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ウロコのつぶやき

昭和生まれの深海魚が海の底からお送りします。

キングメーカーへの道

2007-03-01 22:40:49 | 日記
今週の「すぽるとオンアイス」にて、久々に大ちゃんの近況が見れました。
お元気そうでなによりです。荒川さんのお言葉によれば、調整も順調そうでございます。何より表情が良いですね。充実しているのが伝わって来る。
余談ですが、彼がインタヴューでアップになると、あのデカくて切れ長の目にどうしても目が行きます。倉敷トークショーでインタビュアーのお姉さんが「大きな目に吸い込まれそうなんですけど」って言ってたのも、あながちお世辞ではないのかも知れません。

それはともかく。
すぽるとでは世界選手権へ向けて「安藤選手&高橋選手の最新情報をお届けします!」というタテマエのモロゾフ特集でした。
二人の共通の振付師でもあるし、振付けだけじゃなく練習も見てるし、ここ最近立て続けに出てる関連本等でも注目されてますし、決して意外ではないですけどね。
という訳で以下、私が勝手に思う「ニコライ・モロゾフの3つのひみつ」(スーパーヒーローひみつじてんとかそういうノリで)でございます。

(1)パッケージという思想
私はスポーツはモータースポーツしか分からないのですが、レースの世界ではよく「パッケージ」というものの言い方をします。ドライバーだけでもダメ、車だけでもダメ。マシン(車体+エンジン+タイヤ)とドライバーをパッケージして、その総合的な戦闘力が最終的な結果に出る。
なので、スケートを見てても同じようなものの見方をしてしまいます。
スケーターの能力はもちろん大切ですが、最終的に点になるのは曲や振付、衣装まで含めたトータルのパッケージでの戦闘力かなと。それにコーチや練習環境やなんかも重要な要素ですしね。
すぽるとでは、モロゾフさんは「振付師というよりプロデューサー」と言われてましたが、私的にこの人には「パッケージ」っていう考えに近いものがあるのかなと思うんですが、どうでしょう。
職人的に「良い振付さえしていれば認めて貰える」ではなくて、「自分の力を認めて貰うには、自分が振付けた選手に勝って貰わなきゃならない。その為には振付だけでなく、強力な『勝てる』パッケージをトータルで作り上げなければならない」という考え方。選手にしても、それが試合での結果に繋がるんだからウィン‐ウィンってことでしょう。

(2)完成品は必要ない
最近、私が思うのは、本当に名作と言われるプログラムは、振付師の人が100%仕上げてしまうところからは多分生まれないんじゃないのかなーと言うことです。スケーターの表現が加わって初めて完成する。そのためには、スケーターの表現が入り込む余地をあらかじめ空けておくことも必要かなと思います。
クリエイターと呼ばれる人たちの中には、自分の作品の中に他人の表現を受け入れられないタイプの人もいますけど、私としては自分一人で考えるよりも、他の人のアイデアや表現を取り入れた方が絶対良いものができると思ってます。自分では思いつかないことを、他人が考えてくれたりするので。
それには当然、スケーター自身が自分の表現を持っていることも必要ですが。
「選手の良さを引き出す」とか「選手の個性に合わせる」とか言いますが、もう一歩進んで選手との共同作業で完成させるっていうのがひとつの理想かと思います。
「フィギュアスケートDays」のインタビューでは、「大輔が演じることで『オペラ座の怪人』は最高傑作になった」って言ってましたね。素人ながら私も、あの表現は大ちゃんでなければ成立しなかったと思います。技術的にも、表現的にも。それにファントムなら技術だけでなく「ダークヒーローの資質」も欲しいところ。大ちゃんはその点も合格です。

(3)ベタであることを恐れるな
私が思うモロゾフさんの一番の強みはズバリ「ベタを恐れないこと」なんですが、どうでしょう。
「ベタを恐れるな」とは私自身が師匠に言われたことです。皆、人とは違ったことをやってみたくなるんですよね。そっちの方が高尚に見えるし。でも、斬新な表現ってそれだけ馴染みが薄い。表現とは伝えること、即ち情報の伝達なので、共有する情報が少なければそれだけ表現は困難になります。結果、結構な確率で人を置いてけぼりにします。単に「人と違うことをしてみたかった」だけなら確実に失敗する。
その点ベタは強いです。共有する情報量も多いし、それになによりベタがベタとなるのは、それが多くの人に受け入れられてきたからなので。ベタになってる=確実にウケるってこと。
(それ故マンネリ化しやすいですが、それに対する対策はあります。表現の核の部分に、自分の一番言いたいメッセージを据えるだけ。マンネリだろうが何だろうが、自分の想いはオンリーワン。だから、スケーター自身の借物ではない「自分の」表現が必要だと思う訳です)

