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月と太陽と夜ジャズ

2008-08-06 02:25:34 | Music
そう、8月1日のブログで書き忘れたんだけど、日蝕だったのよね。どうりでわくわくしたわけだ。
これはうちのベッドルームにいる月と太陽の仮面。その昔、ヴェネツィアで衝動買いしたもの。
今回の日蝕では、太陽―月―地球が一列に並んだのだとか。

ランボーとヴェルレーヌの愛憎を描いたディ・カプリオ主演映画『太陽と月に背いて』とか、
澁澤がルードヴィヒⅡ世について書いた『太陽王と月の王』とか、ぼーっと思い出してみたり。

昨日8月5日。中野へ取材に向かう途上、凄い雷鳴と土砂降りに見舞われ、電車も遅れた。
しかし、暑い暑い夏の日の こんな激しい夕立、実は案外嫌いじゃない。

バリのリッツ・カールトンで、フィジーのシャングリラで、ベトナムのマジェスティック・ホテルで、
かつてとんでもないスコールに見舞われ、不意に取材を中断せざるをえなかった時、
私は「困りましたねぇ…」と呟きつつ、実はそのハプニングを心中すっかり愉しんでいた。
熱帯特有の猛烈な驟雨の間、なすすべなくやり過ごす空白のときが、密かに大好きだった。

中野から帰宅し、キウイを食べながら、リチャード・ブローティガンが1976年日本滞在中に
したためた詩集『東京日記』をつらつら読む。
(バッチャン焼きの器は、その昔 スコールに見舞われたベトナムのバッチャン取材中に入手)

「東京の夜明けの中を タクシーがぼくを連れて帰る ぼくは夜じゅう起きていた
太陽がのぼるまえにぼくは眠っているだろう ぼくは昼じゅう眠る タクシーが枕で 街路が毛布
夜明けがぼくのベッドなんだ タクシーはぼくの頭を休ませる ぼくは夢にむかう途中だ」
――1976年6月1日@東京。リチャード・ブローティガン『Day for Night』より。

☆☆
日曜は、夜ジャズ@クラブ イクスピアリ。舞浜ディズニーもビールも、ひっさびさ。

「夜ジャズ」とは、リスペクトする須永辰緒氏によるクラブジャズの名コンピシリーズ。
個人的にはユセフ・ラティーフの「スパルタカス」でせつなく締めているvol.3が好み。
須永辰緒の夜ジャズ-Jazz Allnighers-No.3
プリンス・ラシャ・クインテット,エヴァンス・ブラッドショウ,エリック・クロス,BIG HORNS BEE,ユセフ・ラティーフ,ベント・アクセン,ジョニー・ハモンド・スミス,ボビー・ティモンズ,ザ・ジャズ・ファイヴ,ビル・エヴァンス
ビクターエンタテインメント

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ミラーボールの下で踊るセクスィー美女は、ディズニー仕込みのラテンダンサーにあらず。

ラテンジャズDJに酔う、レイちゃんなり。決してIBIZAのクラブぢゃありません(笑)

面白かったのはクラブジャズの先駆、沖野修也氏(左)と須永辰緒氏(右)のレコードコンサート。
どちらも今回のイベントに誘ってくれたハカセのお友達。

モヒカンが伸びて横わけにしているという沖野さんが「これ、ヅラじゃないですからね」と自ら口火(笑)
浴衣に中折れ帽が粋な須永さんと、京都訛りもいい感じの沖野さんのオタクなジャズトーク、最高!

トークの後は、バルコニーでShima&Shikou Duoのライブ。
金星が瞬く夜空を眺めつつ、しっぽりおとなの時間(花火を見そびれて残念!)


☆☆
明けて月曜、ネットでオーダーしたオーガニックのシチリア産ブラッドオレンジジュースが届く。
まさに血の色を湛えた真紅の果汁は、太陽の蜜を凝集した濃厚な味。
貧血気味な徹夜原稿明けに、“血”をじゅっとチャージ。

五臓六腑に染み渡る 意識を超えた美味しさ。

☆☆
火曜、例によって変な時間に仮眠。
夢うつつの雷鳴の彼方に、ふと遠い夏の日のニキを思い出す。
彼女の横顔が、私はとても好きだった。
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