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春トリップ2 直島編

2009-04-05 06:30:24 | Travel 国内外猫の目紀行
さて、前回に続いて「直島編」。この島のアイコンと化している草間彌生のカボチャは
ストラップとかペーパーウエイトになっていまや直島の定番お土産になっていた。
このヘタが台風で2度ほど沖へぷかぷか流されたという噂だけど、無事回収したらしい。

。。。と、直島に上陸する前に、瀬戸大橋を渡って香川にあるイサムノグチ庭園美術館に立ち寄った。
せっかく香川に来たのだから讃岐うどんを食べない手はないと、美術館の予約時刻直前に駆け込みで
つるっと朝うどん。絶妙なアルデンテ。はーちゃんいわく讃岐うどん文化はなかなか奥が深いよう。

イサムノグチ美術館は、晩年のイサムがNYと往き来しながらアトリエ兼住まいとして
愛した空間に 生前のまま作品が展示されており、夥しい彫刻群の影からひょっこりイサムが
現れても不思議じゃない雰囲気。(館内は撮影ご法度のため写真はなし。これはパンフより)

とくに、見立ての川や滝をしつらえ、借景を取り込んで大胆な起伏を持たせた作品は、
庭園そのものが巨大な彫刻になっていて、回遊しながらその宇宙感をまざまざと体感できた。

昨秋書いた「モダン・インテリア」のイサム ノグチ特集(↓)のときにお世話になった
館長の池田さんのご厚意で、イサム家(や)の中なども特別に見学させていただけてよかった。


美術館の外にあったイサムの遊具と無邪気に戯れる我々いいオトナたち(笑)


午後は高松港からフェリーで一路、直島へ。快適なデッキから
屋島など瀬戸内の島々を眺めていたら、あっという間に到着。


直島は地中美術館、ベネッセハウスミュージアム、屋外作品群、家プロジェクトと見所満載なので
島に1泊して、じっくり堪能。まずは地中美術館から――ここも外観から撮影禁止ゆえ、写真はない。
といっても文字通り、ほぼ地中に埋まっているので外観はとらえどころがないのだけど。

しかし中に入ると、蟻地獄に落ちた蟻のごとく、周到な安藤忠雄ワールドにずんずんはまっていく。
建築家の世界観の強さは、金沢21世紀美術館よりもさらにさらに濃密。モネ、タレル、デ・マリアの
3アーティスト&安藤と、パトロンのベネッセ福武總一郎の呆れるほど完璧なコラボレーション。

自然光を間接的に取り込み、70万個の白大理石が敷き詰められたモネの白い部屋も
光との対峙をテーマにしたタレルの部屋も、空間そのものと一体化した作品となっていた。

特に魅かれたのは↑ウォルター・デ・マリア「タイム/タイムレス/ノー・タイム」2004
どこか異星の王宮にある秘められた祭壇のような、ホーリーな空気感が妙に心地よくて。
けど、あの球体がごろんごろん階段を転がってくるところを つい妄想。。ちなみに、花崗岩の巨大な
球体をどうやって入れたのかとスタッフに訊ねたら、まず球を上から入れてから屋根を覆ったのだそう。

地中美術館の快適なカフェで一息つくと、今度は地図を片手に屋外作品鑑賞の散策に。
ニキ・ド・サンファール「猫」1991
ニキつながりもあって、ニキの奔放な色彩と造形世界は大好きなのだけど、
等身大の作品が多く、も少し大きな作品がでんとあってもよかったような気はした。

まあニキや草間彌生の作品は遠目にも一目瞭然なのだけど、こういうのを不意に発見すると驚く。
岸壁に海景の写真が飾られているという案配。「え、まさかあれ?」となる瞬間のわくわくと苦笑。
 杉本博司「タイム・エクスポーズド」1991

ジェニファー・バートレット「黄色と黒のボート」
これも作品。砂に埋まった船を海辺に置いた大竹伸朗の作品もあった。
こうなってくると、至近でも作品か否かの判断に悩む。 
ただのひび割れた石の塊も作品に見えてきたりして
だんだん、アートのオブセッションに憑かれた懐疑的な探偵みたいな気分に(笑)
まあ、台座に置かれた作品をありがたく拝むだけじゃない能動的なアート体験という意味で
実に愉快なのだけど。


これは直島屈指のパワースポットなるポイントに設置された作品。確かに気が澄んでいた。
ここを見下ろすように、ミモザが大満開だった。中央は漢方薬入りジャグジーとか。
あいにく蓋が閉まっていたが。配された中国の奇岩はどれも何か生きものの形に見えて仕方がない。
蔡國強「文化大混浴」1998

夕刻にはホテル一体型のベネッセハウスアートミュージアムへ。
ここも安藤建築と作品の対話(或いは闘い)の妙が見もの。セレクションも総花的な現代アートではなく、
かなり先鋭的に厳選されている。屋外作品などと連動した関連作もあり、なかなか深い。
ブルース・ナウマン「100回生きて死ね」
暗闇にネオンが点滅するこの作品を観て、ちょっと『気狂いピエロ』のオープニングを思い出した。

安藤建築にも雑草が生えちゃってるねー、湿っぽいのかなー?とか言っていたら、
これも作品だった(笑)。なんと木彫り。なんだか好きだな、これ。
須田悦弘「雑草」

アートミュージアムのテラスからちょうどサンセットが臨めた。
夜はベネッセハウスのレストランで仏料理。ボリューミーだったけど美味!
これにて直島1日目は無事終了。



翌朝は船で犬島へ渡って「犬島アートプロジェクト」に(これは次回「犬島編」にまとめて書きます)。
午後は再び直島に戻って、「家プロジェクト」巡り。家プロジェクトとは、300年以上前から続く
直島・本村地区の集落にある高齢・過疎化で増えた空き家を活用したアートの試み。
例えば、元歯科医院の家も大竹伸朗の手にかかるとこんなキッチュに。室内にはロードサイドの
ビデオ屋のサインだったという巨大な自由の女神像が2階までぶち抜きで居たりする。
大竹伸朗「はいしゃ」

島の氏神様でもある護王神社もアートの手に。ここから振り向くと、瀬戸内海の海景色が
目に飛び込んでくる。地下の石室から地上へは、氷みたいな硝子の階段が伸びており、
作者の意図や解釈はいろいろあるようだけど、神がかりなアンタッチャブル感がいとをかし。
家プロジェクトは係のボランティアスタッフに声をかけると資料にないネタも訊けたりして面白い。
杉本博司「アプロプリエイト・プロポーション」

夕刻近くになって、猫の姿がちらほら増えてきた。うれしい限り。
この辺に多い焼杉板を背景に、けもけもの黒猫が「にゃおう」と見送ってくれた。にゃおう。


帰り際、海辺を歩くりゅうちゃん&はーちゃん。いいコンビです。
見た目は大学の先生というより、むしろ学生に近いんだけど。


夜は直島から岡山に戻り、ふたりの御用達レストランで中華薬膳を賞味。謎めいた未体験食材が
満載の薬膳スープを食べたら身体が熱くなって疲れが一気に解消。なんて感動的な医食同源体験!
(次回は「犬島編」なり)
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