。I男が先に行き、ちょっと離れてオレがいたのに気づいて、「まだオトウサンがいるよ」と言っていたそうだ。親子に間違えられてしまった。えらく傷つけられた。言った方がジイサンだからまだいいが、これが年齢不問の女性からのものだったら、かなりのショックだったろう。後で、I男が「ボク、よく20代後半に見られるのですよ」なんて、なぐさめの言葉を吐いたが、なぐさめにもならず、余計に腹立たしい思いをした。実のセガレですら、20歳そこそこ。下の娘に至ったら、まだ20歳前だ。

(夢の庭園)


 K女は随分と早足だった。夢の庭園で合流とはなったが、その前に追いつくと思っていた。庭園とはいえ、階段から眺める自然の風景であり、中に入ることはできない。花らしきものはまったく見かけなかった。そのまま大弛小屋に向かう。中でカレーを食べている方がいる。ここの野菜カレーは逸品だとアブジイが言っていた。ここで、I男が金峰、甲武信、北奥千丈、国師のバッヂを買う。前2つの山には行ってもいないのにどういうつもりだろう。小屋のお兄さんの話では、やはり、シャクナゲはこれからだそうだ。アブジイはいい加減な大弛貴族だな。駐車場に11時15分着。往復2時間ちょうどだった。アブジイは相変わらずうろうろしていた。

(金峰山へ)


 さて、これからどうするか。K女は、せっかくだから、「2人でキンポウザンに行って来なよ」としきりに言う。普通はキンプと言うが、キンポウでも決して間違いではない。長野ではそう呼んでいるとも記されている。しかし、山梨から入ったことだし、まがりなりにも女性の口からはキンプと言ってもらいたいところ。何度もキンプと言うように促しても、キンポウで通し続けた。宿に到着が遅れる電話をする時でも、「今、キンポウザンから下りて来たところです」と言って、長兵衛さんから、「キンポウザンてどこの山ですか?」と逆に聞かれてもいた。まっ、K女がせっかくそうおっしゃってくれるのだから、金峰に行って来ようか。I男もバッヂを買ってしまったことだしズルは出来まい。コースタイムは往復で4時間半だ。その間、K女には、車で昼寝か、ヒマなアブジイと話でもして時間つぶしをしてもらおう。幸い、K女はだれとでも話を合わせ、ネタも切れない社交家タイプだ。英語とタイ語はペラペラだし、外人相手におしゃべりで長時間つぶしも自在な方だ。山に入って行かない限り、放っておいても平気だろう。こんなに大勢のハイカーが右往左往しているところでもあるし。遅くとも2時半には戻れると言い残し、11時20分出発。

(朝日岳と金峰山)

(朝日岳)


 歩いてすぐに、3時間で往復するのは無理なことが分かった。国師方面と違って、金峰方面の記載コースタイムはきつい。国師から眺めていて、大弛峠から朝日峠付近までの上りはきつそうだなと思っていたが、まさにその通り。樹林帯の中を歩くため、ひんやりとしてはいるものの、風通しが悪く、すぐに汗ダクになった。さっさと行くI男に追いつけない。そのうち、I男もペースダウン。休んでは一服が続く。朝日岳12時12分。コースタイムから8分しか縮まらなかった。ここも、ハイカーが行き交っている。男女の2人歩きが多いのはなぜ?単独も随分いる。ほとんどが、自分と同年代らしき方々。国師方面は年齢層がさらに上だった。

(金峰山が近づく)

(五丈岩)


 五丈岩がグンと近づく。鉄山は巻くルートになっている。登っても大したことはないだろうが、やめておく。お互いバテてきたあたりで見覚えのある風景。ようやく到着。13時10分。後半に巻き返したらしく、往路2時間半のところを1時間50分で着いた。この山頂は大石がごろごろし、広くて、アルプス風情のところが気に入っている。随分と人が入っている。五丈岩に若い男女が登っていて、登り切ると、拍手が周囲から沸いた。確か、I男はK女からおにぎりを1個もらってきたはず。半分ずつ分け合おうと、ザックの中をかき回したら、持って来るのを忘れてしまっていた。やれやれ。自分のザックから干し芋を出したらカビていた。チョコを2片ずつ口に入れ、水で腹を満たした。

(瑞牆山)

(金峰山の風景)

(下る)


 13時25分、下山。I男は瑞牆山を見てお気に入りになったようだ。次はあの山に行きたいと言うだろうか。瑞牆の山頂の岩場から下を覗き、目が回ったことを覚えている。I男が軽く足をくじく。本人は何ともないように装っていたが、ずっと痛みを我慢していたようだ。翌日も響いていたらしい。復路は往路よりも長く感じた。アブはいなかったが、小蠅がすごい。石が黒ずんでいて、手を近づけるとさっと飛んでいく。あのアミ付きの帽子はいいだろうな。後日、早速、ホームセンターの農作業コーナーで帽子用の網だけ買った。

