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Opera! Opera! Opera!

音楽知識ゼロ、しかし、メトロポリタン・オペラを心から愛する人間の、
独断と偏見によるNYオペラ感想日記。

LA BOHEME (Sat, Oct 16, 2010 ) 出待ち編

2010-10-16 | メトロポリタン・オペラ
公演本編から続く>

すでにオペラの公演やらレクチャーに参加するのやらで多くの時間を費やし、
うちの息子(犬)たちがその間二匹ぼっちになっていることに負い目を感じている私としては、
残りの時間は出来るだけ彼らと一緒に過ごしたく、
単に自分の好きな歌手が登場しているというだけでは、出待ちをしたいと思うに十分ではなくて、
その公演自体が非常に素晴らしかったり(『蝶々夫人』『トスカ』)、
優秀な、しかし、まだ若手のアーティストがメトの舞台に立たせてもらえる数少ない機会(『フィガロの結婚』のミード)であるなど、
歌手や指揮者に、”すばらしい公演を本当にありがとうございます!!”とか、”メトへの登場おめでとう”という、
お礼とか祝福などの、強いメッセージを伝えたい時にステージ・ドアに駆けつけたくなるんだと思います。

人気歌手の場合は、私が行かなくても誰かが出待ちに行くだろうて、と思えるのですが、
若手の場合は、特に歌唱内容が優れていた場合、
私が行かなかったら、ステージ・ドアの外に出ても誰一人もヘッズがいないなんてことになってしまうのではないだろうか、
そして、あんなに頑張って素晴らしい歌を歌ってその仕打ちはなかろう、、というお節介な気分になるのです。
実際、ステージ・ドアに行ってみて、私一人だったことなんてこれまで一度もないんですけど。

どんな歌手でも、メト・デビューの公演というのは一生に1回しか訪れない特別な機会です。
それをグリゴーロは、控え目に言っても成功、人によっては大成功とも呼ぶかもしれない結果にしてみせたわけですが、
私はその結果もさることながら、その成功の仕方、成功の内容に非常にエキサイトさせて頂いたので、
これはなんとしてもメト・デビュー成功のお祝いを伝えて、
観客がどのように今日の公演を受け止めたか、ということを、彼が短い出待ちの時間の中から感じ取ってくれればいいな、と思い、
終演後、ステージドアに参上しました。

NYはこの日の公演の少し前くらいから、ものすごく気温が低くなる日が出てきて、
今日の夜は冷え込んでいるせいもあるのか、それとも土曜の夜だからか、
私がステージドアにたどり着いた時には、(公演を観ないで)出待ちだけにあらわれる常連メンバーすら少なめで、
これまでで、最も自分が全体の出待ち人数に貢献している率が高いように感じられ、ひたすら来てよかった、、とほっとするのでした。

シーズンの初日の公演というのは、大パトロンたちが終演後に歌手たちの控え室を訪れて健闘を称えることが多く、
今日もその例にもれず、歌手たちが外に出てくるのに普通以上に長い時間がかかっています。
と、そのうちにいつの間にか、どこからか、出待ちの常連=オペラ虫たちがうようよと現れ始めました。
そうか、パトロンとの会合時間を見越してこの時間に現れたのか、、、さすがだわ、、。
いつも、彼らの現れるタイミングのそのどんぴしゃなことには、驚かされるばかりです。

そんな出待ち常連メンバーの中で、番長的な存在であると言っても過言でない、一人のおばあさんがいらっしゃいます。
髪はオール白髪、50年代から一度も買い換えたことがないのでは?と思うようなめがねをかけ、
その出待ち歴の長さゆえに、出待ち常連組はもちろん、歌手のマネージャーたちですら一目置くという、名物ヘッドです。
彼女は現在は必ずしも全ての公演を鑑賞しているわけではなく、というよりもむしろ、
ほとんどの公演を鑑賞していないと言った方が近い、つまり、出待ちをするためだけにメトにやって来られるのですが、
あまりに毎回パーフェクトなタイミングで現れるさまは、
家から望遠鏡でステージ・ドアを覗いているのではないか?と思うくらいなのですが、
どうやらそうではないらしいことは、以前、私が彼女とおしゃべりをさせて頂いた時に、
”イースト・サイドにあるアパートメントからバスでここまで来ている”と聞いて、仰天したことからも確かなようです。
さすがにセントラル・パークをはさんだイースト・サイドからメトのステージ・ドアが見えるわけはないと思うので、、、。

