まきた@VetEpi

酪農学園大学をベースに、発展途上国と日本の獣医疫学に取り組む獣医師のブログです。

夢が紡ぐもの

2006-11-20 08:15:53 | 学業
11月12日(日)。

先週は、濃い週だった。

息子の英語や小学校への進学のことで考えたということもあったが、それよりも、現在の自分を肯定出来るようなことが立て続きに起こった。

一つ目は、指導教官からメールで送られてきた資料。それは、国連食糧農業機関(FAO)の本で、発展途上国における、畜産と獣医学による貧困削減の障害になる諸要因と、取るべき政策をまとめたもの。PDFではなく、インターネット上で読んでいるので、ページ数は分からないが、膨大であることには変わらない。

他に急ぎの仕事が山ほどあるのに、何で今?と辟易したが、読み始めて納得した。自分の仕事が形を成してきていると思っていたが、なるほど小さくまとまり過ぎていたかも知れない。

その内容は、イギリスに来る前、日本で仕事をしながらも、一度しかない人生を、どういうことに捧げたいか、と一生懸命インターネットを読みかじっていた時に惹かれた内容そのものだった。

その本には、非常に様々な側面から書かれているが、中でも興味深かったものの一つが、文化人類学的な部分。ウガンダのカラモジャという地域の移動性放牧をする民族では、親から子に家督を譲る際に、特に雄の子牛一頭を特別な印として授ける。この牛は、皮製の首輪と鈴で他の牛とは区別でき、新しい主は、この雄牛を大切にし、宝であり、無二の友人であり、財産であり、自分の一番の誇りであると見なす。奇妙に思われるかも知れないが、この牛が盗賊に盗まれた場合、主は槍一本で命を懸けて奪回しようとし、この牛が死んでしまった場合は、後を追って自害することも多いという。
要は、その国の出身でない者が、例えば先進国のやり方で物事を進めようとしても上手く行かない。文化もよく知らねば、最上の対策は取れない、ということ。

僕がこの道にいる理由の一つに、こういったロマンというものがある。特に現地の人と言葉を交わし、例え数日でも共に仕事、生活し、お互い分かり合える瞬間は格別だ。実際現在も、何度もウガンダに滞在する機会を得ている。

確かに先のことは全く決まっていないし、危険で不安定だし、経済的にも困ってしまう。家族にも心配や、不自由な思いをさせる。何もいいことがないような気がすることも多いが、一つだけある。それは、やりたいと思ったことをやっているということ。今が、少年時代や青年期のほのかな夢をたどった延長線であるということだ。

二つ目は、そう考えていた矢先、学部の事務所の懐かしい方からメールが届いたことだった。その方には、僕が現在の大学に合格が決まった際、仕事を辞めるかどうかまだ悩んでいたので、その状況をメールで説明し、決断までもう少し猶予をくれ、とお願いしたことがある。その時彼女はポジティブなことを書いてくれ、説得してくれた。もちろん家族、友人、恩師などの後押しもあり、決断したのだが、彼女の言葉も追い風となった。返信に、研究を楽しんでる、と書くと、説得して良かった、と返ってきた。
まだまだ夢を見て、その後をたどって行かなくては、と思わせてくれる週だった。

息子の進学については、好きなことをして幸せに過ごせる幼稚園の時期を、あと一年でも長く味わせてあげよう、という方向に落ち着いて来ている。何もそんなに焦ることはない。

ただ、英語は当分、息子が分かるまで家での主な言語にしている。金曜日の昼近く、園の終了間際に、彼は、
"I'm go home!"
とにこやかに大声で言ったらしい。文法は間違っているが、とうとう堂々と英語でコミュニケーションを取り始めた、と先生がとても喜んでいたそうだ。

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5 コメント

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Unknown (まっちゅう)
2006-11-20 20:34:34
マッキーがエディンバラへ留学したと知った時は正直驚きました。
しかし、家庭を持ちながらもチャレンジしていこうとする姿勢はマッキーらしいなぁと思いました。
マッキーよ、遠く離れた日本より、愛のメッセージを捧げます。

頑張ってね~
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まっすぐどんと! (hawk)
2006-11-20 20:56:13
まっきーさんが 充実した人生を送っておられることは
明々白々な事実です
まっきーさんは ぼくらのように
力を卑怯にも分散することなんかしないで
ここというところに 真っ直ぐどんとぶつけておられます
ぼくもそうしたいのですが
そうできるはずですが
できません

ひとつのことに真っ直ぐぶつかって行くのは
言うは易くして行う難し です

こういう人生をおくれるまっきーさんを
ほんとに羨ましいと思います

これからも頑張ってください

家庭ではご子息のために 英語を話してください
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有難うございます。 (まっきー)
2006-11-21 00:19:07
まっちゅうさん、
一時期連絡が途絶えてしまったこともあったけど、まっちゅうさんとは、アホなことも含め、ともにとても濃い時間を送った仲です。そんな君からの言葉は、とても嬉しい。
親戚の皆様、まっちゅうさんは♂ですから。くれぐれも誤解しないでください。

hawkさん、
有難うございます。
hawkさんには、いつも心強い言葉を頂いております。
これからも頑張って行きます。
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おばちゃんは・・・ (おゆき)
2006-11-22 07:05:59
息子さんの ”I'm go home!"に涙してしまいました。

まっきーさん、家族のためにも
何事にも全力投球ですね!
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まだまだ (まっきー)
2006-11-22 07:24:16
おゆきさん、
一日一歩、三日で三歩、三歩歩いて二歩下がるー
という歌がありましたが、息子もやはり、なかなか一鳥二石には行きませんねー。ゆっくりやります。
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