ミンミンゼミ、ニイニイゼミ、ヒグラシ、ツクツクボウシetc…。
ここ数日は音楽も聴かず、蝉たちのアブストラクトなアンサンブルにまみれた日々だった。
先日、↑このアブラゼミが私のワンピースに飛んできてひしとしがみついた。写真を撮ろうとしたら
ふらふらっと傍らの老木に。が、羽も破れており、鳴くことすらもはやできない様子。
猫なら「いいこ いいこ」と頭を撫でてあげたい気分だった。35℃の京都でのおはなし。
そう、17日から20日まで『和福美』の取材で京都へ。
キムリエさん&キムナオさん、カッシーと4人での珍道中は、仕事も含め実に愉しかった。
取材の合間には、みんなで気になるお店やギャラリーを散策。
こんな信じられないほど細い路地奥に、恐ろしく素敵なお店があったりするから京都はすごい。
漬物やお菓子などの小店が小路に延々ひしめく錦市場も試食しながら漫ろ歩いた。
九條葱や賀茂茄子など京野菜は方々で賞味したが、見た目もフォトジェニック。
「有次」で見つけた京料理に使う型抜きは どっしりと重い。
小さな書画道具やさんの古棚に並んでいた顔料。
京都ならではの老舗お茶やさんやレトロ喫茶店もみんなでなにげにチェック。
初日は「一歩堂」の本店へ。取材の合間に芳醇かつクリーミーな抹茶で一息。
二日目は朝から「イノダコーヒー」本店へ。外観は渋い町家づくり。
オリジナルブレンド“アラビアの真珠”とレモンパイをいただいた。いずれも美味。
三日目は、やはり戦前からある「スマート珈琲」へ。そのネーミングも ゆるい佇まいも、ツボ。
珈琲の香り高さはもちろん、フレンチトーストも懐かしさ漂うやさしい風味。
京都は喫茶店同様、雰囲気のある古書店も多い。これは寺町通りの一角。
同じ通りに「黒猫堂」というマニアックな古書店があるとカッシーに教えてもらったので探したら
「黒猫のご主人、今年の春ごろ急に亡くならはってなぁ…」と別の古書店主。黒猫に合掌。。
これは古書店の倉庫 ではなく、ハイアット・リージェンシー京都の地下にある
Touzan Barの一角。背景は実際の古書古書古書。。。
ハイアットのロビーも、町家の格子戸や障子越しに ぽっと灯ったあかりのような風情で心地よい。
デザインは杉本貴司氏。さすがお上手。いろんなハイアットを見たけど、このロビーは好み。
ハイアットの側には京都国立博物館が。三十三間堂も至近なのに、ぱっと見「ここはフランス?」
よく見ると、結構寄せ集め的な意匠がキッチュながら、片山東熊作品ならではの風格。
京都市役所もレトロだし、京都は寺社以外にも街中に建築探偵垂涎の物件が多い。
これは最終日に偶然見つけたのだけど、1928年竣工の旧 毎日新聞社京都支局。
いまはアートコンプレックス1928というギャラリーやカフェ、イベントスペースの入った空間に。
何やらビル正面がギャグ漫画のキャラみたいにも見えるけど★は毎日新聞の社章だそう。
☆☆☆
私の担当分の取材が終わった後も1日延泊し、みんなとお別れして単独で京都散策。
旅の詳細ルートをがっつり決めてしまうと、興味のおもむくまま寄り道できないので、
今まで訪れたことのない嵐山方面にでもぶらっと行こう ぐらいしか考えていなかった。が、
ランチ中に突然「そうだ、東福寺へ行こう♪」と思いつき、三条から地下鉄でさくっと東福寺に。
どーんと潔い東福寺の通天橋。
紅葉の季節には数珠つなぎの行列になるらしいけど、夏は人も閑散。緑のもみじもいいのにね。
そしてこちらがお目当ての「八相の庭」。昭和のアバンギャルドな作庭家 重森三玲の代表作。
有名な枯山水の南庭。
一番見たかった北庭。
生チョコトリュフと抹茶トリュフではなく(笑) ウズマキゴケが日照りで枯れ、
日陰と日向でこんな2トーン市松模様に。まあこれも いとをかし。
井田市松の西庭。
四角い刈り込みはサツキ。満開となる春にはまったく別の表情になるのだろう。
本堂の天井には堂本印象の豪快な蒼龍図。
小さな覗き窓から斜めに撮っているので、迫力ある龍が圧縮されてちょいオモシロ顔に。
ここには猫のいる涅槃図もあるはずなのだけど、普段は非公開なので観られず残念。
東福寺の一角に咲いていた大きな白い蓮。蓮に遇うと一瞬、時が止まるような気が。
東福寺から四条大宮に出て、嵐電で一路 嵐山へ。世界遺産の天龍寺に行くと、入口に累々たる蓮池。