私が初めて出待ちをした時、一応、ステージ・ドアから列らしきものが形成されているのに、
(どうせ、そんなものは歌手が出て来た時点で崩れるのですが、当時の私はそれを知らなかった。)
その番長が私や他の出待ち人たちの横をすり抜け、何食わぬ顔で、列の先頭に立っているのを見た時は、
”ちょっと、一体何なの、このばあさん?!”と思ったものです。
しかし、その後、複数の機会にわけて、何度も、見事なタイミング&人を油断させる巧みな話術で、
次々と割り込み・横入りを成功させている彼女の様子を見るうちに、
その技術に惚れ惚れすることはあれ、怒る気持ちはすっかり失せてしまいました。
初出待ちの際、どうして周りの出待ち常連組は彼女に抗議しないんだろう?と不思議に思ったものですが、
今の私と全く同じ心境だったんだと思います。

メトの出待ち常連組の人たちは、かなり個性的な方たちの集団ではありますが、
まずは親切な方たちの集まりと言ってよく、海外からいらした方や出待ちが初めての方でも、
何かを尋ねると、とても丁寧に教えてくれるはずです。
しかし、そこから突っ込んで、オペラ(というよりはメトと言った方がいいかもしれませんが)について、
ある程度の知識がこちらにあることがわかると、さらに”我々の仲間”という感じで温かく迎え入れてくれます。

丁度、この日も、常連組の間で、”コヴァレフスカとゲオルギュー、どちらが優れたミミか?”という議論が待ち時間の間に始まって、
私は最初、特に会話に参加せず、”あの控え目な感じがミミに合っている”とコヴァレフスカを支持する女性が、
”いやいや、ゲオルギューのリアリティーのある演技に比べたら全然!”と他の方たちにやりこめられていて、
まあ、ゲオルギューの演技をリアリティーがあると感じるとは、
人のリアリティーの感じ方とは千差万別なことよ、、、と思いながら、聞くともなく聞いていると、
”そういえば、昨年のミミは誰だっけ?”という話になって、
NYのヘッズはあまりにたくさんの公演を追いかけているために度忘れすることがあり
誰も思い出せないようなので、”ネトレプコではありませんでしたか?”と私が言うと、”おお!そうだ!”という声と共に、
一気に円陣が私の方まで広がってきて、”で、あなたはどのミミが好き?”とあっという間に議論に吸い込まれてしまいました。

以前の出待ちで、それまでは私の存在になど気づいていないかのように振舞っていた番長の前で、
キャラモアの『セミラーミデ』で、ミードの歌に感銘を受けた”と発言した途端、
”そう、あなたもキャラモアに行ったの。”と、突然、50年代のめがねの奥の番長の目が
きらきらし始め、その後、一緒に列に割り込ませてくれたり、
何くれとなく話しかけてくれたりして、とても良くして頂いた、ということもありました。
不思議はありません。この番長こそ、あのフィガロの出待ちで、
”『アルミーダ』では、フレミングに病気になってもらいたい。”と言ってのけた女性ですから。
番長もミードの大ファンなのです。

やがて、議論はゲオルギューもコヴァレフスカもミカエラを歌ったことがあるね、という話から、
ガランチャはカルメンに向いているか?また、カルメン歌いとしてすぐれていた歌手は誰か?という新しいトピックに移っていきました。
円陣のみんなが各々、”私の思い出のカルメン”について語った後、
いつの間にか円陣に加わっていた番長(また割り込み?)が、
”ガランチャはね、カルメンには向いてないの。彼女は良い歌手だけど、カルメンじゃない。
色んなタイプの優れたカルメンがいたけれど、、、ちょっと、名前を挙げてみましょうか?”
と言って、出てくる名前が、フェードラ・バルビエーリ(彼女がメトでカルメンを最後に歌ったのは1954年のことですから、
番長がいかに長い間、オペラを聴き続けて来たか、わかります。)、
リーズ・スティーヴンス、レジーナ・レズニク、グレース・バンブリー、
シャーリー・ヴァーレット(ご冥福をお祈りします。)、マリリン・ホーン、、

