情報科作業日誌

高等学校情報科での毎日の作業記録です

未履修問題

2006年10月30日 | 思うこと
ちまたでは未履修問題が吹き荒れていますが、本校に関しては全く問題がありません。

本校では、芸術選択と他の一部の科目を除いて、全教科を必履修します。いわゆる「伝統校」では、教養を深めるためにも必履修の科目を多くとっている伝統があると聞いており、かつての伝統校では、3年生全員に数学IIIを受けさせていたこともある、と聞いています。

それがなぜこんなになってしまったか、ということについて、少し考えてみました。あくまでも私見なので、その点をご理解いただければと思います。

1.いわゆる「名門校」では、昔はほぼ全ての科目を必履修にしていた。
2.学校5日制とゆとり教育が入ってきて、学校は「ゆとり教育」モードになったたが、生徒減の中、学校の存続が至上命題の私学では、保護者の一番の興味関心事である「受験」対策に力を入れ、土曜日に授業を行うなど、受験対策という点において、都立に決定的に差をつけることになった。
3.「訴訟」「説明責任」などという言葉のもと、トラブルを避けたい学校がだんだんと「サービス業化」してきてしまう。
4.そのような状況の中、「数値目標」「業績評価」その他で進学実績を上げることが絶対使命のようになってきてしまった。
5.その結果、あとから必修となった「情報」や「総合」は「じゃまもの扱い」され、「どこもまともにやってないならいいんじゃないの」と「読み替え」されてしまった。

これらの流れの中で、大きな問題が2つあるように私は感じています。

1つめは、「高等学校は予備校化するべきではない!!」ということです。
「受験に関係のある科目だけ」というのは「本末転倒」だと思います。たとえば、小学校の給食で、子供に人気のある食べ物があるからといって、そればかりを提供するでしょうか。
恐らく、栄養のバランスを考えて、野菜や魚も食べなさい、という指導をするでしょう。
勉強もそれと同じで、目先のことや生徒の要望ばかりを聞くのではなく、幅広い教科の学習の必要性を理解させていくのが教師の役割だと思います。
特に進学校は、進学校のプライドを持って、幅広く授業を行うべきだと思います。

2つめは、これをきっかけとした「ルールの変更」をしないようにして欲しい、ということです。実は、私はこれを一番危惧しています。
この問題の発端は、教育の「理想」と現場の実態があっていないことが大きな原因の1つではないか、と感じています。いろいろな教科を学習するべきだが、受験があるし、数値目標や進学実績を上げるためにもやっていることにしてしまえ、ということから、開き直って、「できないのは必履修が多いのが原因でしょ!? じゃ、必履修から外そうか」と、必履修自体のルールを曲げられてしまうのでは、という流れにならないか、ということがとても心配です。

幅広い教養や視野を得る上でも、ある程度の必履修は必要なのではないか、と私は思います。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。