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ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

鵺の鳴く夜は恐ろしい

2007-11-14 09:46:59 | 日記

“白くても黒くても鳥は鳥。上辺だけの、色の違いに惑わされるのが悪いのさ”

HIPHOPのリズムに乗って駆け抜けて行ったあの鳥に妄想が広がりまくり。
王子を惑わす悪魔の化身か、
白鳥を装って王子を騙した黒鳥か、
或は、悪ふざけが過ぎて鴉に姿を変えられたやんちゃな白鳥の王子なのか
…最後の方全然「白鳥の湖」じゃないし。

HIPHOPは反体制の文化なのだそうでございます。
ていうか、ジャズでもロックでも、新しいものが生まれて来る時は大抵、権威や権力とは反対の方向から生まれて来るもんなんでしょうね。HIPHOPは歴史が浅い分、毒気も強く残っているのかも。

大ちゃんの「白鳥の湖」は、発想としては邪道なんだろうなあと思うのです。
本来、表現するべき音楽があって、その手段としての表現方法がある(はず)。
でもこのプログラムは意図的に本末転倒させてる感じで、まずHIPHOPという表現ありきで、次にその表現のための音楽として「白鳥の湖」を選んでるみたいですね。
フィギュアの世界では馴染みが薄いHIPHOPを使うに当たって、保険をかける意味でも曲自体はとっつきやすい曲、誰もが知っている曲を持って来た、という感じで。

…で、結果的に、HIPHOPの持つ毒っ気が、黒鳥or悪魔、とにかくダークサイドなキャラクターの邪悪さを上手い具合に表現してるような気がします。かっこいいなあブラックスワン。

***

写真は、スケートアメリカでHIPHOP白鳥の衣装を見て、衝動的に作ってしまった髪飾り。作ってみたら派手過ぎて、どこにもつけて行けなくなりました。

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このプログラムのために、モロゾフさんが大ちゃんの一緒にダンス教室に通ったという記事を読んで、この人の野心というか向上心みたいなものを感じました。
貫禄あるからたまに忘れるけど、私より若いんですよね。三十路に突入したばっかりくらいで。まだまだ、彼自身表現者として成長して行きたいし引き出しも増やしたいし、勉強して視野を広げたいと思ってるんだろうなあと。
勿論、いくら斬新なプログラムを作っても滑ってくれる人がいなければ意味がない訳で、大ちゃんあってのあのプログラムであることは疑ってませんが。
なので多分、大ちゃんだけでなくモロゾフさんの方も成長している過程だと思うので、そういう意味でも、大ちゃんのこれからのプログラムの変化は楽しみだと思いました。

で、その大ちゃんの方なんですが。
「本当は嫌だった。プロのダンサーたちに『なんちゃって』だと思われたくなかった」
…彼らしい台詞ですね。あと、スケートの世界の外側からの視線を意識した発言ですねこれ。
多分彼が、スケートの世界の中での評価だけでなく、専門的なジャンルを超えた普遍的な「かっこ良さ」を追求する人だからこそ、フィギュアスケート自体には興味がなかった私みたいなのがひっかかったんだろうなとふと思いました。

「スケートの世界でどう評価されるのか?」ということだけではなくて、スケートを知らない、HIPHOPに親しんでる人たちに「COOL!」と言われるようなダンスを、スケート靴はいて踊れるか?という、2重の意味でのチャレンジだったんでしょうね、多分。
とんがってるなあ。かっこいい。

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ちょっと「白鳥の湖」のストーリーについても興味持って調べたら色々面白かったんですが、大ちゃんの演技とはほとんど関係ない話になるのでまた別の機会にやります。

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拍手コメントへの返信

11月8日
原作のイメージからすると間違ってない、寧ろ正しいロミオ像なんですが、なんだか新鮮ですよね。

11月11日
そう、ロマンティックな場面のイメージが強かったんですが、ストーリーを通してみると結構ケンカっ早いんですねロミオって。

…なんか、大ちゃんのロミオに対しては、「あ、そういえばロミオってこういうヤツだった」みたいな反応が多くて面白いです。

「メメント」~記憶の迷宮~

2007-11-12 17:13:24 | 映画感想
2001年のアメリカ映画。
タイトルから分かるように、テーマは「記憶」

「記憶とは、脆くもあれば強くもあるもの。時に残酷で、時に優しい」(「仮面ライダー電王」デンライナーのオーナーの台詞より)