我々が目を輝かせて聞き入っていると、とうとうステージ・ドアの扉が開き、誰かが出てきました!
動物園から脱走して来た熊かと思ったら、マルチェッロ役のファビオ・カピタヌッチです。
ネットで出回っている彼のプロフィール写真では、髭が綺麗に剃られていますが、
今回の『ラ・ボエーム』では本編の写真からもわかるとおり、あごから頬にかけて髭をはやしていて、
なんだか、服で隠れている場所以外、全部「毛」という感じで、大柄でコロコロした雰囲気が本当に熊のよう、、。
彼も今日がメト・デビューだったので、出待ちの常連でも、彼に実際に会うのは初めての人ばかりで、
どんなパーソナリティか、全く想像がつかなかったのですが、
全く気さくで温かい感じの方で、一人一人とても丁寧に応対してくださるので、
早くも、待ち時間がやや長めだったために、すでに血に飢えたコヨーテ状態になっていた
ヘッズたちの良き餌食となっています。
それにしても、番長、いくら今回彼に会うのが初めてで、写真と実物をマッチさせるのに苦労しているといっても、
本人の目の前で、周りのヘッズに、”これ、カピタヌッチ?これ、カピタヌッチ?”と、
ミスターもつけずに大声で苗字を連呼するのはちょっと失礼なんでは、、?さすが、番長、怖いものなしです。

いよいよ、次は私のサインの番!
カピタヌッチも私の方に体を向け、後はサインペンとプレイビルを渡すだけだったのに、
いきなり彼の背後からあらわれたロシア人系と思しき出待ち常連組の男性が、
イタリア語で、”あなたは世界で最高のイタリア人バリトンです!”と話しかけ始め、
話は延々と続く、、ちょっと勘弁してよね、と思った瞬間、むこうに見えるのは、マイヤ・コヴァレフスカではないですか!
しかも、多くのヘッズがカピタヌッチに気をとられているため、
いち早く彼女に近寄った中国人系の常連組の男の子以外、ノーマークです。
これは急がなければ、彼女のサインをもらい損ねてしまう!と、半渡し状態だったプレイビルとサインペンを奪い返し、
カピタヌッチを放置して、コヴァレフスカにダッシュ!

彼女に息を切らせて駆け寄り、ふと顔をあげてびっくりしました。
”で、でかい!”
そうなんです。舞台で想像した以上に背が高くてびっくり。
もしかしたら、178センチ以上あるのではないかと思います。
彼女はものすごく痩せている、というイメージがあった(し、実際スリムな)んですが、
一つにはこの高い身長がさらにそのイメージを増長しているのかもしれないな、と思いました。
身長がこんなに高いのは意外でしたが、雰囲気は舞台から受ける感じのまま、
控え目かつ穏やかそうな方で、まさに、優しいお姉さん(実年齢は私の方が上かもしれませんが)といった雰囲気の方です。
サインのお願いにも、優しく笑って、”もちろん!”と応じてくださいました。
下手すると、日本人よりもずっと礼儀正しい感じで、気配りも細かそうで、
すぐ後に出て来た指揮のブリニョーリに、”マエストロ、今日はお疲れ様でした。”と、
丁寧に挨拶をしている様子を見るにつけ、ますます、一昔前の日本人みたいな人だわ、、と思いました。

では、ついでに、そのブリニョーリも捕獲!と、”マエストロ、、”と声をかけようとしたところ、
またしてもあのロシア人が横から飛び出してきて、
”マエストロ、あなたは世界で最高のイタリア人指揮者です。”
、、、、この人、てっきりイタリア語を流暢に喋れるものとばかり思っていたけれど、
もしかして、”あなたは世界で最高のイタリア人○○”の○○の部分を変えているだけ?

ブリニョーリは奥様とローティーンのお嬢さん(このお嬢さんが父親に似ずとても可愛いらしい!)という、
ご家族と思しき2人を引き連れていて、そのお嬢さんの方が、じりじりとした様子で待っていた私に気づいて、
”ごめんなさいね。”という感じでにこっと微笑むと、
ブリニョーリの背中を、”パパ、パパ”と軽く突いて、”この女性が待っていらっしゃるわよ。”という手振り。
ああ、なんという素敵なお嬢さんなの!!
ブリニョーリ、指揮よりも子育ての方が上手なんじゃないか、と一瞬思ってしまいましたが、
これは奥様の力か?

