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国内機関投資家、ギリシャ交渉を注視 円建て外債、来月期限

2015年06月25日 | 経済
国内機関投資家、ギリシャ交渉を注視
円建て外債、来月期限
2015/6/25 3:30 日経朝刊

 ギリシャへの金融支援交渉が大詰めを迎えるなかで、国内の機関投資家も行方を注視している。ギリシャ政府が抱える債務返済案件のうち、民間向けで最も早く期限を迎えるのが、7月14日の円建て債券(サムライ債)の償還だからだ。(国際2面参照)
 期限を迎えるのは、1995年に発行したギリシャの20年物国債。発行額200億円で、表面利率は年5.8%だった。当時は日本国債より高利回りのサムライ債の人気は高く、国内の投資家が積極的に購入した。
 発行額がそれほど多くないため、仮にこのサムライ債が債務不履行(デフォルト)になっても、世界の市場が大きく混乱する可能性は低い。ただ「株式市場などに心理的な悪影響が広がる可能性はある」(みずほ証券の香月康伸シニアプライマリーアナリスト)。
 ギリシャは96年1月と8月にも20年物国債のサムライ債を合計700億円発行している。今回の償還が順調でも、市場の懸念が今後蒸し返される可能性は消えない。「ギリシャ問題が混迷を深めれば、スペインやフランスといった重債務国への警戒感も再燃する」との指摘もあり、今後も国内の投資家には不安が残りそうだ。

中国、融資規制を緩和 預金残高の75%超、可能に

2015年06月25日 | 中国関連
中国、融資規制を緩和
預金残高の75%超、可能に
2015/6/25 3:30 日経朝刊

 【北京=山田周平】中国政府は24日、銀行の貸出残高が預金残高の75%を超えてはならないとする比率制限を撤廃する方針を決めた。融資に関する当局や銀行の裁量の余地を広げ、中小企業や農業に資金が回りやすくする。減速する景気を刺激するとともに、金融規制の緩和を求める米国の圧力をかわす狙いだ。(関連記事国際1面に)
 国務院(政府)が同日、李克強首相が主宰する常務会議を開き、比率制限を定めた商業銀行法の改正案を決めた。全国人民代表大会(全人代、国会に相当)常務委員会による可決を経て、施行に移す。時期は明らかにしていない。
 改正法の施行後は、金融当局が行政指導により基準を定めることになる。中国は銀行融資が大手国有企業など安全な借り手に集まる傾向が強い。基準を柔軟に運用し、銀行が自らの経営判断で中小・零細企業や農業に融資を回す環境を整える。
 中国は景気の減速が鮮明だが、習近平指導部は財政出動を伴う大型対策は生産能力の過剰など副作用を招くとして避けている。2014年秋以降は3度にわたる利下げなど、金融緩和で景気を下支えしてきた。
 常務会議では、保険会社が資金をインフラ建設事業で運用するための3000億元(約6兆円)の基金を設立することや、企業の社会保険負担を10月1日付で引き下げることも決めた。資金供給を促す小刻みな対策で景気を支える方針だ。
 中国と米国は23日から、2国間の懸案を閣僚級で話し合う戦略・経済対話を米ワシントンで開いている。

介護職員不足、25年度37.7万人 厚労省推計

2015年06月25日 | 介護
介護職員不足、25年度37.7万人 厚労省推計
2015/6/25 3:30 日経朝刊

 厚生労働省は24日、2025年度に全国の介護職員が37.7万人足りなくなるという推計(確報値)をまとめた。高齢化で介護サービスの利用者が増えて253万人の職員が必要になる一方、実際に働くのは215.2万人にとどまる。都道府県別にみると、宮城県や群馬県など地方での不足が目立っている。
 全国の市町村の計画に基づき、介護業務に就く職員の必要人数を推計した。現場で必要な人数に対して実際に何人が働いているかを示す充足率は全国ベースで17年度が94%、20年度が91.1%、25年度は85.1%と下がり続ける。介護サービスの需要が増える一方で、少子化で働き盛りの世代が減り、人材の供給が追いつかない状況だ。

