Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

『天下壮士マドンナ』(DVD)

2007-04-10 23:40:27 | K-Movie Notes

(Image source: nkino)
韓国版DVDを見るときは、かなり気合がいる。理解できないながらもハングルを聞き、映像を見つつ、字数制限がないと思われる英語字幕を目で追うという、重労働を強いられる。おそらく頭の中の脳はフル回転しているに違いない(笑)

さて、昨年韓国映画界で話題をさらった『天下壮士マドンナ(천하장사 마돈나)』(2006年 監督:イ・ヘヨン&イ・ヘジュン)をようやく見た。

日本でよく知られている韓流スターは誰ひとり出ていないが、日本人なら誰でも知っている某SMAPメンバー(って、韓国といえば・・・すぐわかるあの人)が出ているという、大変キチョーな?作品。日本での配給が決まっているのだから、とっとと上映してほしい。

主演のリュ・ドクファン君。『トンマッコルへようこそ』のソ・テッキ役が記憶に新しいが、この作品では、ジェヨンのマンテクもびっくりな+27 kg でチャンレジした作品。

ドクファン君演じるドングは、性同一性障害を抱え(トランスジェンダー)、マドンナみたいな女の子になりたいおデブな高校生の男の子。日本語の先生(チョナン・カン)に恋心を抱いている。ただ、家庭環境は悲惨。飲んだくれて仕事もクビになってしまうダメな父親(キム・ユンソク)と弟との3人暮らし。母親(イ・サンア)は家を飛び出したまま。

ドングは、女の子になりたくて、手術を受けることを夢見ているが資金が足りない。ある日、シルム(韓国式相撲)のトーナメントで優勝すれば、優勝賞金を手にすることができると知り、シルム部に入部。

男くさいシルム部でも、乙女心を忘れないドングのしぐさが、ドクファン君だからかわいく思えるのか・・・Tシャツを脱ぐときの「女の子脱ぎ」がかわいかった。

シルムより何よりもびっくりしたのは、あのキレのよいマドンナのダンス・・・ドクファン君ったら、踊りもできるのね。

いくらドクファン君がかわいくても、突然愛を告白されたら、チョナン・カンみたいにドン引きな反応が普通だろう。ドングの心を傷つけ、見ていて忍びないのだけど。あまりに理解不能なシチュエーションだったせいか、チョナン・カン、ハングルより日本語のイントネーションがヘンだったよ・・・あれは演技?(笑)

しかし、シルム部のコーチ(ペク・ユンシク)は、コーチのくせに一度も土俵際でドングを指南していた様子がなかったような。トイレにこもらなきゃ指示がだせないのか(笑)。この方のどこか奇妙な行動は見覚えがあると、ずーっと考えながら見ていて、ようやくエイリアン(『地球を守れ!』)であることを思い出した。

個人的な印象では、韓国社会はおそらく日本以上に、男は男らしく、女は女らしく生きることが、人間のまっとうな生き方と考えられているように思え、そんな中で、このテーマはある意味タブーの部類に入るのではないかと思う。タブーだからこそ、かえってリアリティ感があるような気がする。

ただ、映画館の中ではドングを応援し温かく見守ってあげたくなっても、映画館の外に出ればドングは冷遇されるような気がしてならない。

悩めるドングに対する父親の反応と母親の反応がまた対称的。「望みどおりに生きてみなさい」とドングの背中を押す母親と、まったく理解しようとしない父親。こういう時、異性の母親の方が強くて、同性の父親の方が拳で説得させようとしながらも内心オロオロで、リアリティ感がある。
私的にはこの父さんは Myタイプ。リアリティ感はキム・ユンソクの演技論に通じるものがあったようで、偶然下記の記事を見つけて、ちょっと嬉しくなった。そして、この父さんも変わっていくものね・・・

父さん役のキム・ユンソクのインタビュー記事(cine21 No.581)より。
「私が演じたい人物は、自分と近い人物だ。 30代後半で40代初めの韓国男性の日常を描いてみたい。どうにか人生(生活)のバランスを保とうとする人物を描きたい。」 他の俳優は‘強い’役を演じたがるが、なぜ平凡な人物を描きたいのか。「自分と近い人物を描くことで、演技と演技でないものが分かるようになる。人生(生活)の小さな波風であっても、そうしたものにさらされることにより、人間はいかようにも変貌する。・・・生半可な気持ちで人になんらかの烙印を押すことは嫌いだ」

ドクファン君のお父様はすでに他界されているそうで、「父親と対峙する息子」を映画の中で再現しているように見えたりすると、少し切ない気もする。

この作品、最初の部分は映像の背景も含めてやけに暗くて、本当にコメディ?なのかと思ったけれど、だんだんと笑いが増えて、最後には晴れ晴れした気分になる。これってドングの重たかった心が、どんどん軽くなっていくのと同じ心情風景の過程を辿るようだ。

さてさて、これでようやく心おきなくドクファン君次回作の『息子』にシフトできる・・・



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2 コメント

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日本語が変・・・ (まりお)
2007-04-11 23:34:47
ご覧になりましたね^^どうです、なかなか良かったんじゃないですか?個人的にはペク・ユンシクは「ケンカの技術」も似たような役柄だったので、ちょっと満腹な感じもしたのですが、ああいう役どころはさすが上手いなと思いました。

>チョナン・カン、ハングルより日本語のイントネーションがヘンだったよ
それは私も感じたのですが、やっぱりそうですよね(笑)それに意地悪を言うところだけ日本語にしたのも意図的なんでしょうか。ま、いいんですけどね^^

キム・ユンソクの記事ありがとうございます。「美しき野獣」では主演2人があんまりだったのですが、その分ソン・ビョンホとキム・ユンソクに満足させてもらって以来、「復活」「マドンナ」とハズレがないのでお気に入り度急上昇中です。彼の飄々とした魅力に対して説得力のある記事でした。
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マシッタ (lotusruby)
2007-04-12 23:25:17
Marioさん、ようやくクリアしました(笑)
ユンシク&ユンソクがステキというお話をうかがっていたので、ちゃんとチェックできました。ありがとうございました。

ペク・ユンシクはやっぱりエイリアンのイメージが強烈です。『地球を守れ!』は1度しか見てないのですけれど、作品全体が衝撃的(?)だったこともあり、とても鮮明に覚えています。

この作品は、ドクファン君も良かったけれど、ドクファン君を取り巻く人々がみんな何気に個性がキラキラしていて面白かったです。ストーリー構成もきっちりまとまっているし、個人的にはやっぱり好きな作品ですね。

チョナン・カンの日本語は、イジワルな部分になるほどオカシイ…でもあれは演技ということで丸くおさめておきましょう^^; なにしろチョナンの動員力でぜひとも劇場で見たいですものね。

>「美しき野獣」
この作品って、一体なんだったのでしょうかね。私はユ・ジテには甘いのですが、それでも作品の意図がよく分からなかったです。ソン・ビョンホは憶えていますが、キム・ユンソクは記憶にないです(いやーん、涙)。「復活」はこれまで3度ほど見ようと試みたのですが、録画が続かず断念していました。ここにきて、俄然見てみようという気になってきました。いつも美味しい情報ありがとうございます
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