という間に、カピタヌッチの周辺がややおとなしくなって来たようなので、ここでリベンジ。
どうやら、さっき、もう少しでサイン!というところで、放置して去って行ったことを覚えていたようで、
とても申し訳なさそうに(カピタヌッチのせいでは全くないのに、、)、
手を太もも横に合わせ、ニ、三度、微妙に体が前に傾いたような、、。
これは、もしかしてお辞儀?! もう、あのロシア人のせいで、カピタヌッチにこんなに気を使わせてしまったじゃないよ!!
この方はもう徹頭徹尾、いい人オーラが発散されていました。

次に現れたのはシェンヤン。こう考えると、『ラ・ボエーム』って、結構登場人物が多いんだな、というのを実感します。
彼の場合、舞台では痛いほどアジア人しているのに、
意外にも素の方が、上背もあるためか(シェンヤンは体格もごついですが、身長でも、カピタヌッチよりもずっと大きいと思います。)、
アジア人男性にしては珍しい押し出しの強さみたいなのもあって、舞台よりも素敵な感じがします。
舞台より素の方が素敵とは、これいかに、、?
アジア人同士というのはやはりちょっとほっとするところもあるのか、
他のヘッズに対する時と比べて、丁寧に応対してくださったような気がします。
隣には可愛いアジア人の女性を伴ってらっしゃっていて、
このすぐ次の月曜日のカーネギー・ホールの演奏会にも、お2人ご一緒に来場されていました。

その後しばらくあって登場したのが、ムゼッタ役のタキーシャ・メシェ・キザート。
もう少しでまたしてもロシア人にしてやられそうになっていたところを、
ミミ議論で意気投合した出待ちの常連の女性が、自分がサインをもらった後、
すかさず、タキーシャに、”今、私の友達のMadokakipを紹介するわね!”と言って、
私を招いてくれたため、タキーシャの”Hi, Madokakip!"の一言で、ロシア人が割り込む余地はなくなりました。
あ、でも、彼女はアメリカ人だから、例の必殺文は使えないですね。
それとも、イタリア人のところを、アメリカ人に置き換えるのか?
よく考えると、今日のキャストは結構名前の綴りが長い人が多くて、
なかにはファースト・ネームをアルファベットでサインする人もいたのですが、
彼女はフル・ネーム、全てきちんと綴って、しかも、サインには、
その名前の前に、Be blessedという枕詞まで入れてくれるので、
名前の方がプレイビルのページの端で切れそうになって、大変なことになっていました。
彼女ももう舞台で見たままの、豪快な黒人の今時のお嬢さん、という感じで、
彼女も今回、メト・デビューで、しかも彼女の場合はグリゴーロやカピタヌッチと違い、
まだまだインターナショナルな活躍が始まる前の人なので、相当プレッシャーを感じていたのではないかと思っていましたが、
この豪快で元気一杯の様子を見ていると、そうでもなかったのかな、、?とも思えてくるほどです。
(でも、やっぱり歌声には少し緊張している様子が感じられました。緊張しないほうがおかしいです。)

タキーシャから離れた後、ナイスな気遣いをしてくださった出待ち常連の女性にお礼を申し上げると、
”もうね、あんな人(ロシア人)が喋り終わるの待ってたら、いつまで経ってもサインがもらえないもの!”
”ほんとに!”と言って笑っていると、噂をすればで、タキーシャにサインをもらった後、
再びカピタヌッチを捕獲して雑談に興じていたそのロシア人が私の側にいきなり近づいてきて、
”君のサインペン、しばらく貸してもらえないかな?”
ええっ??!!ちょっと、もういつグリゴーロが出てきてもおかしくないし、困るんですけど!!
”絶対にグリゴーロが出てくるまでに返してね。”と釘を刺した上でペンを渡し、
例の女性と思わず顔を見合わせ、呆れた、、という表情をし、
女性に”大丈夫。もし間に合わなかったら、私のペン使って。”と慰められていると、
ステージ・ドアが開いて、みんなの、”メト・デビュー、おめでとう!ヴィットリオ!!”の声が!!
やおらカピタヌッチとなにやら筆談している様子のロシア人に向かって、
”早くーっ!!私のペンーっ!!”と腕を振り回しながら大声で叫ぶと、ペンを握ってロシア人が走って来ました。