「タイムレンジャー(TR)」と「電王」って、一見どっちも同じ「時間」がテーマだけど、実はTRが「未来(「未来戦隊」っていうくらいだし)、電王が「過去」の話なんだなということに今更ながら気が付きました。
我々三次元の存在である人間は、「現在」以外の時間を直接認識することはできない。
我々の認識する「過去」は過去そのものではなく、記憶と記録を元に再現された複製品に過ぎない。
手がかりである記憶と記録が正確でなければ、正しく複製することもできない。
過去、確かに存在していたものも、記憶や記録が残っていなければ、それは存在していなかったのと同じになってしまう。
(「電王」において。敵=イマジンによって破壊された過去は、イマジンが倒されると人々の記憶を元に修復される。そのため、他人との交わりを絶ち、誰の記憶にも残っていなかった孤独なピアノマンは、時間からこぼれ落ちてしまった)

***

「メメント」の主人公・レナードは、頭部の怪我が原因で記憶障害の状態にある。
一般的に記憶喪失というと、ある時点から過去の記憶を忘れる(それ以降のことは覚えている)状態を思い出しますが、レナードはその逆。怪我をする以前の過去のことは覚えているが、それ以降の新しい出来事を記憶しておくことができない。
(脳にある海馬という器官が、数分くらいの記憶を一時的にプールして於いてから大脳辺縁系に記憶させるという役割を持っているらしいです。レナードはこの海馬に損傷を受けたため、海馬が覚えている範囲=数分間で記憶が飛んでしまうのだと思われます)
そのため彼は、大量のメモを残す。文字だけではなくポラロイド写真を駆使して記録を残し、大事なことは刺青として身体に記録する。彼は言う。
「記憶は曖昧で頼りにならない。だが、記録は正確なはずだ」
かくて、記憶を持てない男は、記録を頼りに探し始める。自分の頭に傷を負わせ、妻を殺した男の行方を…。

この話、公開当時に見れなくて、何故か小説版だけ読んだんですよね。原作本じゃなくて映画のノベライズ版なのですが、話の構成が全く違う。
いや、ストーリー自体は実はほぼ同じものなんですが。
小説版が、基本時系列順に主人公の行動を追っているのに対して、映画はいきなり(小説版における)ラストシーンから始まり、徐々に時間を遡って行くような構成になっています。
そのため、映画の方がより一層、ミスリードさせられる感覚が強いかも。
そう、ミスリードを誘う映画なんですよこれは。
最初は「こうなんだ」と思っていたものが、見て行く内に段々と「あれ、何か違う…?」と思うようになり、最後に真相が明らかになる。
そうやって一度オチを知った上でもう一度見ると、今度はもっとクリアに、「実際には何が起きたのか?」を理解できるかも。
(「ファイト・クラブ」もこういう技法を使ってる感じはしますね。後、私は見てないけど「シックス・センス」もそんな感じのような気が)

そういう訳で、ここではオチは書きません。
これは初見はネタバレなしで、白紙の状態で観て貰った方が面白いと思うので。

***

結論から言うと、「記憶も記録もアテにはできない」。
我々が、「過去は確かにこうだった」と思っているもの、それが本当に現実に起きた出来事だったのかどうか、本当の意味で確かめる術はないのです。
ただ、不確かな記録と記憶を元に彷徨うだけ…。



だったら怖いなあという話。

その後の風小次

2007-11-08 00:51:41 | 特撮
キューティーハニーは、F1ブラジルGPと時間が重なった時に脱落してそれっきりです。
そういう訳で、この秋のドラマで唯一チェックしているのが「風魔の小次郎」という事態になりました。
よく調べたらこれ、超星神シリーズのスタッフが関わってるんですね。
道理で、トンデモ設定ながらプロット段階できちんと話を詰めていることを感じさせる、なにげに完成度の高い脚本&やたらと本気度の高い、ハッタリの聞いた派手なアクションシーンだと思いました。
(そんでやけに「ご飯」に拘ると思ったら…)
あの約3年間のノウハウの蓄積は無駄ではなかったのね(涙)。
放送局が少ない&時間帯が深夜という割には評判も良いようだし、コレはなかなかに見る価値有りですよ、と言っておきます。

ちなみに、イーグルセイザー竜魔とボウケンブラック白虎の他にも特撮出身者はいたみたいです。
ていうか、壬生の人がGAROの零だというのに気付かなかったのが自分でショックです。零好きだったのに。髪型であんなに印象変わるなんて。あと、飛鳥武蔵の人もウルトラに出てたみたいですが、円谷系は守備範囲の外なので分かりませんでした。
一番驚いたのが劉鵬ですね。ライオン丸Gのホストクラブのオーナーって随分大人に見えたのに、こんなに若い人だったとは。
その他、テニプリのミュージカルの人なんかもいる模様。
ていうか、テニプリとかブリーチとか、あの手のオタク少女向けジャンプミュージカルのキャストって、結構特撮出身者と重なってるみたいですね。やってることが似てるからなんだろうか。