えっとこれは、民宿の大部屋で掃除機をかけるおばちゃんの図、ではなく。。
天龍寺のメインホールである大方丈。世界遺産もなんのその、普通にガシガシかけていらしたので
嵐山を借景にした漕源池庭園を睥睨する重文級の龍の画に 掃除機がぶつからないか どきどき。。
天龍寺の流麗な回遊式庭園を堪能した後は、北門からそのまま嵯峨竹林へ。
さらさらさら・・・風にそよぐ涼やかな笹音と竹林を縫う清浄な空気がなんとも快く。
清々しい小径の先に、風流な門が。ふらりと入ってみると、この方のお宅でした。
日活映画『丹下左善』でも有名な 昭和のキネマスター大河内傳次郎が
昭和初期から30年にわたりこつこつと創り上げてきた「大河内山荘」。
迷路のような借景回遊式庭園の高台にあった月香亭辺りから京都市内を一望。
世界遺産もいいけど、一個人の趣味に走った小宇宙もいとをかし。といってもなかなか広く
起伏に富んでおり、華やかな銀幕の世界と陰陽をなすような安らぎと静けさに満ちていた。
山荘の庵で美味しい最中と冷たい抹茶をいただき、亀山公園を下って桂川へ。
川に架かった渡月橋の下にシラサギ(?)発見。その瞬間、急にぱらぱらっと大粒の雨が。
桂川にざんざん降り注ぐ夕立をぽーっと眺めながら、茶屋でしばし夕涼み。
雨上がりの嵐山駅で電車を待つ間、ホームにある名物足湯で一服。旅疲れがすーっと引いていく。
そうこうするうちに、この時季限定の“嵐電 妖怪電車”が到着し、どっと どよめくお子さまたち。
なかにいらしたのはこの方。青坊主さん。(お隣の車輌はナマハゲだった)
ぬう
青坊主は江戸中期に活躍した鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に登場する妖怪なり。
お子さまたちに握手や撮影をせがまれると愛想よく応じてくれたりして、案外いいやつだったけど
約1名だけ本気絶叫&大号泣していた男の子が。青坊主の中身は駅員さんなのに(たぶん 笑)
☆☆
去る京の薄暮に灯る蝋燭塔。悪名高きタワーにもいっぷくの風情かな。
久々の京都は、とっても愉しかった。また遊びにいきたいな(って仕事で行った筈じゃ。。)
ここ数日は音楽も聴かず、蝉たちのアブストラクトなアンサンブルにまみれた日々だった。
先日、↑このアブラゼミが私のワンピースに飛んできてひしとしがみついた。写真を撮ろうとしたら
ふらふらっと傍らの老木に。が、羽も破れており、鳴くことすらもはやできない様子。
猫なら「いいこ いいこ」と頭を撫でてあげたい気分だった。35℃の京都でのおはなし。
そう、17日から20日まで『和福美』の取材で京都へ。
キムリエさん&キムナオさん、カッシーと4人での珍道中は、仕事も含め実に愉しかった。
取材の合間には、みんなで気になるお店やギャラリーを散策。
こんな信じられないほど細い路地奥に、恐ろしく素敵なお店があったりするから京都はすごい。
漬物やお菓子などの小店が小路に延々ひしめく錦市場も試食しながら漫ろ歩いた。
九條葱や賀茂茄子など京野菜は方々で賞味したが、見た目もフォトジェニック。
「有次」で見つけた京料理に使う型抜きは どっしりと重い。
小さな書画道具やさんの古棚に並んでいた顔料。
京都ならではの老舗お茶やさんやレトロ喫茶店もみんなでなにげにチェック。
初日は「一歩堂」の本店へ。取材の合間に芳醇かつクリーミーな抹茶で一息。
二日目は朝から「イノダコーヒー」本店へ。外観は渋い町家づくり。
オリジナルブレンド“アラビアの真珠”とレモンパイをいただいた。いずれも美味。
三日目は、やはり戦前からある「スマート珈琲」へ。そのネーミングも ゆるい佇まいも、ツボ。
珈琲の香り高さはもちろん、フレンチトーストも懐かしさ漂うやさしい風味。
京都は喫茶店同様、雰囲気のある古書店も多い。これは寺町通りの一角。
同じ通りに「黒猫堂」というマニアックな古書店があるとカッシーに教えてもらったので探したら
「黒猫のご主人、今年の春ごろ急に亡くならはってなぁ…」と別の古書店主。黒猫に合掌。。
これは古書店の倉庫 ではなく、ハイアット・リージェンシー京都の地下にある
Touzan Barの一角。背景は実際の古書古書古書。。。