グリゴーロは、舞台で見るよりさらに華奢で小柄な感じで、後、写真で見て想像していたよりは、頭部が大きい。
これは、決して悪い意味ではなく、私は自分なりに、良い声が出る人の頭の形に関するセオリーがあって、
彼の頭の形と大きさはそれに近かったので、おおいに納得したのです。

彼はもうこういう状況に慣れっこなのか、かるたみたいにたくさんの自分のブロマイドみたいなのを手にしていて、
出待ちのメンバーと言葉を交わしたり
(ロシア人が、また、”君は世界で最高のイタリア人テノールだ、、”とのたまっていたことは言うまでもない。)、
写真に納まりながら、そのブロマイドにサインをしつつ、みんなにばら撒くという、究極のマルチ・タスキングでした。

グリゴーロは黒いコートの下にタキシードを着ていて、ディナーの予約か何かにすでに遅れているのでしょう、
横では彼の奥様かマネージャー(おそらく前者)が、”早く!早く!”とグリゴーロをせかしています。
私はブロマイドではなく、自分が持参したCDとプレイビルにサインが欲しかったので、
それらを差し出すと、にこやかにサインしてくれました。
単純に自分がそこにサインをしてほしいからそうしただけなのですが、
考えてみたら、ただで配っているブロマイドに群がる出待ち人と、
自分のCDを買ってくれて、そこにサインをしてくれ、という出待ち人、どちらが印象が強いかといえば、
それはもう日の目を見るより明らかな話です。
しかも、出待ちの常連組は、中国人系の男の子を除いて、番長を筆頭にじじばばばっか。
比較で、私が若く見え、常にグリゴーロがリーチ・アウトしたい、と言い続けて来た、
若い世代(自分で若い、ということには全く抵抗がありますが、あくまで比較で)から、
最も至近距離にあるのが、中国人系の男の子とこの私といえます。

私は普段、どの出待ちでもカメラを持参しないし、なぜだか、特に歌手の写真を撮りたいとも思わない人なので、
この日もカメラなし、サインをもらえたことだけでひたすら大満足していると、
別の出待ち人の女性に、”グリゴーロと一緒のところの写真を撮ってほしい。”と頼まれました。
頼まれるままに撮影して、その女性にカメラを返すと、
私が誰にも写真をとってもらえない状況にあると思ったグリゴーロ君(あ、とうとう君づけになった、、)が、
次に写真を一緒に撮ろうとする別の出待ち人にもみくちゃにされながら、
私を指して、”君、後で一緒に写真撮ろうね。”

       

これにはやられました、Madokakip!!!
普段、美男子には全く興味のない私ですが、歌の歌える美男子は別ざんす!!!
グリゴーロ君がそう言ってくれているのに、断るのは無粋の極みですから、
速攻で中国系の男の子のカメラで撮影してもらってメールで送ってもらう、という交渉(というか強制、、)にたどり着いたのに、
その時、むなしく、”あなた、時間切れ!”という奥様の声が、、。
まだまだ一緒に写真を撮りたい、とむらがるヘッズたちから、
タキシードの襟をつかまれて、無理やり奥様にひっぱがされ、
引きずられるようにして、”ごめんね、ごめんね。”とみんなに手を合わせつつ、
夜の闇に消えていくグリゴーロ君の姿に、
”おやすみなさーい、残りのラン、頑張ってねー!!”と、手を振る我々なのでした。

というわけで、ツーショットの夢は露と消えたのであります。残念無念! 

(注:この出待ちの時のサインが入ったプレイビルを、keyakiさんがご自身のブログでとても素敵に紹介して下さいました!)


