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たんぽぽの精と洋館

2009-04-25 14:49:08 | Tokyo 闊歩・彷徨・建築探偵
花と花の間を彷徨する蜜蜂のような日々(ミツバチ、いまや希少ですが…)。
行く先々で出逢う花々は、へたに手入れされていないものほど、心奪われる。

道路工事現場の隙間に居たヒメジョオン。子どものころ、よく摘んだなあ。


火曜、取材申請の関係で行った目黒区役所側の垣根に生い茂っていた羽衣ジャスミン。
この濃密な香り、たまらない。まさに蜂のようにブーンと吸い寄せられてしまう。

いつかトスカーナで、壁面が羽衣ジャスミンに覆いつくされたワイナリーを取材したことがある。
あのとき試飲したワインの香りはもうあまり覚えていないけど
あの夥しい花弁という花弁から放たれていた蠱惑的な芳香は一生忘れない。


晴天に恵まれた木曜、方々に布団が干された家並みの一角にて
屋根や窓からぶわっっとふき出している羽衣ジャスミンを発見。
こういう弦植物のニッチな叛乱に遭遇すると、むしょうにわくわくしてしまう。



この日は朝から取材@旧岩崎邸庭園。
撮影は『東京建築物語』でも数々の洋館を撮りおろしている
↓キムナオさんなので、仕上がりが楽しみ!

取材の詳細は6/25発売予定の「ROSALBA vol.15」の洋館特集をご覧ください。
(ちなみに今発売中の同誌vol.14には1月に取材したオペラ歌手の幸田浩子さんや
ジャミンゼブのシモン君のインタビュー記事も掲載されているので、こちらもぜひ。
WEBでも一部読めます)

と、取材中、旧岩崎邸の広大な芝生を我が物でとっとこ横切る野良猫くんを発見。
最近は、陽気につられておもてを闊歩する猫たちにたびたび遭遇する。目に福です。


近所の幼稚園の子どもたちも庭園にお散歩にやってきた。
どの子も遊びたくてうずうずしている仔猫みたいな表情なのが可笑しい。


庭園に群生しているのは、西洋たんぽぽとは異なる日本在来種のたんぽぽなのだそう。
先生のGOでわーっと綿毛のように散らばる子どもたち。
どうみても、たんぽぽの精だ。


私が4年前に初めて旧岩崎邸を訪れた時は 緑やピンクの光線でライトアップされていた。
スタッフに伺ったら「あのライトアップはラブホテルみたいで悪趣味だと評判悪くて…」とのこと。
物陰から怪人二重面相がひらんと現れそうな江戸川乱歩風キッチュで、案外面白かったけどなあ。
(↓2005年12月に撮った期間限定ライトアップ中の旧岩崎邸)

ちなみに、邸が戦後GHQに接収されていた頃は、この地下で思想犯の拷問もあったのだとか。
豪奢な室内の壁もペンキで無残に塗り潰されていたらしいし、銃痕も残っているよう。
旧い建物の情趣というのは、よくも悪くもそうした年月の陰影によって醸し出されるものだが、
たんぽぽの庭園に響き渡る子どもたちの歓声と かつての銃声は、あまりにかけ離れたものに思えた。


翌金曜も洋館取材の一環で、朝一取材@東京都庭園美術館。個人的にも大好きなところだ。
詳しい学芸員の方に隅々まで案内していただくと、思わぬ発見があって非常に興味深かったし、
旧岩崎邸も庭園美術館も、スタッフの方々が館を心底愛しているのがしみじみ伝わってきた。


庭園にいたブロンズの豹は、来館者に撫で撫でされているらしく、全身つやぴかだった。
編集部のわたなべさんも猫好きなので、一緒に撫で撫で。




今週は取材の帰りにちょこちょこお散歩。
こちらは近所の神社でおなじみのクロちゃん。この日はコマイヌの足元でコマネコと化していた。


同じくお散歩コースの代々木公園にて。思わずここでお昼寝したくなる。


散歩帰りに連れて帰った、清浄な香りのハーブ。
「名前? それが忘れちゃったのよねえ…」とお花屋さん。どなたか判ります?


昨日は東京都美術館で25日から始まる「日本の美術館名品店」の内覧会を観てから
坂本龍一コンサートへ。魔力的なピアノがいまも耳に残響。この話は次回に。
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