Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

『映画館の恋』

2007-04-08 22:24:08 | K-Movie Notes


(Image source: nkino)

韓国アートフィルム・ショーケース第4弾は、『映画館の恋(原題:劇場前)』(2005年 監督:ホン・サンス)。

どうも日本で上映される韓国映画は、決まってタイトルが原題より甘くなる。この作品のタイトルもまたしかり・・・ 邦題に迷わされてはならない典型。

見終わって、ホン・サンス監督にやられた、と思った。韓国アートフィルム・ショーケースのラインナップでは、一番期待していたのに、最も期待を裏切られた作品。期待すると肩すかしを食らい、期待していないとボーナスが降って湧いてきたり・・・。もちろん、いつもいつもそういうわけではないけれど、映画なんてそんなものだったな、ということを思い起こさせてくれた。昨年TIFFの『浜辺の女』上映時に、流暢な英語でティーチインをするインテリなホン・サンス監督に、ちょっと惑わされた?(笑)

ホン・サンス作品は、カンヌ常連ではあるけれど、この作品も2005年カンヌ映画祭コンペティション部門に出品された。でも、「カンヌの冠は疑ってかかれ」ということもちょっと学んだかも

『気まぐれな唇』、『女は男の未来だ』、『浜辺の女』・・・この路線で見てはいけない作品だったようで、ホン・サンス監督の初期作品は未見なのだけれど、もしかすると、そちらに近い方の作品なのかもしれない。

劇中劇の手法が取られており、
劇中劇の中にさらに劇が組み込まれている。劇場の中と外、スクリーンの中と外の世界が対比して描かれている。この作品内で描かれる映画(イ・ギウ&オム・ジウォン)と観客(キム・サンギョン&オム・ジウォン)の存在があって、そして、この作品とそれを見る自分自身(観客)の存在があって。何層にも重ねられた「存在」の存在が妙にややこしく、お菓子でいうとミルフィーユみたいな・・・でも無味なミルフィーユで・・・

オム・ジウォンが、劇中劇の映画の中でイ・ギウの恋人役、現実の世界でキム・サンギョンがちょっかいを出す女優役の2役を演じるものだから、さらに込み入っている。

作品では、映画の世界と映画館の外の世界が鏡のように映し出される。鏡のように進行するとわかった途端、睡魔が襲った・・・でもコクリとしたのは(たぶん)5分ぐらいだったと思うけれど、やっぱりストーリーは鏡のように進行していて、理解に何の支障もなかった。この倦怠感は一体何だろうか?と、寝てしまった自分を言い訳しつつ・・・

でも、もちろん現実は映画の鏡じゃないはずだし、どこで切り返してくるのかと、今か今かと待っていたけれど・・・
病院から出てきたキム・サンギョンの深刻な顔つきを見て、まさか、ここで終わらないでしょうねーと思った途端、エンドロールが流れ出し・・・
ええーっ。やられた・・・




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2 コメント

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掘ってみました(笑) (mimira)
2007-04-09 09:32:55
おはです,lotusrubyさん

ワタシもこちら見ました~
でね、帰ってから予告みたの。。びっくり。
たしかにあれからこの本編の暗さを想像できない。
木琴音がライトな感じかもし出し、ほのぼの系な匂いを大いに感じさせておりました。。。
すごい裏切りよう~ここにアッパレです(笑)
でね、劇中の男は自殺願望ありだけど最後は結局生きてるじゃない、でこの映画を作った監督は危篤状況の中生きたくて仕方がない、でもきっと死ぬような気がする。。
一夜明けたとき
すべては映画のようにいかないということをおっしゃりたかったのかなあとわざわざ掘ってみつけてみました
とにかくあの主人公がキモくて
いくら酔っ払っているとはいえあの女優さんよく寝たな~と変なところで感心していたワタシです

>↓ペンギンで驚くharuさんへ
生で『コレ見たの~っホリディより見たかったの』と聞かされた時のワタシの衝撃、わかるでしょ~ギャップに苦しむ姿を(笑)

←ほら、JJYだって「アイタタタタ~」って頭抱えてるし(笑)
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黒と白 (lotusruby)
2007-04-09 22:52:53
mimiraさん、ひと晩、咀嚼したのね(キリンかっ…笑)

>すごい裏切りよう~
でしょ。あのポップなノリノリは何だったの?
「陰」を呼んだのは、やはりmimiraさんだったようで(笑)。
初めの方で、イ・ギウが「死にたい、死にたい」とわめいていた時になーんかイヤな予感したのですけどね。的中しました。

>いくら酔っ払っているとはいえ
すみません。ちょうど、この前後からだったもので…でも問題なかったです。

よくよく咀嚼すると、そんなに裏切られたわけではないかもしれないのですが、意外性のなさというか、返り討ちに遭いたかったのにスルーされて、ちょっと寂しさに似た気分でした。
血も涙も拳も笑いもない韓国映画は難しいです。 

>ワタシの衝撃
「ハッピーフィート」の話をした時に、mimiraさんの表情がひきつっていたのを見逃しませんでしたよ(爆)。
でもね、フレンチノワールなんか見ちゃって、片足が暗黒の世界に残っていらしたようなので、真っ白な南極の大地に誘ってあげたかっただけだったのに…(笑)
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