Vittorio Grigolo (Rodolfo)
Maija Kovalevska (Mimi)
Takesha Meshé Kizart (Musetta)
Fabio Capitanucci (Marcello)
Shenyang (Colline)
Edward Parks (Schaunard)
Paul Plishka (Benoit/Alcindoro)
Daniel Clark Smith (Parpignol)
Conductor: Roberto Rizzi Brignoli
Production: Franco Zeffirelli
Set Design: Franco Zeffirelli
Costume Design: Peter J. Hall
Lighting Design: Gil Wechsler
Stage Direction: David Kneuss
Gr Tier D Odd
OFF

*** プッチーニ ラ・ボエーム Puccini La Boheme ***

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23 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
番長w (チャッピー)
2010-11-08 20:47:33
番長=西宮のおばちゃまですね。
「アルミーダ」フレミングが病気になればいい、って彼女が言ったんですか!(ぷんぷん)
彼女が一番最初、というのは常連の間では常識
みたいです。ともかく昔からオペラを見ているオペラの生き字引みたいな人で、彼女による「オペラ歌手インタビュー」は下手な雑誌のインタビューより面白いです。今度、是非カウフマンにインタビューして欲しい@ワルキューレ

ロシア人、うざいですね。押しが強くても、オペラ知識量が豊富ならOKなんですけどね。次は4月に行きますが、一緒に出待ちしたくない人だなあ。
返信する
出待ちの井戸端会議 (keyaki)
2010-11-09 02:15:41
皆さんのサインをもらうのも技術がいりますね。苦労してもらったサインを頂けて光栄です。ありがとうございます。ブログに掲載させていただきました。写真はもうちょっとのところだったのに本当に残念でした。

グリゴーロは、ヘッドショットとか舞台写真を持ち歩いているみたいで、町で出会ったりするとプレゼントしてくれるそうです。空港で出会ってCDをもらった人もいるみたい。オペラだけのオペラ歌手より顔が売れているみたいなので、常に準備しているのかしら....町で出会ったら声をかけてみましょう。(笑
返信する
イタリア男! (シャンティ)
2010-11-09 07:53:19
Madokakipさん、グリゴーロのイタリア男気質にやられましたね。
ツーショットを撮れば 肩にまわしてくれる手でその度合もわかったのに...残念。でも、そんなことになったら グリゴーロ>カウフマンになってしまったかもしれませんね。
ところで、番長様を含め、公演を見ないで出待ちする方々はその公演で調子が悪かった歌手にも 相手かまわずサインをもらうのでしょうか? & メトの楽屋口はわかりやすいところにあるのでしょうか?
返信する
チャッピーさん、keyakiさん、シャンティさん (Madokakip)
2010-11-09 12:20:32
>「アルミーダ」フレミングが病気になればいい、って彼女が言ったんですか!(ぷんぷん)

ええ、しかもミードの目の前で。
ミードもさすがに、“本当に”とは言えず、“もう、おばあちゃんったら!”という感じで、
やさしくいなしていましたが、、。


>ロシア人
>一緒に出待ちしたくない人だなあ

彼は多分主にイタリア人狙いだと思いますから、『ワルキューレ』とかは大丈夫かもしれません。
(どうしよう、、それまでにドイツ語バージョンの必殺文を覚えてきて、
カウフマンを独り占めするようなことになったら、、。刺し殺してしまうかも、、、。)

>苦労してもらったサインを頂けて光栄です。ありがとうございます。ブログに掲載させていただきました。

まあ、keyakiさん、こんな風に素敵にフィーチャーしてくださって、本当に恐縮です。
プレイビルの下のイラスト、なんだ、汚い字だな、と思ったら、自分の字でした(笑)
苦労なんて、とんでもないんですよ。出待ちは、ああやって、次に誰が出てくるか!と、
鵜の目鷹の目でいて、ゲットできたときに“つかまえたあ!”と思うのが、楽しみの一つなのです。
ただ、目立たない人がキャストに混じっていると、ちょっと厄介でして、
今回、ベノワを歌ったプリシュカ(この人も、結構メトで長いキャリアを誇るおじいちゃんなので、サイン欲しかったんですけど、、。)は
出番が早く終わってしまうので、先に帰ってしまったみたいなんですが、
エドワード・パークス(ショナール)を誰も捕獲できなかった、、、。我々もまだまだです。
コヴァレフスカも意外とすばしっこくて、私は中国系の男の子のおかげでつかまえられましたが、
後で、“あれ?ミミのサインがない!いつ彼女出てきた?”と言っている人たちが結構いました。
中国系の男の子さまさまです。

