[旧作を観る]
ちょっと驚くような実話の話。
ベティと兄のケニーは絆の強い兄妹だった。
1983年、ケニーに殺人の容疑がかかった。
普段から素行が悪かったため、
警察から目を付けられ、
犯人に仕立てられたのだ。
不利な証言もあり、
有能な弁護士を雇う金もなく、
有罪判決を受け、
終身刑で刑務所に収監されたケニーを
救おうと奔走するベティ。
しかし、高額な弁護士費用が払えない。
そこで、ベティは一大決心をする。
自分が弁護士になって兄を弁護するというのだ。
ベティは高校も出ていないので、
高校卒業資格を得て、学士号を取り、
弁護士の資格を取得しなければならない。
学校に行き始めたため、
家庭は崩壊し、
子供たちは夫のところに住み、
たまにしか会うことが出来なくなってしまった。
事件から16年かけてベティは司法試験に合格した。
弁護士資格があれば、
証拠の再検査が申請できる。
その頃には、
DNA鑑定の技術が向上して、
「イノセンス・プロジェクト」(冤罪を晴らす活動)が
沢山の冤罪を解決していた。
証拠品の中には、
犯人の血液があり、
その血液型がケニーと同じだったから、
ケニーは有罪とされたのだ。
しかし、証拠品は10年で破棄されるルールだという。
ベティは必死に頼み込み、
ついに、保管されていた証拠品を見つけ、
DNA鑑定の結果、
犯人の血液はケニーのDNAと一致しなかった。
しかし、共犯の疑いがあるとして、
無罪の判決は出ない。
そこで、当時ケニーに不利な証言をした証人を訪ね・・・
結局、ケニーの無罪は
18年かけて証明された。
マサチュセツ州には死刑制度がないため、
終身刑だったが、
死刑制度のある州なら、
とうに処刑されていた。
日本と同じ冤罪事件の
袴田事件で弟の無実を信じて
闘った姉の話を彷彿させる。
8年後の2009年、
ベティは、警察や逮捕した元警官から
巨額の賠償金を勝ち取った
しかし、ケリーは出所から半年後、
交通事故で死亡。
皮肉な結果だ。
1989年以降、DNA鑑定で無罪を勝ち取った案件は
254件あるという。
多すぎないか。
それにしても、
血液型の一致と
2つの証言だけで
有罪とする陪審員制度はどんなものか。
ケニーを殺人犯と決めつけ、
不正までして逮捕した
女警官は時効で罪を逃れたという。
原題のConvictionは、「信念」の意。
ベティ役はヒラリー・スワンク、
こういう役をやらすとヒラリー・スワンクは本領を発揮する。
ケリー役はサム・ロックウェル、
親友の学友役にミニー・ドライバー。
監督はトニー・ゴールドウィン
脚本はパメラ・グレイ。
2010年製作の映画。
日本では劇場未公開。
ビデオのみ発売。
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