(そろそろバテてきた)


 15時5分大弛峠に到着。約束の時間よりも大分オーバー。3時間45分かかった。登山口に近づくと、K女の声がする。だれを相手に話をしているのか、「まったく、まだ、帰って来ないのよ」なんて大声で言っているのが聞こえる。相手はアブジイだった。予定ではここでラーメンでも作って食べてから帰る予定でいたが、風呂に入ってから宿に行くことを考えれば、早々に出発しないといけない。K女のゆでタマゴとおにぎりをいただく。彼女は、アブジイが小屋に呼ばれて、カレーを喰いに行ったので、一人で近辺を探索しに出かけ、鹿に出会ったそうだ。車で着替えしたくとも、正面に、たむろしている連中がいて、着替えもできなかったとぼやいていた。アブジイは今晩も車泊だそうだ。何が目的か知らないが、顔のむくみが消えるまで大弛貴族でいるつもりだろう。他人のことながら、タバコはどうするのかと気になり、タバコはあるのか聞いたら、カートンが買って来たというから恐れ入った。

 アブジイに、お元気でと挨拶し、出発した途端、左前車輪を側溝に落としてしまった。何とも格好が悪い。客待ちのタクシーの運転手がニヤニヤしながら4~5人集まってきて、よくやるんだよなと、石と木を挟めて持ち上げてくれ、うまく脱出。借りた車、キズは付かずにほっとした。アブジイのお薦めの風呂は休業していた。ノボリが立っているからすぐ分かるよと言っていたが。どうせ、これから大菩薩まで行くのだからと、林道の入口付近にある大菩薩の湯に寄る。宿でも風呂はあるのだが、小さな家族風呂だろうから、ゆっくりも浸かれまい。大菩薩の湯は温泉で600円。甲州市民価格は300円。そのまま、急いで上日川峠のロッヂ長兵衛に向かう。18時15分前に何とか到着した。

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6 コメント

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お疲れさま (K女)
2011-07-18 17:20:09
あの涼しさはどこに行ってしまったのかと思うくらい、家は暑い、アブジイもそれであそこに連泊しているのかもと思ってきました。
ちょっと、夢の庭園、はがっかり、秘密の花園のような感激はなかったですね。楽しては良い景色も見られない事、勉強になりました。
一人でいる時に山に入ったら、目の前に何かいたので人と思い、道を譲ろうとしたら鹿さんでした。しばらく、眼が合って、数分立ち止まって、鹿さんは後ろを振り返りながらゆっくりと行ってしまいました、美鹿でしたよ

私がいたのに、晴れていて、山も雲海も綺麗でしたね。行き先決定まで、色々と調べたので、他の山も行った気分になっているかも。
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Unknown (ぶなじろう)
2011-07-18 23:04:37
今晩は。
アブジイは、おいらの理想像。その節は、言葉少ないジイになりましょう。

「夢の庭園、がっかり」はそのとおりですね。実態と命名が伴っておりませんもの。
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K女さん (たそがれオヤジ)
2011-07-19 05:52:13
おはようございます。
K女さんは夢の庭園期待で行きましたから、あれでは残念でしょうね。シャクナゲが満開の時期なら、また別の感慨もあったでしょうが。
美鹿との出会い、それだけでも良しとしないと。
K女さんも、今回は翌日分含め、随分と強くなりましたね。そろそろ、次回は、楽しては見られない景色を見にいきましょうか。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2011-07-19 05:56:50
アブジイはそれなりに味のあるジイサンでした。ただ、確かに、口数の多いところがキズですね。あまり、深みを感じさせませんでしたから。
ヒゲを生やし、赤いバンダナでも巻き、何も言わなきゃ、大弛峠の主みたいな存在になるのでしょうけど。
K女さんは夢の庭園にがっかりだったようですが、私は当初から、期待も何もしていなかっただけに、あんなものだろうなといった感じですね。
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お疲れ様でした (I男)
2011-07-20 11:02:57
お疲れ様でした。今回は天気に恵まれ最高でした。百名山バッジ集めもついつい甲武信まで購入してしまったので、いつか甲武信も上らなくては…。瑞牆山も気になりますね。実は最後に側溝にタイヤを落とした時はかなりビビりました。すんなり出れて良かったです。
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I男君 (たそがれオヤジ)
2011-07-20 12:57:24
こんにちは。
筋肉痛バキバキ状態はいかが?
次の目標は甲武信岳と瑞牆山か。これに雲取山を加えたら、奥秩父の百名山は制覇じゃないの。あとはハイキングで両神山に行くだけか。
まっ、そういう歩きもそれなりに楽しいだろうね。
オレも、自分の趣向があるから、頻繁なお付き合いは勘弁してよ。
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