>グリゴーロ>カウフマン

もう、あのABCの番組を観てから、この公演まで、私はかなり盛り上がってまして、
あまりにグリゴーロ、グリゴーロと言っていたものですから、
出待ちしている間に、連れから“君のヨナスが泣いてるよ。”というテキスト・メッセージが
携帯に入ってました(笑)
でも四月(『ワルキューレ』)になったら、またヨナス、ヨナス!と大騒ぎになりますから大丈夫!
いずれにせよ、この二人のように、全然タイプの違う、しかしそれぞれに優れた歌手の歌を同じ時期に聴けるというのは、ほんと幸せなことです。

>番長様を含め、公演を見ないで出待ちする方々はその公演で調子が悪かった歌手にも 相手かまわずサインをもらうのでしょうか

ええ、そのようですよ。だって、調子が悪かった、と知りようがないですものね。
まさに空気が読めない、とはこのこと、、、?

>メトの楽屋口はわかりやすいところにあるのでしょうか

ええ、とってもわかりやすいところにあります。
多分、ギフト・ショップの横のエスカレーターを降りてすぐの地下の扉を出て左に曲がるのが一番早いと思います。
返信する
待ってました!! ( F )
2010-11-09 20:26:35
こんばんは。
楽屋口レポ、興味深く拝見しました。
出待ちの鉄火場で議論が沸き起こるなどバレエでは考えられませんね。
やはりメトのヘッズの皆さまは、特定の贔屓があるにせよオペラそのものが大好きなのですね。
バレエの出待ちはキャスト個人により比重があるような気がします。
グリゴーロ“君”とのツーショットは残念でした。
次回は「番長」とのお写真が…( 以下自粛w )
返信する
追伸 ( F )
2010-11-09 20:39:54
書き忘れました。
数年前、正月早々の海外カンパニーのマチネで、出待ち人数2人を経験しました。
トップクラスではないものの、好きなバレリーナの初役だったので…
一緒に待った女性は相手役の男性ダンサー目当てでしたから実質は1人でしたね。
でもふたりは公私共のパートナーだったので、出待ちの人数にもめげず仲良く帰って行きました。
バレエの話ですみません。
返信する
年配男性 (チャッピー)
2010-11-09 21:08:41
シャンティさま
>番長様を含め、公演を見ないで出待ちする方々はその公演で調子が悪かった歌手にも 相手かまわずサインをもらうのでしょうか?
その方が良い場合もあるんですよ。「オランダ人」の時の大野さんなんかが良い例。見てない人多いからか、熱い出待ちになりましたよ。

Madokakipさま
>中国系の男の子さまさまです
常連の中に恰幅の良い眼鏡をかけた年配男性がいますが、彼も歌手を認識する能力は凄いです。でもスルーすることが多くて困ります。
「スペードの女王」の時、セメンチェクが女友達と一緒に出てきたんだけど、余りに自然すぎて誰も貰いに行かなかったんです。
チャイニーズ「ひょっとして今のセメンチェク?」
年配男性「ああそうだよ」
チャイニーズの彼、それを聞くとダッシュして貰いに行きました。

あの二人は仲が良いようで、一緒にいるのをよく見ます。年配男性も公演は見ず出待ちだけのことが多いようで、プログラムはチャイニーズから貰っているようです。彼はアジア系はプログラムを余分に持ってると思ってるらしく、私にも持っていないか聞いてきたことがあります。チャイニーズ氏がいなかった時の話です。
返信する
Fさん、チャッピーさん (Madokakip)
2010-11-10 04:25:35
>メトのヘッズの皆さまは、特定の贔屓があるにせよオペラそのものが大好きなのですね

これは本当にそうだと思います。もうほとんどキの字がつくくらいに、、、。
ヘッドが二人以上そろえば、すぐにオペラの議論になっていきますから、、。

>バレエの出待ちはキャスト個人により比重があるような気がします

そうですね、もちろんオペラにも特定の歌手に会いたいという理由で出待ちする方もいらっしゃいますが、
ある一人のサインをもらってそれで終わり、という人は、メトでは比率的には少ないですね。
実際に公演を観てから出待ちに来る人は、やはり、一つの演目、一つの公演で、
キャスト全員に聴かせて、見せてもらった、という感覚の方が大きいような気がします。

>でもふたりは公私共のパートナーだったので、出待ちの人数にもめげず仲良く帰って行きました。

仮に人数が少なくとも、誰かがステージ・ドアにいてくれる、というのは、
特に若手のアーティストには嬉しいことですよね。
きっと、Fさんのこと、覚えていてくれますね!