項羽と小竜の双子を、本当の双子の兄弟がやっているのも面白いです。小竜対白虎の所で、双子の歌うEDテーマが流れたのがかなり胸に迫る演出でした。そうかあの歌はそういう意味だったのか…。
ていうか、この惜しげもなく登場人物を殺して行く展開は正に山田風太郎テイスト。
(これが聖闘士星矢になると、死んだはずのキャラが平気で生き返って来るようになります)
出て来たばっかりの林彪がその回のうちに退場したのは流石にびっくりしました。
でも、戦闘シーンかっこ良かったですけどね。相手の剣(木刀だけど)による攻撃を、蹴りで防ぐのがかっこよかった…。

***

日本のSF系アクション映画に失敗が多いのって、戦隊や超星神みたいな子供向け特撮のスタッフを蔑ろにするのも原因の一つだと思うの、私だけでしょうか。
あの手の映画って、多少ストーリーがしょーもなくとも、アクションシーンがかっこ良ければそれなりに見れるもんなんですけどね。
ハリウッドみたいにお金や技術をつぎ込める訳でもないのに、低予算&短い時間で可能な限り迫力のあるアクションシーンを演出するノウハウを持った人たちが現存してるのにそういう人たちを小バカにして、何故か大作になるほど普段小じゃれたラブコメみたいなのしか撮ってないような人たちが作るから、アクションシーンが子供番組以下になるんだと思うんですが。
これって素人考えですか?

***

話が逸れました。
そういう訳で、風魔の小次郎は面白いです。
ジャスティライザー思い出すなあ…姫子と蘭子の関係が、澪さん麗華さんの関係に似てるんですよね。あと、夜叉姫が色っぽいですね。表情やなんかがそこはかとなく妖しくて良いです。

ロミオって実は

2007-11-06 21:24:54 | ノンジャンル
ええと、大ちゃんの「ロミオとジュリエット」に関する与太話です。
去年のオペラ座もそうでしたが、こういう物語性のあるプログラムって解釈するのが面白い。
あくまで競技用のプログラムなので、「如何に点を取るか」がまず第一に考えられているのだとは思いますが、そこは私は専門外なのでおいといて(笑)。
こういうのって、その振付師が(そしてスケーターが)、物語をどういう風に解釈したのかが伺われるような気がして、そこが自分的に楽しかったりします。
特に大ちゃんは、「一つの作品として見て欲しい」という発言からも伺えるように、物語としての見せ方にも拘るタイプなんでしょうね。だから余計に面白い。
例によって、単なる駄話なのであんまり本気にしないで読んで下さい。

***

という訳で「ロミオとジュリエット」なんですが、実はまだ原作読んでません。
なので今回はちょっと反則して、あんちょこ本を使おうと思います。
私の長年の愛読書でもあるこれ↓
誰も書かなかった眠り姫の罠―32編の物語の知られざる真相…
古い本なんで、アマゾンには新品がない…。
おとぎ話や古典の名作などおなじみの物語を、心理学的な切り口で解説した一冊。従来のイメージを覆すような解釈も多く、視野が広がって面白いです。
以下、この本の「ロミオとジュリエット」のページより。斜体は引用文。()内は私の追記。

***

私も原作は読んでないのですが、「ロミオをジュリエット」と言えば一番に思い浮かぶのはあのバルコニーのシーンですよね。
そのせいか、ロミオには何となく、ロマンチックで優しい王子様的な男性のイメージがありました。
が。実際のロミオの行動はこんな感じらしい。
“そもそもことの原因は、このマキューシオ(ロミオの親友)が、ジュリエットの従兄弟と喧嘩して殺されてしまったこと。親友を殺されたロミオはかっとなって、この従兄弟を殺してしまったのが今度の、両家の争いの発端なのです。”
“おまけにロミオはパリス(ジュリエットの婚約者)まで殺してしまったくらいです。”
ここまでで既に死者3名。実は結構血なまぐさい話だったんですね。
という訳でロミオは、
“腕っぷしの強い、猪突猛進といったタイプの人物のようで、とかく想像されている純情な優男というイメージからは、ほど遠いのです。”

そんなロミオがジュリエットと恋に落ち、悲劇的な結末を迎えるまでの5日間のドタバタを描いたのがこの物語なんですが。
“若きシェイクスピアが、これに独創的な味付けをしていたことは、見落とされがちです。(中略)全体に亘り〈星の運命〉という一筋が貫かれているのです。”
ジュリエットの従兄弟を殺してしまった時のロミオの台詞が
“「ああ、俺も運命のフール(道化)になってしまった」です。”
しかし実際にはロミオは、ここで初めて運命の道化となったのではない。考え無しに突っ走る彼自身の性格がかかる事態を招いた訳で、彼はもともと星の運命のフールだった。シェイクスピアはこれを書いた頃から、性格と運命を結びつけていた(後のシェイクスピア作品では、より明確に「運命とは性格である」ことが打ち出されている)。…というのがこの本における「ロミオとジュリエット」の解説です。