ハイアットのロビーも、町家の格子戸や障子越しに ぽっと灯ったあかりのような風情で心地よい。
デザインは杉本貴司氏。さすがお上手。いろんなハイアットを見たけど、このロビーは好み。
ハイアットの側には京都国立博物館が。三十三間堂も至近なのに、ぱっと見「ここはフランス?」
よく見ると、結構寄せ集め的な意匠がキッチュながら、片山東熊作品ならではの風格。
京都市役所もレトロだし、京都は寺社以外にも街中に建築探偵垂涎の物件が多い。
これは最終日に偶然見つけたのだけど、1928年竣工の旧 毎日新聞社京都支局。
いまはアートコンプレックス1928というギャラリーやカフェ、イベントスペースの入った空間に。
何やらビル正面がギャグ漫画のキャラみたいにも見えるけど★は毎日新聞の社章だそう。
☆☆☆
私の担当分の取材が終わった後も1日延泊し、みんなとお別れして単独で京都散策。
旅の詳細ルートをがっつり決めてしまうと、興味のおもむくまま寄り道できないので、
今まで訪れたことのない嵐山方面にでもぶらっと行こう ぐらいしか考えていなかった。が、
ランチ中に突然「そうだ、東福寺へ行こう♪」と思いつき、三条から地下鉄でさくっと東福寺に。
どーんと潔い東福寺の通天橋。
紅葉の季節には数珠つなぎの行列になるらしいけど、夏は人も閑散。緑のもみじもいいのにね。
そしてこちらがお目当ての「八相の庭」。昭和のアバンギャルドな作庭家 重森三玲の代表作。
有名な枯山水の南庭。
一番見たかった北庭。
生チョコトリュフと抹茶トリュフではなく(笑) ウズマキゴケが日照りで枯れ、
日陰と日向でこんな2トーン市松模様に。まあこれも いとをかし。
井田市松の西庭。
四角い刈り込みはサツキ。満開となる春にはまったく別の表情になるのだろう。
本堂の天井には堂本印象の豪快な蒼龍図。
小さな覗き窓から斜めに撮っているので、迫力ある龍が圧縮されてちょいオモシロ顔に。
ここには猫のいる涅槃図もあるはずなのだけど、普段は非公開なので観られず残念。
東福寺の一角に咲いていた大きな白い蓮。蓮に遇うと一瞬、時が止まるような気が。
東福寺から四条大宮に出て、嵐電で一路 嵐山へ。世界遺産の天龍寺に行くと、入口に累々たる蓮池。
えっとこれは、民宿の大部屋で掃除機をかけるおばちゃんの図、ではなく。。
天龍寺のメインホールである大方丈。世界遺産もなんのその、普通にガシガシかけていらしたので
嵐山を借景にした漕源池庭園を睥睨する重文級の龍の画に 掃除機がぶつからないか どきどき。。
天龍寺の流麗な回遊式庭園を堪能した後は、北門からそのまま嵯峨竹林へ。
さらさらさら・・・風にそよぐ涼やかな笹音と竹林を縫う清浄な空気がなんとも快く。
清々しい小径の先に、風流な門が。ふらりと入ってみると、この方のお宅でした。
日活映画『丹下左善』でも有名な 昭和のキネマスター大河内傳次郎が
昭和初期から30年にわたりこつこつと創り上げてきた「大河内山荘」。
迷路のような借景回遊式庭園の高台にあった月香亭辺りから京都市内を一望。
世界遺産もいいけど、一個人の趣味に走った小宇宙もいとをかし。といってもなかなか広く
起伏に富んでおり、華やかな銀幕の世界と陰陽をなすような安らぎと静けさに満ちていた。
山荘の庵で美味しい最中と冷たい抹茶をいただき、亀山公園を下って桂川へ。
川に架かった渡月橋の下にシラサギ(?)発見。その瞬間、急にぱらぱらっと大粒の雨が。
桂川にざんざん降り注ぐ夕立をぽーっと眺めながら、茶屋でしばし夕涼み。
雨上がりの嵐山駅で電車を待つ間、ホームにある名物足湯で一服。旅疲れがすーっと引いていく。
そうこうするうちに、この時季限定の“嵐電 妖怪電車”が到着し、どっと どよめくお子さまたち。
なかにいらしたのはこの方。青坊主さん。(お隣の車輌はナマハゲだった)
ぬう
青坊主は江戸中期に活躍した鳥山石燕の『画図百鬼夜行』に登場する妖怪なり。
お子さまたちに握手や撮影をせがまれると愛想よく応じてくれたりして、案外いいやつだったけど
約1名だけ本気絶叫&大号泣していた男の子が。青坊主の中身は駅員さんなのに(たぶん 笑)
☆☆
去る京の薄暮に灯る蝋燭塔。悪名高きタワーにもいっぷくの風情かな。
久々の京都は、とっても愉しかった。また遊びにいきたいな(って仕事で行った筈じゃ。。)