>「オランダ人」の時の大野さんなんかが良い例

指揮者なんかは、“俺の指揮はまずかないんだ。オケが悪いんだよ。”と人のせいにしたり、
本当にそう信じている人も結構いると思いますが、
(別に大野さんがそうしていたと言っているわけではありませんので。念のため。)
歌手はやっぱりそうは行かなくて、能力とか調子というのがはっきり観客にわかってしまいますからね、、。
あまりに出来が悪い時、それを一番良くわかっているのは自分だと思いますから、
それで群がられても、あまり嬉しくない、というのもあると思います。
ただ、一度メトで歌ったことがある人なら、“あ、いつもの出待ちのメンバーだ。”くらいな感じかもしれませんね。

>恰幅の良い眼鏡をかけた年配男性がいますが

はいはい!(笑)
以前お話した、銀行泥棒みたいに目深にスキー帽をかぶったキース・ミラーをあててみせたのも彼でしたよ。

>チャイニーズ「ひょっとして今のセメンチェク?」
>年配男性「ああそうだよ」

おかしい!(笑)
一応、サインをもらいに行く相手のクライテリアがあるんですね。
中国人の男の子みたいに誰彼かまわずもらうわけではなくて、、。
それはちょっと気づきませんでした。

後、今回、難関はキザートでしたね。
合唱の黒人の女性が出てくるたびに、“あれ、彼女?”って、いちいち大騒ぎになってました。
写真と実物、結構違うことがありますから、みんな、
“黒人だっていうこと以外、よくわからん、、、。”って、、。
結局はすごく華やかな人で、本人が出てきた途端、すぐにわかったんですけど!
返信する
グリゴーロ君 (mami)
2010-11-10 13:53:45
metデビューを楽しみにしていました。現地からの、その当日の公演だけでなく、出待ちでの様子まで、伺えて嬉しいです。しかも、その出来がよかったのですから、なおさら嬉しい。

やはり、私は、テノールが気になるので、グリゴーロ君には、頑張ってほしい!!!!それに、早く生で聴いてみたいです。keyakiさん情報も含めると、見つけたら、声をかけてみるべき!ですね。

でも、Madokakipさん、もし2ショット写真をとって、更なるグリゴーロ君エピソードがあったら、、、、。ごめんよ、ヨナス、、な可能性もあったかも??
何しろ、相手は歌も歌える美男子イタリア男ですからね!しかも、そのときは、コートを着てるとはいえ、タキシードでしたし!

keyakiさんのところで、プレイビルを見てきましたが、実際、そのときのエピソードを読みつつ、そのプレイビルをみると、こちらまで嬉しくなりました。そして、その心意気に、よっ!ポスト番長!とMadokakipさんをお呼びしたくなりました。しかし、出待ちちの方々も、みなさま面白い方々ですね。次回METに行く機会があったら、出待ちもしてみます。
返信する
大野さん (チャッピー)
2010-11-10 21:13:46
なんかのインタビューで「僕は挫折をしたことが無いように見えるらしい」と言ってました。今回のオランダ人は挫折感いっぱいでは?
ホットな出待ち連中しは嬉しそうに対応。普通に良い人でした。年末の新国立の出待ちも期待出来ます。

>中国人の男の子みたいに誰彼かまわずもらう
彼は来ないときは連続して来ない。私が5月に行った時は、一度も見かけませんでした。多分ニューヨーカーでは無いのでしょう。だから誰のサインでも必死に貰いに行く。
来シーズンもMETに呼ばれるか分かりませんし、そもそも生きてるかだって危ない。ここ1年ほどでサインを貰った歌手のうち、2人はあの世に召されましたからね。「今回もらえなかったら永遠に貰えない」と思って励むのが正しいビジター出待ちです。


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