
(Image source: cine21)
チャン・ジン監督が、監督デビュー作品『あきれた男たち』の前に、脚本と俳優で参加している作品『灼熱の屋上<原題:개같은 날의 오후(犬のような日の午後)>』(1995年 監督:イ・ミニョン)をようやく鑑賞。明日公開となる『息子』鑑賞前に、チェックしておかなくちゃと思って・・・
英題が『A Hot Roof』と聞くと、なんとなくテネシー・ウィリアムズの戯曲「熱いトタン屋根の上の猫(Cat on a Hot Tin Roof)」を思い出したりして、こちらは犬だけどあちらは猫っていうところも、もちろん互いの内容は全然違うけれど、洒落だったり?と、つい深読みしていまう。
「犬のような」とは「最悪の」という意味。「犬」って韓国語では良い意味に使われないのね。ポスターはなんだかとっても可愛いワンコの大行進なんだけれど・・・
40度を越す記録的な猛暑のある日、人々のイライラも頂点に達する時、夫ソング(イ・ジェラク)から虐待を受けていたジョンヒ(ハ・ユミ)を目撃したアパートの女達は、彼女を助けようと夫ソングをコテンパンにやっつけてしまう。救急車で移送中にソングが死んでしまい、殺人事件として、女達を捕まえようと警官隊がアパートに到着する。女達は団地の屋上に立てこもる。事件を聞きつけたテレビ局のホン記者(ムン・スジン)が事件を報道すると、女性を中心とした市民から支持を得て、女性vs男性の戦いに発展していく。
屋上に立てこもる女達にはそれぞれ男性に虐げられた過去を持ち、男性上位主義の韓国社会のアイロニーでもあり、DVの問題、フェミニズムの尊重、伝統的な儒教観念の打破・・・のようなものがちりばめられている。チャン・ジン(のちの監督)が演じるカメラ小僧が憧れるユミは、実はゲイだったりする設定も、ジェンダーフリー的なテーマだったりする。
ちょっと社会派路線?と思えなくもないが、作風はいたってコメディ

バラバラな存在だった女たちは、屋上に立てこもることによって、まるでバラバラのパズルがひとつの絵を生み出すように、ストーリーが組み立てられていくところが面白い。
この作品は不思議なことにスター不在。でも、どこかで見た顔があちこちに・・・。事件のドサクサに紛れて留守宅に忍び込む泥棒にキム・ミンジョン、機動隊長はチョン・ボソク(『誰にでも秘密がある』の次女の教授)、特殊部隊長はキム・スンウ、屋上に立てこもる女たちでは、ソン・オクスク(「冬ソナ」の4様のオモニ)やチョン・ソンギョン(『彼らだけの世界』のビョンホンの相手役)、記者のムン・スジン(ドラマ「明日は愛」のチェラン)。イ・ボムスも出ているらしいが、分からなかった・・・

ホント、見ながらパズルで遊んでいるような楽しさがあって、そして最後にはきっちりパズルが仕上がる満足感も味わえる作品で、個人的にはかなり好きな作品

>スター不在
私にとっては、チャン・ジンとアン・ソクファンが出ているだけで夢のようです(笑)
>投降シーンは感動で涙
同感です。あそこはウルっときました
>耳を澄ませて
修行が足りないもので
それにしても、あんなに「カメラ小僧」という名に相応しい人もいないほどの演技者ぶりで、ユミの顔をアンジーの顔とダブらせると、なんだか可笑しくてひとりでウケてました。
ジンさまは、この脚本参加者5人のうちの1人ということですが、後のチャン・ジン作品を考えると、この脚本、かなりジンさま色濃いように思えたのですが・・・贔屓目または気のせいでしょうか