***

これを読んだ後で大ちゃんのFSを見ると面白い。
まず冒頭。「オペラ座の怪人」では、過去を回想するオルゴールの音を効果的に使い、壮大な物語の幕開けを表現していました。
一方、「ロミオとジュリエット」では、まるで彼らの未来に横たわる暗い運命を暗示するような、最初の出足からして重苦しい音楽。初めから星の運命に捕われていたロミオ。そうとも知らずジュリエットと出会い、甘い時間を過ごしたのも束の間。感情のままに振り回す刃が、やがて彼自身を追い詰めて行く。運命に追い立てられるように破滅へと向かい、そして…。

何気にモロゾフさんのこのプログラムは、ロミオの本質をよく掴んでるなあ…と思うのは私のヒイキ目なんでしょうか。
でも正直、「ロミオとジュリエット」をやると聞いた時には、従来の「純情な優男」のロミオ像になるのかなあと思って、それはちょっと嫌かもと思っていたのでなにげに嬉しかったんですよね。
「シャキーン!」という効果音(?)と共に剣を抜き放ち、斬り合いに突入するサーキュラーステップはかなりお気に入りです。血の気多いぞロミオ。

***

大ちゃんの演技に私が惹かれる理由のひとつが、これを見て改めて分かったような気がします。
リアルなんですよね、感情が。
彼の演じるロミオは、夢の中の王子様ではなく、現実にいるそこら辺の、考えの足りない16歳の男の子に見える。
♪やばい恋 青い恋 もう後戻りはできない …という渡辺美里の歌の一節が似合うような、未熟で不器用な恋をする少年。
彼がもっと大人であれば、恋も加減やブレーキを覚えて、もっと上手く乗り切ることもできたろう。だけど立ち止まることも知らず、アクセル全開で駆け抜けて行くような恋は、大人になってしまうとできない訳で、大人はそこに一抹の寂しさを覚える、かも知れない。
愚かにも全開で恋して死んでしまったロミオとジュリエット、考えようによっては幸せなのかも…などと思ってみたり。いや、悲劇は悲劇に違いないんだけど、もうそういう恋ができない大人たちからみれば、ちょっとだけ羨ましい存在だったりして。
…なんてことを考えてしまいました。



付記。
上記のあんちょこ本は、これ↓の続編です。
誰も書かなかった白雪姫の復讐―34編の物語の意外な真相…
文庫も出てるみたいですが、やっぱり新品の在庫はないみたいです…。
誰も書かなかった白雪姫の復讐
文庫版の表紙が怖い。ハードカバーの方は、田口智子さんの美麗なイラストがステキなんですが。

ストーブリーグは盛り上がってますが

2007-11-05 00:25:54 | F1
【11月6日追記】
かねてから噂されていた通り、アロンソはマクラーレンを離れることで決まりのようです。
ここから一気に来年のシートが流動的になりましたね。
アロンソはどこへ行くのか、空いたマクラーレンのシートに誰が座るのか。

***

そんな中、こんなニュースが出て参りました。

ハッキネンがレースから引退=元F1世界王者

…ミカの名前をヤフーのトップで見るとは思わなかった。
レースの世界に復帰して3年、DTMからも去ってしまうのですね。
メルセデスとの関係は続いているようなので、今後も何らかの形でモータースポーツには関わって行くのだと思いますが、ひとまずはお疲れ様でした。
あなたのあの、一旦ハマると手が付けられなくなるかっとんだ速さが好きでした。
鈴鹿の第一コーナーへ先頭切って飛び込んで行くあなたを生で見られたことは、私の一生の想い出です。

***

ちなみにひっそりとこんなニュースも出てました。
Honda、2007年グリーン・アワードでグランプリ受賞

レースの結果自体は残念な結果に終わった2007年ですが、アースカーの試みは一定の評価を受けたみたいです。こういうホンダの良いニュースは握りつぶされる可能性が高いので、ここでこっそりと宣伝しておきます。
あのアースカーのデザインがかっこいいかどうかはともかくとして(ていうか、レーシングスーツ=チームカラーと車のデザインが違うと見てて紛らわしいんですが)、発想としては新しいし面白い切り口だと思います。
でも来年はレースの方で結果を出せるように頑張って下さい。マジで。