***

何だか書いてる内にわけがわからなくなって来ましたが。
要約すると、モロゾフさんは芸術家としてのプライドみたいなのにあんまりこだわらずに、いい意味で割り切ってるのが強みかなーと思いました。ということです。

あと、前に書いたスケート本のメモ。こっそり修正&追記してます。

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5 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (M.N.)
2007-03-02 02:36:30
虹川さん、はじめまして。
コメントははじめてですが、いつもたのしみに、読ませていただいています。今回の記事は、以前から考えていたことと、あまりにそっくりだったので、つい、反応してしまいました。
モロゾフさんの強みって、ほんとにおっしゃるとおりだとおもいます。
つねに、勝たせるための研究に余念のない、腕の良い職人。ワンパターンといわれようが意に介さず、チャンピオンメーカーの道をゆくタイプなのかなと、おもっています。
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Unknown (かる)
2007-03-02 19:14:53
虹川さん お久しぶりです♪
「キングメーカーへの道」大変興味深く読ませていただきました。というのも、私は大輔君の大ファンですが、ニコライの大ファンでもあるからです。 このTEAM DAISUKE(パッケージですか)の中心を担う二人は、まさにアーティストとプロデューサーで、彼らの能力が相乗効果を生み、見事な世界を作り出していますよね~。
また今回、「完成品は必要ない」という視点にも、大きく頷きました。(生意気ですけど)
ニコライはまず曲を作り(構成し?)、それを聴きながらその場で振り付けをしていき、スケーターとコミュニケーションをとって完成するそうですね。← この過程、是非ドキュメンタリーで見たいくらいですよ。 
そもそも、個々のスケーターの個性を大事にするコリオグラファーで、それが人気の要因のひとつでもあるようですが、それってすなわち、自分のコリオを押し付けないということかなと。 どの辺りまで妥協し、あるいは尊重しているのかはわかりませんけど。
想像すればするだけ、いえ、想像しかできないので、本当に見てみたいですよ。
そんな彼に、「彼こそが氷上のアーティスト」だと言わしめた大輔君は、私達ファンの誇りです。
東京ワールドからバンクーバーへ、このパッケージがどんな世界を生み出していくのか、想像するとわくわくします。 
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Unknown (虹川 章)
2007-03-03 01:17:15
>M.N.さん
こんばんは、初めまして。こんな海底ブログをいつもありがとうございます。
私も割と素人考えで考えて書いているので、「同じ考えです」と仰って頂けると心強いです(汗)。
モロゾフさんはかなり野心的で、戦略的な考えで行動してますよね。フィーリングで行動する感覚派の大ちゃんにとっては、それが良いサポートになってるのかなと思います。

>かるさん
こんばんは、お久しぶりです。
モロゾフさんのファンなんですか? 確かに彼の手腕や発想は見てて面白いですね。
>生意気ですけど。
いや、私もただの素人なんで気にしないで下さい。同意して頂けると安心します。
自分の表現を押し付けないということに関しては、私も同じように思います。最後はスケーター自身の表現に任せることで、活きた表現になるということなのかも知れません。
>彼こそが氷上のアーティスト
私も大ちゃんを見た時「あ、この人本物の芸術家だ」と感じたので、モロゾフさんも同じように感じてくれている……んだったら嬉しいなーと思います。
モロゾフさんなら、バンクーバーまで長期の戦略をもう既に練っているかも知れませんね。それは決して平坦な道ではないと思いますが、楽しみに見守って行きたいですね。
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Unknown (ぷかどんどん)
2007-03-03 16:57:04
こんにちは。確かにあれは、モロゾフ特集でしたね。ベタをおそれるなって、納得です。たぶん私のようなニワカ者は、あんまり高尚なことをされてもついていけないでしょうなぁと思うわけです。
モロゾフさんは身のこなしがとてもかっこいいですね。モロゾフ版ロクサーヌを見てみたいなぁ。
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Unknown (虹川 章)
2007-03-03 23:56:38
>ぷかどんどんさん
こんばんは。
大ちゃんと安藤さんの世界選手権での戦いを占うのに、モロゾフさん特集は悪くない切り口だと思います。ベタなのって分かりやすいのが利点なんですよね。私もあんまり高尚なものは分からないですし(笑)。
モロゾフさん、元ダンサーだけあって動きがかっこいいですね。ロクサーヌを全部踊るのは体力的に難しいんじゃないかとは思いますが。
ロクサーヌといいオペラ座といい、他人にはハードなものを遠慮なく要求するのも、良い振付師の条件なのかもしれません(笑)。
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