ブタ体内でヒトのiPS臓器 東大教授、8月メド米で実験

2015年06月25日 | 再生医療
ブタ体内でヒトのiPS臓器
東大教授、8月メド米で実験
2015/6/25 3:30 日経朝刊

 米スタンフォード大学と東京大学を兼務する中内啓光教授は8月をメドに人間の臓器を持つブタを作る実験を米国で始める。人のiPS細胞をブタの体内で膵臓(すいぞう)や肝臓まで育てる計画で、病気を起こした臓器の働きを補う再生医療への応用をめざす。世界に先駆け5~10年内の実用化を目標にしている。



 東大医科学研究所でiPS細胞の応用に向けた研究を重ねてきたが、日本は人間の臓器をもつ動物の作製を禁じており米国に研究機会を求める。
 実験では、まず遺伝子操作で膵臓を持たなくしたブタの受精卵を作る。そのままでは膵臓のない子ブタができるが、途中で人のiPS細胞を入れ別のブタの子宮に戻す。子ブタの体内には人のiPS細胞から再生された膵臓ができると考えている。マウスの体内でラットの膵臓を作る実験などには成功している。
 臨床応用では膵臓全体ではなく、血糖値の調整に必要なインスリンを出す膵島のみの移植が現実的とみている。神経や血管があまり混ざっておらず、膵島移植は広く実施されているためだ。
 ただ治療に使える膵臓を作るにはiPS細胞の作製法の工夫なども必要で容易ではないという。臓器の作製実験を繰り返し最適な条件を探る。人の肝臓をブタの体内で作る計画もあり、肝臓がんの治療などに応用したい考えだ。作製した肝臓に病気を起こし、新薬の効き具合や安全性を調べるといった利用法もある。
 政府は再生医療を成長戦略の重点分野の一つにあげ、関連法を施行して実用に近い技術の医療応用を後押ししている。一方で生命倫理問題が絡む前例のない技術の応用には慎重だ。「ヒトに関するクローン技術等の規制に関する法律」に基づく指針の下、人間と動物の細胞を混ぜて子宮に戻す実験は禁じている。
 海外では米国やイスラエルで人のiPS細胞などをマウスの受精卵に入れ、マウスに妊娠させた研究の報告がある。文部科学省の審議会が規制緩和を検討中だが、中内教授は「待っていてもなかなか前進しない」として、2014年から研究の大部分をスタンフォード大の拠点に移している。

血液がんワクチン開発 大日本住友、17年にも最終臨床試験

2015年06月25日 | 医薬
血液がんワクチン開発
大日本住友、17年にも最終臨床試験
2015/6/25 3:30 日経朝刊

 大日本住友製薬は急性白血病を引き起こす難病の血液がん「骨髄異形成症候群」に対するがんワクチンを開発した。今後2年間で健常者やがん患者ら40人程度に投与し安全性や有効性を調べる。2017年にも最終的な臨床試験を始める。大日本住友は副作用の少ないがんワクチンの開発を急ぎ、早期に国内外で販売したい考えだ。
 がんワクチンは細胞に発生するたんぱく質の一種「ペプチド」を人工的に合成したもので、体内に打ち込み免疫細胞の働きを促す。大日本住友は治療が難しい血液がんのワクチンを世界で初めて実用化することを狙う。
 開発するワクチンは免疫性能を高めて、がんの増殖を抑える働きを持つ。根治にはつながらないが、副作用が少なく幅広い患者で長期間の延命効果を期待できる。
 骨髄異形成症候群は世界で30万人の患者がいるとされ、うち日本でも1万人程度を占める。治療には家族・親族らの骨髄を移植することが必要だが、免疫不全を引き起こすこともあり手術による治癒は簡単ではない。
 大日本住友は精神疾患領域の治療薬が主力製品だ。最近では創薬ベンチャーのヘリオスと組み、iPS細胞を使った目の難病の治療薬の開発を始めている。
 がんワクチンで年間500億円以上の売上高を目指す。
 世界の製薬業界ではがんの治療法としてワクチンなどの免疫療法が「第4の治療法」として注目を集めている。これまでは切除手術、放射線治療、抗がん剤投与の3つが中心だった。