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空飛ぶ自由人・2

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映画『金子差入店』

2025年06月09日 23時00分00秒 | 映画関係

[映画紹介]

「差入店」とは、拘置所や刑務所の収容者に対する
差入を代行する業者。
ひも状のものは駄目、金属は駄目等、
差入にはいろいろ制限があるが、
それを熟知した店員が受け付けるので、
店にある商品(衣類や食料)ならば
必ず通過するという利点がある。

金子真司は刑務所や拘置所の近所で
「差入屋」を一家で営んでいる。

カッとしやすい性格で以前暴力事件を起こし、
服役した経験がある。
出所後、伯父が経営している差入屋を引き継いだ。
その日常の中、
近所の人の職業偏見
息子の学校でのいじめにも描く。
母親は男狂いで、真司のいない時を狙って来訪し、
妻から金をせしめる欠陥母親だ。

ある日、息子の幼なじみの女の子が誘拐され、
殺害されるという事件が発生する。
犯人の異常者はじきに逮捕されたが、
その母親が「差し入れをしたい」と店を訪れる。
差入だけでなく、面会代行もしているので、
その犯人と面会し、母親の手紙を代読する中、
金子は疑問と怒りが日に日に募っていく。

一方、金子は一人の女子高生と出会う。
彼女は毎日のように拘置所を訪れ、
自分の母親を殺した男との面会を求め、
拒絶されていた。

本映画はこの2つの話を軸に展開する。

差入屋という特殊な職業を扱った映画への関心で観たが、
依頼者とどう対応し、差入品を受け付け、
どんな風に仕分けして拘置所に持ち込み、
受理されるか、という
一連の流れが全く描かれていない。
なぜだろう。
差入屋からしか差し入れできない制度だというが、
どのように認可されているのか。
面会代行だの手紙の朗読など、本当にあるのだろうか。
(脚本段階で調べているだろうから、事実なのだろうが)

「差入店」などと看板を出しての店構えなど、
本当にあるのか、と思ったら
↓のとおり、

東京拘置所近くに実在する店舗の写真があるから、
事実なのだろう。
映画の店の所在地が住宅街にあるのも妙だと思ったが、
これも事実ベースか。
独占店舗だからかなり繁盛すると思うが、
異常者犯人の母親以外一人も客がいないというのは、
何だか不自然だ。

ドラマを織りなす二つの事件で、
近所の女の子を殺した犯人と
対面する苦衷はよく描かれているが、
もう一つの高校生の事件の方は
話が作り過ぎで真実味に欠ける。
もう少し実際に密着した
リアリティのある設定は出来なかったのだろうか。

金子を演ずる丸山隆平は8年ぶりの映画主演。
こういう役は、
あまり露出の多くない俳優がやった方がいいが、
その点で、合格。
脇を真木よう子寺尾聰根岸季衣(としえ)、岸谷五朗らが固める。

異常犯人役の北村匠海の演技は
今までにない演じ方で驚かされた。

本作が長編初監督作となる古川豪
自らのオリジナル脚本でメガホンをとった。

 

犯罪者と接触する人間の苦悩という点で関心があったが、
半分満たされ、半分空振りだった。
ただ、特殊な職業を描くという着眼点は評価できる。
それだけに、実態の描写が少ないことは残念だ。

5段階評価の「3.5」

TOHOシネマズ他で上映中。



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